なんと今回はハワイである。あちこち世界を旅しているのに今更のハワイ。ま、今回の道連れ、親友 N と相談の上、あまり遠くなくハードでなくかつ治安も清潔度も信頼のあるところというのでついに「憧れのー?」ハワイとなったわけである。したがって今回はハノイに続き二度目の二人旅。
ホテルとエアーを予約し、あとは二人で勝手にうろつきますかというご気楽旅。しかし我々には二人揃って致命的な欠点が・・・
行きのJALは夜便で余裕があり、三並びのところを我々二人だった。さんざん「いや、遅れてすんませんな」とかいいながら汗ふきふき太ったオヤジが乗ってきたらどうする―?んでもっていきなり靴下とか脱いで臭かったりして。などと「こんな隣は嫌だ」シミュレーションをしているうちに八時間は過ぎた。話題のアナ雪などを見て(でも大ヒットの理由が未だに不明)ひと寝入りしている間に南国ハワイはホノルル空港に到着である。
お約束の花ならぬ貝のネックレスをかけてもらっていかにも南国な景色を眺めつつ、ホテルまで送迎バスで30分。近いね。ここで我々は眉のりりしいハンサム少年を含む家族と同じバスであった。なんだかリピーター風に落ち着いて小ざっぱりとポロシャツを着こなしたスリムなお父さん。いい感じの一家である。
この旅では実に多くの日本人のファミリーをみたが、幼児および子供連れのほとんどが両親ともに疲れきってよれよれであった。怒られる子供続出。眉間にしわを寄せてキレるママたち。しかしこの一家は子供が大きいこともあってか帰り際に会った時も和気あいあい楽しそうだった。
まずはラナイ(ベランダ)に直行。少し高いけど景色のいい部屋を予約して正解。我々のホテルはダイアモンドヘッドを見るにさえぎる物のない立地にあるので海とヘッドとの美しい景色が楽しめた。しかしサングラスをしていないと日差しがあまりにも眩しくて目をやられる。それくらい海も空も透明にブルー。
ハワイとの時差は19時間。なので出た夜と着いた朝がまだ同じ日。長―い一日。夜便で一寝入りしたし、素敵な景色をおかずにスパムおにぎりとサラダでランチをした我々には余力があった。それでぶらぶらして夕食も食べようかと街に繰り出したのはいいのだが・・・
そう、我々の最大の弱点―方向音痴&地図音痴。しかし海岸沿いに歩けばいいだけの間違いようのない実にシンプルな街並みである。しかーし。
ざわざわとあるく人波にまぎれてロイヤルハワイアンセンターまで行き、そこでシェイブアイス(かき氷です。私はマンゴーとリリカイ風味ね)を食べたころまでは良かった。そこでまあいい加減なイラスト風の地図を見て行けるよな、と踏んだのが甘い。なぜだかアラモアナまで行こうと思い立ったのだ。何もトロリーバスに無料で乗れるのにねえ。この辺が実に地図に弱い熟美女 N と黒カナリアこと私である。ま、その欠点を除けば二人とも可愛いのよ。
というわけで行けども行けどもそれらしきショッピングセンターは現れず。これかなあ、と言っては違い。広い公園もつっ切り結局ヒルトンハワイアンビレッジまで辿りついた。そこから更に歩く頃には二人とも無言で、この後旅行中にはもう決して歩くまいと心中で誓いをたてた。
救いはハーバーに沈む夕日が美しかったことと、着いたセンターでうまいシーフードにありついたこと。ただなんでみんなアラモアナそんなに行きたがるんやろう?中心部にあるセンターの方が新しいし綺麗やん。なんかあちこちでエスカレーター閉まってて寂れた感があり、なんやこれと思ったよ。
マリオットのお素敵なところは充実した朝食ブッフェ。でも今回のプランは朝食なし。というか誰も朝食べている人いなかったです。色々素敵な朝食を食べられるところが周りにあるから食べてねということでしょうというので、まず一日目、話題の Eggs & Things に行っては見たものの、冗談でない列ができていた。くつろぎに来て並ぶ、んなあほな。心斎橋に行ったらあるやん。ってま、多分食べにはいかへんけど。
いうので我々はそこからほどない Cheeseburger Factory in Paradise というダイナー的バーガー屋に行ってみた。わたしは eggs だけ、N は話題の Egg Benedict を頼んだのだが、美味しいですよ、そりゃ美味しいですけどなんで朝から卵二つ。なんでベーコン四枚?? トーストにはバターこってり。んんん。
