ルイ・ヴィトンの広告キャンペーンに楽曲が使われ、にわかに世界の注目を浴びているフランス発、19歳の双子デュオのファーストアルバムから選んでみました。リサ−カインデとナオミはパリ生まれのキューバ育ち。父は、ブエナ・ビスタ・ソシアルクラブにも参加した高名なパーカッショニスト、アンガ・ディアス。おかげで小さい頃から音楽は身近にあったけれど、手ほどきを受ける事はなく、父の楽器を手にしたのは11才で父と死に別れてからでした。
元気ハツラツおしゃれも踊るのも大好き!なナオミと、パーティに行くより家でピアノを弾いていたいナチュラルガールのリサ。性格も好みも正反対、どうしてもぶつかってしまう姉妹が素直に向かい合えたのが音楽を作るという作業でした。ニーナ・シモンやビリー・ホリデイ、オールドスクールなブラック・ミュージックを好むリサがメロディーを、ヒップホップやエレクトロが好きなナオミが音作りを担当。ケンカしつつも共にピンとくるものを求めて生まれた音には、単なるハイブリッドから生じた化学変化にはない、心地よさと緊張感があります。
彼女達の音楽を特徴づけているもう一つの要素は、母の影響で親しんできたヨルバ語による音楽(ちなみに、デュオの名前はヨルバ語で「双子」)。アフリカからキューバへ奴隷船で連れてこられた祖先から伝えられた祈りの歌、チャント(詠唱)です。アフリカを色濃く伝える音階とリズムを持つ音楽としての魅力もさることながら、家族の精神的なバックボーンとなっているチャントが入るのはごく自然なことだったのかもしれません。「モダンな黒人霊歌」と自分達の音楽を呼ぶのもうなずけます。
ピアノと父ゆずりのパーカッションに少しの電子機器というシンプルなセットで、英語とヨルバ語で歌う二人の音楽はひと言で言えばとても自由。XLレコーディングスと契約し、アメリカやイギリスでライブも披露した彼女達を世界がどう受けとめてゆくのか、目が離せません。
音楽もさることながら、「見せ方」にもドキドキさせられるPVはこちらで。アフロヘアの彼女がリサ嬢です。
二人がヨルバ語のチャントを歌うとこんな感じです。
GOYAAKOD=Get Off Your Ass And Knock On Doors.
大阪市内のオフィスで働く勤め人。アメリカの雑誌を読むのが趣味。
門外漢の気楽な立場から、フランスやフランス文化について見知った事、思うことなどをお届けします。