フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

ささやかだけれど、きっと役にたつ本

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もうすぐクリスマスだそうです。手頃な贈り物を探している方におせっかいながらおすすめするのが、2冊の文庫本『ナショナル・ストーリー・プロジェクトⅠ、Ⅱ』(新潮社刊)。

アメリカの公共ラジオ局の番組に寄せられた4,000を超える『本当にあった、ありえない話』から、小説家ポール・オースターが選び朗読した180篇が収められています。翻訳しても数ページ程度しかない掌編ばかりですが、アメリカの様々な地域に暮らす様々な人々が持ち寄ったtrue talesは、どれもリアルで味わい深い。(リアルタイムで番組を聴いていた人はどんなにこの朗読のコーナーが待ち遠しかっただろうと思います。)思わず吹き出してしまう話、あっけにとられる話、頬がゆるんでしまう話、しみじみとさせられる話。ほろ苦い話。いろんな味がたのしめるチョコレート・ボックスといった感じです。

しかし、ああおいしかった、と平らげらておしまいになる類の本ではありません。ここに選ばれた話はいずれも書き手が大事にしてきた唯一無二の瞬間、経験。語る声はさまざまですが、自身にとってかけがえのないあの瞬間、経験をできるだけ誠実に伝えたいという真摯な思いが溢れていて、胸を打たれます。シンプルだからこそ、余韻も深いのです。

また、この本には繰り返し読み返すことができる楽しみがあります。しばらくぶりに読んでみたら、お気に入りの話が変わったり、さほど気にかけなかった話にずーんと来たり。読み手が年を重ねることに付き合ってくれる希有な本なのです。

クリスマスが「イベント」ではない国の、最良のクリスマス・ストーリーが幾つも収録されているのもうれしいところ。どの話が好きか、贈った相手と話してみるのも一興かもしれません。個人的には、『スーザンからこんにちは(Susan’s Greetings)』 を読むたびに鼻のあたりがつーんとします。いかにもアメリカらしい話で語られなかったあれこれが想起されるのもいいのですが、自分が年を取ったのだな、としみじみします。

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GOYAAKOD=Get Off Your Ass And Knock On Doors.

大阪市内のオフィスで働く勤め人。アメリカの雑誌を読むのが趣味。 門外漢の気楽な立場から、フランスやフランス文化について見知った事、思うことなどをお届けします。