フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

FRENCH BLOOM NET 年末企画(4) 2012年の注目ニュース

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2012年も残すところあと数日となりました。FRENCH BLOOM NET の年末企画の最後は2012年の重大ニュースです。Jardin(@mkyabee)さんが世界のニュースからバランスよく、cyberbloom はフランスのニュースから、bird dog さんと GOYAAKOD さんはプライベートな出来事から選んでくれました。ちなみにウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)日本版が選んだ012年10大ニュースは以下の通りです。1位 欧州債務危機 2位 オバマ米大統領選再選 3位 習近平氏、中国国家主席就任 4位 シリア内戦 5位 ハリケーン「サンディ」猛威 6位 日中領土問題が再燃 7位 日米欧、金融緩和強化 8位 アップルVSサムスン訴訟合戦 9位 フェイスブック上場 10位 ロンドン五輪 bit.ly/XZ3WSx

Jardin(@mkyabee)
1.「リーダー交代」の年だった2012年
■今年は世界各国で「次のリーダー」を決める選挙が続きました。主要国でいえば、3月のロシアに始まり、5月のフランス、11月のアメリカ、12月の日本と韓国。また、中国でも11月に指導部が交代しました。他にも「アラブの春」後の新しい指導者を選んだエジプト、インド、ベネズエラなど…世界の「話題の中心」にいる国々で、これだけリーダー交代をめぐる動きが重なる年の世界情勢はやはり見応えがあったと思います。
2.フランス大統領選では社会党が久々の政権復帰!しかし前途は多難か ■1本目の記事からの続きで…。フランスでは、4月末から5月初旬にかけて大統領選が行われ、野党・社会党のフランソワ・オランド候補が現職のニコラ・サルコジ大統領を破り、新大統領に就任しました。ミッテラン以来17年ぶりの左派・社会党政権誕生ということで期待も高まるところですが、金融・財政危機や対独関係など…政権誕生から8ヶ月、内外に山積する難題の対応に追われ、公約実現や支持率獲得には苦しんでいるようです。
3.泥沼化する一方のシリア情勢…今年も解決は見えぬまま ■2011年初めから世界を揺るがしてきた「アラブの春」。その流れは、アルジェリアやシリアなどフランスと関係の深い国にも及びました。特にシリアでは、事態が泥沼化の一途をたどり、今年も決着を見ることは無さそうです。アサド政権の見境無き攻撃により、一般市民の死傷者は増加する一方です。フランスなど欧米諸国は、交渉や経済制裁を継続していますが、本当にそれで良いのか。もっと強い介入が必要ではないでしょうか。
4.中村勘三郎、逝く…あまりにも早すぎる死 ■今年の日本は有名人、特に芸能人の訃報が多かったように感じた1年でした。特に、歌舞伎界のトップ・スターの1人だった中村勘三郎氏の死は、57歳という若さもあり、私含め多くの人が惜しんだところです。勘三郎氏といえば、NYでの海外公演が有名ですが、長く生きておられれば、市川團十郎氏のようにパリ・オペラ座での公演もそう遠くないうちに実現していたと思います。ご冥福を祈るばかりです。
5.山中教授、ついにノーベル賞受賞! ■今年のノーベル賞は、医学・生理学賞分野で京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞に関する研究を評価され、イギリスのジョン・ガードン教授とともに待望の受賞を果たしました。日本人の医学・生理学賞受賞は、1987年の利根川進教授以来25年ぶり、2人目の快挙でした。今年は心が重くなるニュースが多かった一方で、このノーベル賞受賞やロンドン五輪での日本人選手大健闘のニュースなど、嬉しいニュースも多い1年だったと思います。

bird dog
1. 父の死
近しい人の死は、いろんなことを考えさせられます。しかし、親の死が他の場合と違うのは、自分の最初の証人が消えるからです。父が僕に語らなかった、幼い頃の僕の姿は、永遠に失われてしまいました。つまり自分の人生のある部分が、父の死とともに無くなってしまったという気がします。
2. 息子の誕生 5月の父の死と双幅をなすように、7月に息子が生まれました。生と死の意味を日々感じ、不在と存在について考え続けた一年でした。
3. 本の出版 学術書ですが、今年初めて自分の著書を刊行しました。プロの編集者の校正を経験できたのは良かったです。と同時に、批判される覚悟というものがまだまだ足りない自分にも気づかされました。

