フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

28歳の元ロリータ  5 / Alizée

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2013年3月に出たアリゼのニューアルバム。通算5枚目なので「 5 」。

デビュー曲 Moi…Lolita がヨーロッパじゅうを魅了してから13年。16歳だったコルシカの少女も、結婚、出産を経て28歳になった。

5Mes courants électriques (2003) を最後にミレーヌ・ファルメールの手を離れてからは、音楽的には迷走気味という印象が続く。旦那のジェレミー・シャトランと組んで作った Psychédélice (2007) は、「ファルメール路線の残響」+「80年代テクノポップ」。前作 Une enfant du siècle (2010) は「暗めのエレクトロ」。

そして今回の「 5 」(2013) は、一転して「60年代ヴァリエテ(ギャル/アルディ/バルドー)路線」。うーん、この人は本当は何がやりたいのか…。まあ、アーティストとしての指向性(そんなのがあるとして)より商売上の戦略がつねに優先されるということだろうか。それにしては残念ながらセールス面は下降の一途である(今回の「 5 」は仏チャートの最高位が25位)。

ではこの「 5 」、低調な売り上げに見合うような凡作なのかというと、さにあらず。実はすごく良くできている。ヴァリエテの黄金時代を再現すべく知恵と手間を惜しまず丁寧に作り上げた作品という感じ。トマ・ブラール (Luke)、アドリアン・ガロ (BB Brunes) といったロック畑のソングライターが提供した曲も佳作揃いである。前者の Mon chevalier、後者の Boxing club はなかでも一押しだ。どこにでもいそうなふつうの若い女性を語り手として設定した、素朴で通俗的な(ホメ言葉である)歌詞もなかなかいい(アリゼ本人は曲作りにタッチしていないが)。

今後もこの路線を続けるのかどうかは分からないが、本作の水準が維持されるなら、あともう一枚くらいは同じようなものを作ってもらいたい。

昔の「フレンチポップ」が好きな人にぜひおすすめする。

◆1曲目 A cause de l’automne (秋のせいで)のPV

本作のプロデューサ、アレクサンドル・アザリアが制作したもの。60年代映画の雰囲気をうまく再現した秀作クリップ。彼は映画音楽作家として知られている人。Indochine にも一時在籍していた。

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