食べましたともお腹すいてたからね、前日すっごい歩いてたし。でもねえ。
周囲を見るとなーるほどね、という客層。アメリカは行く店でこんなにも分かれますかとそれが面白かった。夕食を食べたステーキハウスには杖つかないと歩けないくらいのおデブちゃんが続出。しかし三日目に訪れたベジタリアンのカフェではだーれも太った人いなかったもんね。一つのベジ・ベーグルや話題のアサイーボウルを分けっこするモデル風の親子もいた。見事なまでに住み分けできてるわけね。
この Cheeseburger Factory でまともに食べた我々は胃もたれしてランチを抜く羽目になった。
最終日に再度行った時は賢くなっていて一皿を半分こしたが、それで丁度であった。
ワイキキビーチの海岸通りを眺めていると実に巨大なおデブたちがぶりんぶりんと老いも若きも歩いていたが、それをカフェの窓越しに眺めつつ優雅にコーヒーを飲んでいた N の最大の疑問は「あの人たちどうやって飛行機に乗るの?」
確かに―。
いくらベルトは延長出来ても(あれは際限なく延長できるそうです)腹が前の席につかえて乗れないよね。かといってビジネスでもそんなに椅子の幅が広いわけでなし。
その辺をくわしい人に聞いてくれと N に頼まれた私、人脈を通して調査してみました。
おデブが乗る際は基本、エコノミー席の二つ分か三つ分。これは肘かけを上げるだけなので簡単らしい。ただ前後の幅については席をレールから外せるので外すのかもしれないとのこと。しかしそうなると気になるのはお値段。たとえば隣二つと前を外したとして都合六席分占領したら六人分も払うのか?? そんなにみんなお金持ちそうでもなかったけど。
答えは No (少なくともカナダの航空会社相手に争われた裁判では)。好きで太っているわけではないので差別になるかららしいです。えええええ??
そこまで太る前に気づいたらいいだけちゃうんー、私とあの人らと同じ値段っておかしくないかーと納得できない私はうすっぺらい体の日本人です、はい。
ビキニなんていらんってーと言い張る N にいや、ビーチでちょっとくらいハワイ気分に浸るから、水着はいるしーと無理やり買わせた私。私の方は海外でスパに行くとき用に何着か持っているので、まあ一回はビーチーに出てみましょと、ホテル前のビーチに繰り出した。
パラソルは10ドル(確か二時間で)と結構なお値段なので、木陰に陣取って、N が災害用袋から持参したレジャーシートに座ってしばし眺めに興じる。
スリムな人もおデブちゃんも全身タトゥーのマッチョなお兄さんもみな思い思いに日光浴やボディボードを楽しんでいる。謎なのは、水着にフラッシュガード、短パンの下に黒のレギンスまではいた謎のアジア人女性たち。そこまでせんでも…。
水着の上にフード付きのパーカーをはおっていただけでも私は袖をつかまれて「なんでこんなの着てるの?」と白人男性に聞かれたぞ。
「日本じゃ日焼けするのははやってないのよ」と答えたのだが、タイツ隊の皆さんなどはどう思われているのだろうか。ハワイで隠密修行中の忍者の群れとか・・・
まあそれはさておき海&マンウォッチングをしていた我々の注目を独り占めする日本人が…
その名も「ケイコ」である。ものすごくテキパキしてできそうなお母さん、あーあビーチ(禁酒です)よりプールサイドでビール飲みたいよなあとお疲れ目のお父さんに、ハワイにやたらとテンションの上がる7歳くらいのお姉ちゃん、まだ乳幼児の弟に「ケイコ」という五人連れの日本人ファミリー。
テンションマックスのお姉ちゃんは母親譲りで仕切りたがり。すべからく動作が遅くなかなか後をついてこない妹に「ケイコ、ケイコ」「ケイコ」「もう、ケイコ」と甲高い声で絶叫し、ビーチのそのあたりにいた人々の苦笑を誘い、我々の脳にはしっかりその名前が焼き付いたのである。
いかなケイコ、のんびり屋ではあるがわが道を行くタイプなのか、姉に怒られようと動じない。彼女なりにハワイを満喫中。母親と弟が先に引き上げ、姉妹の監督を命ぜられたお父さんが、しぶしぶ波打ち際で二人を遊ばせ、三人の帰り際。相変わらずしんがりを行くケイコは数歩遅れつつ、砂にまみれたわが両手を見て何か思案中だったが、おもむろに小さな両手を広げて怪獣の恰好。「わぁー」
脅かそうと声をかけたのに、パパもお姉ちゃんも反応ゼロ。というか誰も気づいていない。
ケイコの渾身のネタをー! 誰か反応してあげて! わ、びっくりしたとか言ってあげて!
