フランス南東部、世界中から永遠のバカンスの理想の地と羨望を浴びる Côte d’Azur (コートダジュール)地方に、今はすっかり有名になった小さな港町 Saint-Tropez (サントロペ)があります。
Saint-Raphael, Frejus 方面から、湾を形成する入り組んだ海岸沿いに車を走らせていると遠く対岸に見えてくる町の姿には、それだけで目を見張るものがあります。統一感のあるオレンジとイエローの建物群が、南仏の強い太陽の光を受けてきらきらと輝く様は、見る者の好奇心を煽ります。
街中を歩いていても、名の知れた一流店が連なる賑やかな通り、レストランやカフェが点々とする細い路地、地中海の波が打ち寄せる岩場や真っ白なクルーザーが所狭しと並ぶ港などとても表情豊かで、文化人、富裕層に選ばれてきた町というタイトルにも納得がいきます。
そんな Saint-Tropez の名物ケーキは、「Tarte Tropézienne」。徐々に名が知れて、最近ではパリのパティスリーのショーケースでも目にすることがあるこのお菓子ですが、この町発祥のケーキなんです。
元々は、船で Saint-Tropez に辿り着いた Alexandre Michka というポーランド人がこの地でパティスリーを開いた際に、故郷でよく食べていたケーキも作ってショーケースに並べていたところ、映画「素敵な悪女 (Et Dieu… créa la femme) 」の撮影で滞在した女優 Brigitte Bardot がたいそう気に入り、Tarte Tropézienne 呼んでこれを称賛した…という出来事から、このケーキが Saint-Tropez の名物になりました!
大きなブリオッシュにバター・カスタードクリームをはさんだ、見た目も雲のような粉砂糖の衣をまとって(上からふりかける砂糖は、粉砂糖、グラニュー糖、パールシュガー等様々です)人目を惹くケーキは、ユニークな名物として愛されています。
優美な見た目に反して味わいは素朴なところも、魅力のひとつかもしれないですね。
◆Tarte Tropézienne(タルト・トロペジエンヌ)のレシピ
準備 :1時間 調理 :30分 休憩 :3時間
①ブリオッシュ生地
■材料■
強力粉 300g、砂糖 30g、塩 小さじ1、常温バター 125g、全卵 3個、イースト 5g、牛乳 50g
作り方:
1.ボウルに小麦粉、砂糖、塩、常温のバターを加えて混ぜます。全卵3個分・黄身1個分と、ぬるく温めた牛乳にひたしたイーストを加え、生地がなめらかになるまで10分程こねます。
2.できあがった生地をボウルに入れてサランラップなどで密封し、2時間休ませます。
3.再度生地をこねて2分待ち、バターを塗った型の内側に生地を敷き、更に1時間休ませます。
4.卵黄と水を合わせて溶いたものを生地に塗り、210℃に予熱したオーブンで30分焼きます。
②クリーム
■材料■
卵黄 4個、砂糖 100g、バニラシュガー 1袋(7.5g)、小麦粉 70g、牛乳 500ml、常温バター 125g、オレンジフラワーエッセンス 少々
作り方:
1.卵黄4個と砂糖100gとバニラシュガー1袋をボウルに入れ、泡立てます。小麦粉を加え、沸騰させた500mlの牛乳を、混ぜながら少しずつ加えます。全体を鍋に入れてクリーム状になるまで更に5分混ぜ、冷まします。
2.常温のバターを泡立てたものを加え、冷蔵庫で1時間寝かせます。
ブリオッシュ生地を半分に切ったものにクリームをはさみ、上から柑橘のジャムを塗り、粉砂糖を散らし、食べる直前まで冷やしておきます。Bon appetit!
☆ Tarte Tropézienne が食べられる!
南仏出身・フランス人落語パフォーマー シリル・コピーニさんとのコラボイベントを、来週9月2日(月)神戸のコワーキングスペース『On Paper』で開催します。
お申込みは以下ページより、会場の都合上30人限定のため、お早めにどうぞ。
☞ https://onpaper.jp/09-02-2019/
神戸在住。パリ留学中にフランスの地方の豊かな食文化に傾倒。フランスの町とお菓子のことを中心にお伝えさせて頂きます。2016年春より、とある山の上にて、地方菓子を味わいながらフランス語・食文化に触れる会を月1で開催中。