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FRENCH BLOOM NET 年末企画(1) 2018年のベスト音楽

text by / category : 音楽

恒例の年末企画。第1弾は2018年のベスト音楽です。今回はFBNのライター陣の他に、マニアックなフランス音楽とフランス語のツィートでおなじみの福井寧(@futsugopon)さん、POISON GIRL FRIEND の nOrikO さん、神戸を中心に活動するフランス語で歌うシンガー、小関ミオさん、フランス系音楽ライターの丸山有美さん、音楽プロモーターのわたなべさんに参加していただきました。

福井寧(@futsugopon)

Hollydays – Hollywood Bizarre
■ホリデーズは今のフランスに数多いエレクトロポップの男女二人組の一つ。ユーリズミックス編成だが、フランスのポーティスヘッドといった趣。グループ名はマドンナのヒット曲から来ているが、Hollywood風に綴りを変えている。ヴェロニク・サンソンの「バイーア」やニアガラの「海辺の恋」などのフレンチポップスの悲しげなカバーが注目されたが、デビューアルバムはオリジナル曲で構成されている。「毎朝マリフアナたばこの臭いのせいで最低の気分」という見事なまでのルーザーの歌L’odeur des jointsを初めとするキャッチーな哀愁メロディーが目白押し。歌謡曲的な下世話さがあるところもよい。ヨーロピアン哀愁ポップスファンにおすすめの一枚です。
動画 L’odeur des joints 
L (Raphaële Lannadère) – Chansons
■Lことラファエル・ラナデールは1981年生まれの女性歌手で、これが3枚目のフルアルバム。デビューアルバム『イニシャル』はL名義、セカンドは本名のラファエル・ラナデール名義で題名が『L』だったが、今回作はまたアーティスト名がLに戻った。前作はエレクトロポップ風の音だったが、ただ『歌』と題した今回作は弦楽合奏をバックにした、コステロとブロドスキー・カルテットの共演盤のような感じの室内楽風のポップス。シャンソンの伝統を感じさせながら古臭さはなく、むしろファーストよりも現代的な響きになった。以前から高い評価を得ていたアーティストだが、この三作目はこれまでの最高傑作だろう。全く商業的でない音楽だが、これからも我が道を突き進んでほしい。
動画 Laisser passer 
Bon Voyage Organisation – Jungle ? Quelle Jungle ?
■ボン・ヴォワヤージュ・オルガニザシオンはキーボード奏者のアドリアン・デュランを中心としたプロジェクトで、これがデビューアルバム。名前のOrganisationはクラフトワークの前身グループからコンセプトをいただいている。いかがわしい中華風オリエンタリズムをただよわせつつマーティン・デニーのトロピカルサウンドの要素も取り入れたラウンジミュージック風のコズミックSFダンス音楽。アドリアン・デュランはYMOが好きだそうで、シンセサイザーは80年代以前の機材を使っている。最近のディスコリヴァイヴァル風音楽の中では知的な雰囲気だが、頭でっかちな理論派ではなく、どこか人懐っこさを感じさせる。ステレオラブなどが好きな人におすすめ。
動画 Goma 
■ここに選んだものの他では、クララ・ルチャーニ、エディ・ド・プレト、バガール、グラン・ブラン、シュヴァルレックス、パラティーヌ、ミオセックなどのアルバムをよく聴きました。ベストアルバムには入りませんでしたが、2018年のフランスは全体的には去年に続いてラップが元気な年で、90年代後半に続く二度目のラップ黄金期を迎えています。一時期ラップはラップファンだけが聴く音楽でしたが、再びみんなが聞く音楽になりましたね。
■2018年のフランス語の歌を25曲選んだプレイリストをつくったので、ご参考までにリンクを張っておきます。
https://www.youtube.com/playlist?list=PLaICJoTGUCPnzgh3VzMmwBwBYXtmF9wUC
@futsugopon
1967年生まれの日仏通訳・翻訳業。青森市在住。全国通訳案内士(フランス語・英語)。2019年は訳書が出るかも。フランス語・英語スクールを近々始める予定。
http://aomori-france.com

nOrikO(POISON GIRL FRIEND)