大丈夫、ケイコ。あなたの可愛らしい怪獣ポーズは渚のアイドルとして私達の胸に深く刻まれたからね。そのポーズで何度も写真撮ったからね。
これ以降日本人ファミリーを見るたびに我らがアイドル、ケイコはいないかとつい探してしまった我々であった。おっとり屋さんのケイコに幸多かれ。
のんびりが目的の今回の旅、特に意識はしていなかったのだか結果的にワイキキビーチの喧騒を避けた場所が楽しかった。
穴場 その1 ―ダウンタウンにあるホノルル美術館。
最後までダイアモンドヘッドに上るか迷っていた我々だがこちらにして正解。こんな素敵な美術館とは思わかなった。
NY の建築家、バートラム・ヒュー、デザインの建物がまず素敵。地中海の庭と中央の中庭、そして中国の庭を囲むようにギャラリーが配置され、中庭好きの私はあまり人気もなくひんやりとした美術館独特の雰囲気にすっかり魅せられた。8浮世絵等の日本美術やアジアのコレクションも充実。ゴーギャンは南国で見ると更に素敵。ハワイの画家たちのアートもある。
こちらのカフェは人気のランチスポットらしいのだが残念ながら時間が遅くて食べられず、代わりにバーでお茶にしたが、タルトのサイズやらお茶の種類を細かく尋ねる我々にも丁寧に答えてくれた物腰やわらかなお兄ちゃん。ちゃんとケーキフォークも言わずとも二つ持ってきてくれたりと、アメリカ人もその気になったら「気配り」できるんやんーと N を感激させていた。
ここで我々は途方に暮れる息子を挟んで爆睡する日本人両親を目撃。まあ、旅行ってそれだけで疲れるしね、日差しも強いし。でもテーブルに突っ伏してってちょっと寝すぎなのでは…
穴場 その2 ― NorthShore にあるワイメア植物園
サーファーのメッカであるノースショアー。そちらではもちろん海岸で遊ぶもあり、(波がない時期ね)、ハレイワタウンという昔ながらの街並みを楽しむのもいいらしいが、こちらの植物園を見るといかにハワイが周囲から隔絶されていながらも豊かな天候と水のおかげで独自の植物や鳥たちをはぐくんできたかを実感できる。ゆっくり歩くととにかく広いので一時間以上かかるし、滝つぼで泳ぎたいとかあるともっと時間が必要だけれど、鳥のさえずりを聞き、南国の花々を愛でながらゆっくり散策するにはもってこい。滝まではなだらかな上りが続くので足が弱い人にはちょっと辛いかもしれないけれど、マイナスイオンは確実に浴びまくり。 時間によってはフラのショーもあるかもです。ってまた歩いてますね。もう歩かないぞって言ったのに…
その1
現地の人の英語がかなりラフ。まあもちろん人にもよるんですが。
宿泊していたのは某マリオットなのに、ベルボーイに荷物預けようとしたらWhat do you want?
と聞かれた。おおーい。もし日本でベルボーイが客に「あんた何したいんや?」って聞いたらえらいことになるよ。
その2
これまた結構高級ホテルの中のスパに行った時。確かに日本人向きで少し安く、施術してくれたのは日本人だったけれど、Nより10分短かった私の施術が終わった時、全くの無言で出て行かれた。アジアや日本のスパの「ここがお疲れですね」とか「ありがとうございました」とか着替え終わったら荷物を抱えて待っててくれるとかそんなサービスは一切なし。そういうもんなのかな。
その3
オプショナルで体験乗馬とかできるツアーに申し込み、張り切って15分も前から待っていたのに置いてかれた。確かに待ち合わせ場所はその日に帰る人たちや他のツアーでごった返してはいたけれど。更にタクシー代払って追いかけてーと言われたので苦情を言うとリムジンを出してくれた。でも着いたらほうりっぱなし。私ら何とかできるけど、言葉わからん人とか、たとえなんとかなってもツアー中ずっとものすごい不安やと思うけど…
その4
この牧場でのお昼が全くもって辛くないカレー?らしきもの。上記の理由で、自分で待ち合わせ場所とか聞きにいった後、トイレで鏡見たら、思いっきりそれが顎についていた。N に「もう、教えてくれよー」と責めたら「えー、気付かなかったよ」
受付のお姉さん、よほどこの人帰りも置いてけぼり喰わないように慌てて食べたのねーと思われたに違いない。やってしまった。あー恥ずかしい。
その5
なぜかこちらで出くわした日本人はすべからく関東弁というか標準語だった。そして若い女子の会話がA:キレイだねー B:キレイだねー A:よかったねー B:よかったねー A:マキシ買いたいなー B:そうだねー
はあぁ? オチはないんかい、オチは!
せめて「どの辺で買いたいの」とか「何色が欲しいの」とかないんか!!
そのイントネーションにイラっとし、また中身のなさに唖然とする私に悟りの境地のNの一言。「いまどきの若者の会話ってああなんじゃないの」
そうなんですかね。鸚鵡じゃあるまいし。少なくともうちの学生の会話の方が聞いててたまに爆笑するくらい面白いぞ。あ、面白くなくていいんですね、すいません。
身体と心に気持ちのいい事が大好きな、自分に甘いO型人間。 映画は堅すぎるドキュメンタリーをのぞいて、こてこて恋愛物からホラーまでとりあえずなんでも食いついてみる系。