GOYAAKOD
アメリカのパイを買って帰ろう―沖縄58号線の向こうへ■好きな作家の死を知らされるのはつらい。特に、その作品が「わたし」というもののどこかを作った人となると、たまらない気持になる。駒沢敏器氏の死には、しばらく立ち直れないほどの衝撃を受けた。作風とはかけ離れた好奇心むきだしの三面記事で、彼の死を知らされなければならないなんて。どうして?いろいろなことを教わっただけではない。彼の描くアメリカを通じて、なぜ自分がこれほどアメリカ文化に魅了されるのか納得することができた。控えめな態度と曇りない眼差しで、わかりやすいステレオタイプからこぼれおちた物事や人の営みをそっと拾い上げ、ほら、と気さくに手を差し出して見せてくれた。良質の短編小説のように描かれた邂逅の一つ一つににうならされたものだ。その死を知った直後から頭の中で鳴っていた曲を、献花に代えて紹介したい。穏やかなイメージの彼の作品にそぐわないと思われるかもしれないが、作者の内側には案外激しい思いがあったのではではないか。奔流のようにうねるベダルスチールを聞きながらそう思う。youtu.be/RY1NCN7sBK0

cyberbloom
1.75%の所得税課税から逃れ富裕層がフランス脱出

■オランド政権が年間所得100万ユーロ以上の裕福層の所得税率を75%に引き上げる発表して以来、ベルギーはロンドン、スイスなどとともに富豪たちの移住先の一つになっている。ベルギー国籍を申請したLVMHのアルノー会長(世界長者番付第4位)を左翼紙リベラシオンが”Casse-toi, riche con!” (消え失せろ、金持ち野郎)と1面でこきおろしたが、アルノー会長は侮辱的な言葉だとして告訴した。”Casse-toi, riche con!”はサルコジ前大統領が、ある農業イベントで握手を拒否した観衆のひとりに吐いた暴言 “Casse-toi, pauvre con!”(消えうせろ、バカ野郎)にひっかけたもの。もうひとり話題になったのは国民的俳優ジェラール・ドパルデュー。彼は仏国境から1キロしか離れていないベルギーのネシャンという小さな村に引っ越した。そこは「税金逃れの村」として有名らしい。そんなドパルデューを特に激しく攻撃したのは、エロー首相だった。出演したテレビ番組でドパルデューを「最低」(minable)とこき下ろした。一方ドパルデューは新聞に公開書簡を寄せ、エロー首相に反論。フランスの旅券を返却する意向を表明した。そういえば去年の9月、フランスの富豪らが国の財政赤字削減を支援するため、高額所得者への増税を政府に要請していた。週刊誌ヌーベル・オプセルバトゥールのウェブサイトに掲載された嘆願書は、企業首脳やビジネスリーダー、個人ら16人の連名で、同国の富豪らを対象にした「特別貢献税」の創設を提唱。「われわれはフランスの制度と欧州の環境から恩恵を受けていることを理解しており、その維持に一役買いたいと望む」と発言していた愛国心あふれるノブレス・オブリージュな人たちはどうしているのだろう。
2.同性婚と同性婚カップルの養子縁組の合法化法案
■11月7日、フランスで同性婚や養子縁組を認める法案が閣議決定された。1月に議会に提出される。フランスでは、1999年に導入された「PACS」と呼ばれるシビル・ユニオン(市民契約)制度により同性カップルにも安定した共同生活が保障されているが、さらに一歩進んで、同性間の結婚、結婚した同性カップルによる孤児またはパートナーの実子を養子縁組みすることを可能にするもの。ル・モンド紙と世論調査機関イフォップが今月7日に発表した世論調査では、同性カップルに結婚する権利を認めることに賛成する人が65%と多数を占めた。しかし養子縁組の権利を認めることについては賛成が52%にとどまり、賛否で世論が割れている。カトリック教会は同性婚法案は一夫多妻や一妻多夫、近親相姦や小児愛の合法化にさえつながりかねないとして声高に反対している。同性婚法案に反対するデモも全国各地で行われ、合計10万人超が参加した。一方、フランス政府への支持を表明し、同性愛嫌悪(ホモフォビア)に抗議するキス・デモが行われ、パリの市庁舎前では1000人が一斉にキスをした。キス・デモは同性愛者を支援するNPO「オールアウト(All Out)」主催で、全国16市町村で実施された。http:/youtube/VlF6J4xQHlA
3.ルーブル美術館の東北巡回展とランス分館の開館