Vanessa Paradis “Les Sources”
■10年か、もっと前に、Vanessa Paradisのメイリングリストに登録してからというもの、新譜が出る度に律儀にお知らせが届くのですが、前回は2014年、Benjamin Biolayとの ”Love Song” でしたが、あれからもう4年も経つのですね。今回も届いたメールで、先行 Single の”Ces mots simples”をMondinoが撮ったクリップが公開されて、それがまるで昔のシャネルのCMを彷彿とさせる姿にうっとりといたしました。今作も、彼女のコケティッシュな声の魅力がいっぱいです。ロリ声のイメージがありますが、実は地声はハスキーなアルトの声で歌の上手い方かと。
Michel Polnareff “Enfin!”
■ついに!ついにミッシェル・ポルナレフ御大の28年ぶりのニューアルバムを聴くことができました。実は、今回別のフランス女性シンガーのアルバムを紹介しようと思っていたところ、〆切までに入手したので、急遽紹介させていただきます。先行シングルは、ピアノの弾き語りのライヴ録音ぽいラフな作りだったのですが、アルバムはいきなりプログレッシヴ・ロック?かと思うような10分のインストルメンタル曲で幕開けし、バラエティーにとんでいます。私のお気に入りは10曲目の“Dans Ta Playlist”。この曲、ちょっと今再燃しているQUEENの曲っぽいですよ。故フレディ・マーキュリーが歌ってもぴったりくる気がします。
Paul Weller “True Meanings”
■高校生の頃、リアルタイムで The Jam のラストシングル”Beat Surrender”を聴き、最後にして最高の曲!と感動したものですが、その後に結成したスタイル・カウンシルは、ラストシングルを彷彿とさせる新しい音世界を展開し、オサレ系カフェバーの BGM の定番となり、オリーブ少女たちも夢中になっていました。その後、スタイル・カウンシルが解散し、ポール・ウェラーがソロになると、再びロック色が強くなり、離れてしまった私ですが、今回はアコースティック作品ということで、すぐにポチりました(はい、未だにCD派です)。もちろん全曲英語ですが、私はこれは還暦を迎えた男のシャンソン・アルバムとして心の一ページに刻みます。
POiSON GiRL FRiEND
1992年、ビクターよりCDデビュー。2000年から2004年まで、フランスのストラスブールへ渡り、フランスを学ぶ。帰国後の2006年からライヴやDJ活動を再開。そのテクノとフレンチ・ポップスとの融合ともいわれている音世界は20年経っても不変である。2018年5月、テクノミュージシャンとのコラボアルバム « das Gift »をリリース。

小関ミオ(シンガー)

Angèle「Tout oublier」
■ベルギー出身の若き歌姫 Angèle は、フレンチポップス界で今最も売れっ子のシンガーソングライター。ポップ、RAP、シャンソンを MIX した独自のスタイルが最高に心地いい。彼女のアルバム「Brol」には恋愛の曲だけでなく、「Balance ton quoi」というタイトルでは社会問題でもある[# me too]について書くなど、全曲を通して彼女の世界が素直に表現されていて、何度聞いても素晴らしい。中でも一番のお気に入りは「Tout oublier」。 Angèle の実兄でラッパーの Roméo Elvis とコラボレーションしている曲だ。「私たちは全て忘れるべきなの。信じるために、全て忘れるべきなの」「目を閉じて。あなたの孤独を忘れて。彼女があなたを傷つけたことも、彼があなたを騙したことも全て忘れて」「幸せはとてもシンプル」どれだけこの曲に慰めてもらったことか。
Aya Nakamura「Pompom」
■フランスのみならず、ヨーロッパにおけるAya Nakamura旋風は今すごいことになっている。コンサートのチケットは2時間でソールドアウト。男性への率直な女性の感情を、なんとも言えない独特の歌詞で直球的に代弁してくれているので女性ファンが圧倒的に多く、私もその中の一人だ。フランス人の男友達といる時にAya Nakamuraの曲をしつこく流したり口ずさんでいると呆れられるほど。今年リリースされたアルバム「NAKAMURA」には「Djadja」を始め彼女のヒット曲も収録されているが私がオススメしたいのは「Pompom」という曲。ギターリフから始まるイントロが特に好きで、歌詞のノリが天才的なのだ。「viens ser-dan ser-dan」(さぁ踊って、踊って)と潜在意識を揺さぶってくる。彼女の曲には挑発的な内容も多いが、この曲は素敵なラブソングでもあるので好きな男の子と一緒に踊りたいところだが、しつこく流していたら呆れられてしまうのだろうか笑
Barbara 「Du bout des lèvres」
■3曲目はカナダのアーティスト D R M S & L’Isleの「La Vague」と最後まで迷ったが、今年日本でも映画が公開されたフランスの伝説的シンガーソングライターBarbaraで締めくくろうと思う。私が編集長を務める日本とフランスをつなぐ情報誌「ENVIEジャーナル」の中でもBarbaraへの想いを綴っているので併せてチェックして頂けたら嬉しい。フランス国内では古典的シャンソン文化は既に廃れ、もう誰も聞かない。とも言われているが実はそうではない。Barbaraがそうはさせない。近年、フランスの若手人気アーティスト達がこぞってBarbaraの曲をカバーし始めているのだ。私もよくライブでカバーするのだが、今年一番歌ったのは「Du bout des lèvres」(口先で)という曲。愛を囁いてくれなくなってしまったパートナーへの切ない想いが苦しい。年齢を重ね、人生を歩み、自分の中に生きるBarbaraがようやく目覚めたところ。歌わないと死んでしまいそうで、歌っているとこの上なく幸せで、Barbaraの孤独が乗り移ってしまったようだ。
小関ミオ
幼少からフランス語を勉強し、フランス語で作った最初のデモをきっかけにシンガーとしてのキャリアをスタートさせる。ENVIE 名義で作詞作曲家として多くの詞曲提供を手がける。2016年から活動の場を神戸に移す。日仏繋ぐ文化交流誌「ENVIEジャーナル」の編集長、日仏イベントの司会や、夏木マリ主宰のカンパニー「マリナツキテロワール」のパフォーマーの一員として2017年には東京・京都・パリ ルーヴル美術館の公演に出演するなど、様々な表現活動を行っている。http://www.envie-official.com/

