イントロのスティール・パンの音色が爽やかなこの曲を選んでみました。80年代のPVのインパクトのおかげで「かなりエロいおっさん」というイメージが一人歩きしてしまったロバート・パーマーが、70年代に残した名曲。シリアスな内容の歌ですが、しなやかな清々しさが耳に残ります。
マーヴィン・ゲイの70年代初頭のあの曲この曲に似てません?と思う向きもあるかと思います。ご指摘ごもっとも。でもそれでいいんです。シンガー本人を始めマーヴィンの歌を愛してやまないみなさんが集まって、気持のいい音を追求したらこうなった、というのがこの曲の成り立ちなのでしょう。
しかし出来上がったものは、別の輝きを放っています。どんなに歌い込んでも汗を感じさせないパーマーのクールな声は、この曲独特の軽やかさに貢献しています(ありきたりのメッセージソングにはとても望めないものです)。そして、パーマーの声とも絡むインターミッションのトランペット・ソロ。視界が開けてゆくようなフレーズは、マーヴィン・ゲイがこの世に送り出したサウンドにインスパイアされ花開いた数ある音のうちでも最良のもののように思います。(誰がプレイしてるのかな・・・と調べてみたら、ブレッカー兄弟の片割れでした。さすが!)
マーヴィン・ゲイ・サウンドとこの曲の近しさは、セッションに参加したベーシスト、ボブ・バビットを奮い立たせたようです。バビットは、60年代のモータウン・サウンドを支えた最高!なサウンド・マシーン、ファンク・ブラザーズの一員でした。遅れてやってきた白人の若造だった彼にとって、ファンク・ブラザーズの要として革新的で腰にくるグルーヴを量産する天才ベーシスト、ジェイムズ・ジェマーソンは、とても大きな存在だったそうです。ジェマーソンはマーヴィン・ゲイのアルバム”What’s Goin’ On?”にも参加し、当時としては大胆きわまりないサウンドの実現に貢献しました。バビットも、マーヴィンへのオマージュとも言うべきこの曲で、ジェマーソンも唸るに違いない印象的な仕事をしています。メロディの下を自在に飛び回る、歌うようなフレージングに胸が熱くなります。
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GOYAAKOD=Get Off Your Ass And Knock On Doors.
大阪市内のオフィスで働く勤め人。アメリカの雑誌を読むのが趣味。
門外漢の気楽な立場から、フランスやフランス文化について見知った事、思うことなどをお届けします。