■パリのルーブル美術館が2012年4月27日から9月17日にかけて岩手、宮城、福島の3県に所蔵品を巡回。ルーブル展の東北開催は初めてで、入場者は3県で6万7000人に達した。一方、有名美術館が地方都市に分館を建てる動きが世界的に活発になっていて、フランスではポンピドゥーセンターのメッス分館に続き、ルーブル美術館のランス分館がオープンした(一般公開2012年12月12日)。ランスLensはフランス北部の都市で、炭鉱の町として知られていたが、90年に最後の炭鉱が閉じてからは売りになるような産業もなく、町は慢性的な高失業状態にあった。それだけに2004年11月にルーブル美術館の分館の誘致が決まると市民は熱狂状態になったという。ランス分館のデザインは日本人ふたりの設計グループ SANAA が担当。反射性のある外装を使った壁面がゆるやかなカーブを描き、そこに周囲の森が映り、建物が自然の中に溶け込むデザインになっている。ちなみにパリのルーブル美術館(本館)の今年の入場者数は1000万人に達した。去年よりも100万人増で、記録を更新した。ルーブルだけでなく、オルセー、ポンピドゥーも記録更新。美術館人気が続いている。オランド大統領の「文化は国が補助するのではなく、経済的に魅力的な投資分野であり、雇用を生み、フランスに競争力があると思わせる分野だ」と発言があったが、美術館も国の補助金に頼らずに自活する道を模索している。
4.フランスでも銃撃事件
■アメリカで今年7月20日、コロラド州オーロラの映画館で銃撃事件があった。バットマンの新作映画「ダークナイト ライジング」のプレミアム試写会の上映中の事件だったため、仏女優マリオン・コティヤールを含む出演者たちによるパリの映画プロモーションもキャンセルされた。12人が死亡、負傷者は58人を数えた。また12月14日にはコネティカット州ニュータウンの小学校乱射事件では児童20人を含む26人が死亡した。オバマ大統領はこれまでほとんど手を付けてこなかった銃規制への姿勢を再考せざるをえないようだ。フランスでは南西部トゥールーズ周辺で仏軍兵士やユダヤ人学校の生徒ら7人が殺害された連続銃撃事件が起こった。容疑者のモハメド・メラはトゥールーズの自宅に長時間立てこもった末、警察との銃撃戦で3月22日に死亡。西ヨーロッパで最もユダヤ人とイスラム教徒が多いフランス社会に大きな衝撃を与えた。事件後、在仏ユダヤ人団体は「反ユダヤ主義や人種差別的な発言が不安定な環境を作り出した」と批判。9月5日には仏南部オートサボア県シュバリーヌ(アヌシー湖の南側)で、駐車場に止まっていた自動車とその近くで男女4人の射殺体が見つかり、少女2人が保護された。被害者はイラク系英国人の一家。捜査関係者らは犯行が極めて残虐で、暗殺のプロの特徴が数多くみられると話した。その後、被害者サード・ヒリさんとフセイン元大統領の関連口座につながりがあることが判明。ヒリさんの父親はフセイン元大統領統治時代の支配政党バース党の銀行口座を管理する立場にあり、前年に父親が死去した後はヒリさんが口座へのアクセス権を得ていたらしい。陰謀めいた展開。
5.マドモワゼル禁止令
■フランスのフィヨン首相は、未婚女性に対する敬称「マドモワゼル」を、必要がない限り公文書で使わないよう求める通達を各省庁や自治体に出した。今後、女性を示す敬称は「マダム」で統一される。通達は2月21日付で、男性への敬称は「ムッシュ」だけなのに、女性に既婚か未婚かの明示を強いるのは「正当な理由がない」とした。女性団体は昨年秋、「マドモワゼル」は「女性が結婚後、父親から夫の保護下に移された時代の名残。性差別にあたる」として、使用廃止を政府に訴えていた。マドモワゼルという敬称がフランスの法律文書に記載されるようになったのは、19世紀のナポレオン法典から。日常の言語使用に影響が及ぶのだろうか。「マドモワゼル」は「パリジェンヌ」と並び、フランス女性を象徴するような言葉だけにちょっとさびしい気がしないでもない。
番外.「エマニエル夫人」の女優、シルビア・クリステル死去
エマニエル夫人 [DVD]■亡くなったのは2012年10月17日。享年60歳。「裸で大きな籐椅子に座り、首のまわりに真珠のネックレスがエマニュエルの定番のイメージ。これが時代と私たちの記憶に焼きついている」―ある仏メディアの追悼記事にこう書かれていたが、日本人である私たちにとってもエロなフランスの象徴だった。公開当時、女性向けの映画館で上映されたこともあり、日本のOLさんや主婦もこぞって「エマニエル」に足を運び、それを機に「女性でも積極的に性を楽しんでもいい」という認識が広まったようだ。個人的な記憶では、小学校の頃あのメロディを口ずさんだ友だちが先生に叱られていたのを憶えている。中学生になるとシルビア・クリステルの写真集がクラスを巡回していた(笑)。

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cyberbloom

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