フランス中東部、パリからTGV(高速列車)で1時間半とほど近くに位置するディジョン(Dijon)を首府とするブルゴーニュ地方は、日本でも「フランスといえば」頭に浮かぶワインとエスカルゴを名産とする、特に美食のイメージが強い土地です。
そんなブルゴーニュを代表する地方菓子「パンデピス(Pain d’ épices)」は、起源には諸説ありますが、一説では、中国のハチミツをつかって作ったパンがアラブ諸国に伝わり、それをヨーロッパからきた十字軍が持ち帰ったということになっています。
ブルゴーニュ地方でのパンデピスは、ある公爵の妻マルゲリータ・フランドルという人物が Boichet という小麦粉、ハチミツ、重曹を主な材料とする、パンデピスに似たケーキを好んでいたという話があります。
しかし歴史上きちんと記録がある最初のエピソードは、「1452年に、フィリップ・ル・ボン公爵がブルゴーニュのパティシエが彼に献上したハチミツのケーキを食べ大変喜ばれた」というものです。
ディジョンではじめてパンデピスの店が正式に町の帳簿に登録されたのは1711年のことで、ボナバンチュール・ペルラン(Bonnaventure Pellerin)という小さい店でした。
パンデピスの製造は19世紀の中頃からブルゴーニュ地方で大きな発展をとげ、1900年代には洗練され、有名になったディジョンのパンデピスに関する百科事典も編纂されました。
パンデピスは、なんとなく子供時代を思い出させるノスタルジックな味わい…とよく言われ、個人的にも、秋の雰囲気にピッタリなお菓子だと思っています。
が、バリエーションに富むため、未だにおいしいパンデピスを作ろうとしている人々がたくさん居ます。イチジクなどフルーツを加えたり、フォアグラやヤギのチーズを加えてお菓子ではなく食事としてのパンデピスも存在し、様々なシーンで楽しまれています。
Pain d’épices(パンデピス)
準備:25分 焼き時間:1時間
■材料■ パウンド型一台分
小麦粉 250g
カソナード(砂糖) 50g
ハチミツ 大さじ3
牛乳 200ml
ベーキングパウダー 約5g
クローブ 2つ
アニス 1つ
シナモン粉 大さじ1
カルダモン粉 小さじ1
ナツメグ 小さじ1
塩 ひとつまみ
バター (分量外)
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1.鍋に牛乳、クローブ、アニスを入れ火にかけ、沸騰直前で弱火にしてハチミツ、砂糖を加える。砂糖が溶けるまで混ぜたあと火からおろす。
2.ボウルに小麦粉、塩、ベーキングパウダー、他のスパイスすべてを入れる。牛乳の祖熱が取れたらクローブとアニスを取り出し、ボウルに注ぐ。なめらかな生地ができるまで10分ほど木べらで混ぜる。
3.バターを塗った型に生地を流し、160℃で1時間焼いたらできあがりです!
神戸在住。パリ留学中にフランスの地方の豊かな食文化に傾倒。フランスの町とお菓子のことを中心にお伝えさせて頂きます。2016年春より、とある山の上にて、地方菓子を味わいながらフランス語・食文化に触れる会を月1で開催中。