フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

「Shuhei のフランス語読解 :クンデラを読む」(2)

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Bonjour ou Bonsoir, mes amis ! 「Shuhei のフランス語読解 :クンデラを読む」の二回目です。英語に比べれば馴染みの薄いフランス語のまとまった文章を読むなんて、考えてみればなかなか難儀なことです。それでも、思いのほかたくさんの方にこの新コーナを読んでもらっているようで、J’en suis très content.

さて、前回には「孤高 isolement」という言葉も使われていましたが、いよいよカフカの『審判』のどこが特異なのかが明らかにされます。今回は、ils ont tous ri. までを読みましょう。

J’aimerais définir la beauté de Kafka, mais je n’y arriverai jamais(Le Nouvel Observateur)

 [註]

* comme on peut le constater… : le は中性代名詞というやつです。ここでは直前の内容、つまり、「カフカが登場人物を検討する際の特異なやり方」を表しています。

* faire savoir … :二人の男たちはKになにを知らせにやってきたのでしょうか。qu’il est accusé et qu’il doit s’attendre…とつながっています。

* ce que l’examen de son cas s’étende sur… : s’étendre > s’etende ここは接続法現在形となっています。少し格式張った表現では、s’attendre à ce que + 接続法subj. 「…することが覚悟される」と接続法が使われるようです。

* D’ailleurs… : Kと二人の男たちのやり取りがおかしなものであったことを、以下示すわけですから、ここでは「実際のところ」といったニュアンスでしょうか。

  [試訳]

The Unbearable Lightness of Being『審判』に明らかな形で読み取れるように、カフカはまったく独自な仕方で自身の小説の登場人物を考察している。登場人物Kの風貌についてカフカはひと言も語らないし、小説の中で出来事が起る前、その暮らしぶりについても何も語られない。その名前についてさえ、私たちにはただKというこの一文字が知らされているだけだ。そのかわりに、小説冒頭からその最後に至るまで、Kの状況、彼の生きているその状況に焦点が当てられている。

『審判』の場合、問題になるのは「告発されている男」の状況である。その告発もはじめかなり奇妙な仕方で明らかになる。これといって特徴のない男が二人朝、まだ起き出してもいないKのもとに訪れる。そしてどちらかというとにこやかなやり取りの間に、自分が告発されていること、こうした審査のケースでは大変長きにわたることを覚悟しなければならないことも知らされる。Kと男たちのやり取りはおかしくも、バカバカしくもある。実際、カフカがこの冒頭の章をはじめて友人たちに読んで聞かせたところ、みんな声を上げて笑ったのだ。

                 ♪♪♪

いかがだったでしょうか。今回は前回に比べれば、つまずきそうな箇所はあまりなかったのではないでしょうか。

さて、またも汗にまみれる日本の夏がやって来ました。とてもお見せできませんが、この原稿、中年男が(若いみなさんから見ればすでに初老か?)、エアコンもない部屋で、水を含ませたタオルを首に巻いて、扇風機の風を頼りに書いています。まあでも、注意深くアルファベットの文字を追っていれば、ひととき暑さは忘れられるような気もします。

暑中お見舞い申し上げます。どうかみなさんも、お身体に気をつけてフランス語の勉強をこの夏もつづけて下さい。Bonne lecture et à bientôt !

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おもちゃ箱をひっくり返したような多様な文章を通して、いっしょにフランス語を読む楽しさを味わって下さい。「フランス語読解教室II」というブログもやっています。 http://blog.goo.ne.jp/smarcel