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浜和幸写真展 神戸元町パーラー・クニヲ

先日、神戸出身パリ在住の写真家、浜和幸さんとお会いして、いろいろ話をうかがった。現在、神戸元町のパーラー・クニヲのギャラリーで浜さんの写真展が開催中である。ギャラリーには人物を中心にしたパリの写真が所狭しと展示されている。14日までの開催で、もう期日が残り少なくなってしまったが、ぜひ連休中に足を運んでいただければ幸いである。

浜さんは55歳の時に脳梗塞で倒れ、リハビリ生活を余儀なくされた。医者から毎日の散歩を課さられたが、散歩するモチベーションを上げるために写真を再開しすることを思いついた。それなら散歩も苦にならないだろうと。そしてパリの街を歩きながら写真を撮る生活がはじまった。写真は20代の頃にパリで記念撮影のアルバイトから始めた。エッフェル塔や凱旋門など、パリの観光スポットで日本人の団体客の記念写真を撮る仕事だ。その際に独学で写真を学んだ。

浜さんは小型のデジタルカメラで写真を撮る。問題はその数だ。もちろん一枚一枚のクオリティも高いのだが、パリをそのまま圧倒的な枚数で写し取るように撮る。パリを毎日休みなく撮り続けることで、その移り変わりまでカメラの中に収めてしまうのだ。

日々の移ろいの小さな変化だけでなく、パリ在住45年のあいだに、19世紀のオスマンのパリ改造に匹敵する、80年代後半のミッテラン大統領のパリ改造も身を持って経験した。それはフランス革命200周年を記念した大規模なものだった。

浜さんはパリの18区、19区、20区がお気に入りだ。浜さんがパリに来たばかりの1970年代の、これらの3つの区に象徴された労働者街は、今の移民が住むパリの郊外と雰囲気が重なり合うと言う。古いものの印象がそうやって現在に顔をのぞかせるのだ。話をしていていちばん盛り上がったのは、ベルヴィル通り(19区と20区の境を通る)からのエッフェル塔の計算された眺めについてだった。

パリを伝えるいろんな方法がある。ある人は映画を通して、ある人はファッションを通して、ある人は文学を通して、伝えようとする。しかし、それはひとつのイデオロギーにすぎないし、ある意味、それは偏った見方である。そして翻訳には時間がかかる。写真がメディアとして優れているのは、何よりも素早く、ありのままを見せることだ。パリは古いものの痕跡を残しながら、重層的にうつろいゆく。そして、その合間に垣間見せる一瞬の表情を浜さんの写真群はとらえている。

浜さんはパリで語学学校を設立し、フラン語教育にも尽力されたが、ジブリ作品『紅の豚』の挿入歌「さくらんぼの実る頃」を加藤登紀子さんが歌う際に、フランス語も指導なさったそうだ。

浜さんの写真ブログ、パリSozoroプロムナードはこちら。



posted date: 2019/Jan/12 / category: ライフスタイルアート・デザイン
cyberbloom

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