フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

瞳の奥の秘密

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どこか懐かしさを覚える画面づくりだ。

機内で見たせいか全体に黄色っぽく見えたからか。それとも女が走り出す列車に追いすがるという昔のメロドラマさながらのあまりに定番な別れのシーンのせいか。 ラテン映画らしくきっと「濃いだろう」というこちらの期待を裏切らない。人間関係における愛憎。そのどちらもが強く激しい。かつて検察書記官だった男が、昔関わったある殺人事件を小説にするところから物語は幕を開ける。新婚間もなく殺された美しい若妻。男はアルバムに残された写真の人物の視線(瞳)から犯人を割り出す。男とその友人の活躍の末、犯人は捕らえられるのだが、その処遇を巡って当時のアルゼンチンの政治事情から、予想だにしない方向へと事件は展開することになる。

瞳は黙っていても語る。男が上司である新米検事に寄せる少年のような初々しい憧れ。今でいうストーカーの犯人が新妻に向けるゆがんだ視線。犯人を求めて毎日駅に立ち続ける被害者の夫の献身。いつも酔いどれで情けない友人が見せる思わぬ侠気。様々な場面で色々な愛の形を見せられる。事件から数十年を経て男に突き付けられるのは衝撃の事実と、長い時間を経ても消えなかった大人の愛。そして憎しみ。

単なるサスペンス映画ではない。人間の怖さと愚かさでいえばホラーよりもずっと怖い映画だ。主人公の男と検事の年を経て熟成した愛が救いになっている。どうにもならない感情に悩んだときに見ると、これに比べると大したことないかと思えます。あくまでもドラマチックな展開に身を委ねる快感を楽しめる一本。

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身体と心に気持ちのいい事が大好きな、自分に甘いO型人間。 映画は堅すぎるドキュメンタリーをのぞいて、こてこて恋愛物からホラーまでとりあえずなんでも食いついてみる系。