オルセー美術館の印象派の常設展示室で若い3人の女性がいきなりレインコートを脱ぐ。その下はカラフルな下着姿。彼女たちはあっけにとられた見物客のあいだを愉快そうに駆け抜ける…
オルセー美術館はハプニングを好まなかった。先月の15日、オルセー美術館の常設展示室でのことだ。下着メーカー ETAM から送り込まれた3人のモデルがレインコートを脱ぎ捨て下着姿で客の視線の中を走り抜けた。もしそれが隠しカメラで撮影されていなかったら、この悪ふざけは気づかれずに済んだだろう。「こっそりと撮影されたビデオはオルセー美術館の権利だけでなく、美術館が責任を負えない第三者の権利も侵害する」と、ETAM のサイトでそのビデオを見つけた美術館の広報担当は述べた。警備員に呼び止められた3人の若いモデルは、独身最後の記念にやったのだと言い張った。しかしオルセーの規則は明らかだ。建物の中での撮影は禁止されている。館長の許可があればいいのだが、この場合は要請が全くなかった。
美術館の館長は ETAM の社長にFacebook、Youtube、Dailymotion で公開されたビデオを削除するように書面で要求した。また、告訴も検討している。なぜなら、「事前の合意なしのクリップの撮影は美術館のイメージや評判に関わる問題だ。人々は、そのような映像が美術館との合意なしに、金銭的な補償の支払いもなしに撮影できると誤解する。事実はそうではないのに」と美術館は説明する。
Le happening d’Etam fàche le musée d’Orsay (ETAM のハプニングがオルセー美術館を怒らせる) ELLE – mer. 11 janv. 2012
★確かにゲリラ撮影をすると他の客も写り込んでしまうので、権利関係のややこしい問題が出てくるだろう。動画を見ていると「空港」編や「エッフェル塔」編も出てくる。同社の次の下着コレクションへの関心を集めるために、同じようなハプニングを試みているようだ。しかしこういう「やった者勝ち」的な方法は企業イメージの向上につながるのだろうか。センセーショナリズムに訴えるやり方は限界に来ているようにも思える。良い商品にたどりつく方法は、よりソーシャルでアルゴリズム的になっている。企業も奇をてらった CM を作ったり、CM に多くの宣伝費をつぎ込むよりも、Facebook やTwitter で多くの人に情報を共有してもらうことが、これからは重要になってくるだろう。 ★ところで、お騒がせな3人のモデルたちの使った言い訳が ‘fêter un enterrement de vie de jeune fille’ 。直訳すると「未婚生活の埋葬を祝う」。独身時代の最後を祝って女子だけ(または男子だけで)で騒ぐ風習があるようだ。
cyberbloom
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