丸山有美(ライター・翻訳者)

L.E.J – Poupées Russes
■メンバーのリュシー、エリザ、ジュリエットの頭文字を合わせたL.E.J.(エリジェ)。パリ郊外に育った1993年生まれの3人は、2013年、フランスのバンドTryoがFacebook上で行なったコンクールでみごとに優勝。2015年にYoutubeにアップしたパフォーマンスが話題となり、一躍国内外から注目を集める存在に。ヒップホップやR&Bの要素にチェロのクラシカルなサウンド、キレのいいパーカッションに3人の息のあったヴォーカルがクールでドラマティックなアルバムPoupées Russes(プペ・リュス)はマトリョーショカの意味。切っても切り離せない3人を象徴する1枚である。
https://youtu.be/QQi_dR6GiSU
Boulevard des airs – 旅立ちの朝(Bruxelles)
■フランス・ピレネーの町、タルブを拠点に活動する BDA。2004年に高校の友人同士で結成し、2011年にデビューシングルを発表するや、ブラスを利かせた“揚がる” サウンドとエネルギッシュなライヴで瞬く間に人気バンドの仲間入りを果たした。先述の Tryo の年の離れた弟分的な存在でもある。フランスで2015年に発売された« Bruxelle »には ZAZ をゲストボーカルに迎えた Demain de bon matin(旅立ちの朝)を聴くことができるほか、今夏フランス発売され大ヒット中の新アルバム«Je me dis que toi aussi »のタイトル曲を含むボーナストラック4曲を収録した豪華盤である。
https://youtu.be/qP8wOQzpoY4 
Ruby Throat – Stone Dress
■90年代の英国オルタナシーンで活躍したデイジー・チェインソー、クイーン・アドリーナのシンガーとして、キュートでエキセントリックなルックスとクレイジーな存在感が注目を集めたケイティ・ジェーン・ガーサイド。彼女が通りがかりに耳にした演奏に惚れ込んだギタリストのクリス(公私ともにパートナー)と2006年に結成したRuby Throat は、ノイジーを特徴とした過去2バンドから一転、デュオ名にふさわしく、ハチドリのかすかな羽音を髣髴させる繊細なサウンドとヴォーカル、リリカルな内面を突き詰めた世界観が魅力的。 « Stone Dress »は、過去4枚のアルバムからお気に入りを集めたコンピレーション。
https://youtu.be/6M3oEITick0 
丸山有美(まるやま・あみ)
大学卒業後、紆余曲折を経て渡仏し、現地で日本語講師を経験。帰国後、芸術家のアシスタント、ポッドキャストChocolat の立ち上げメンバーとしてサブパーソナリティを務めるなどフランス語を使いながら数々の職業を転々としたのち、ひょんなことから未経験の出版業界にスカウトされて雑誌「ふらんす」(白水社)の編集長に。現在、フリーランスとして編集・ライティング・翻訳・デザイン・イラスト制作・イベント企画・司会などに携わる。
twitter : @Mlle_Amie

粕谷祐己(世界音楽研究家)

Gérald Toto, *Sway*
友人だから言うのではないですが、2018年のベスト。カリブの海を思わせるジェラルド・トトのさわやかで優しく官能的なヴォーカルが心地よいアクースティックな音に乗って広がります。20年前のソロ・デビュー作*Les Premiers Jours* 『はじまりの日々』は世界のCD売り上げの三分の一が日本だったそうだし、日本と相性がいいのではないでしょうか。昨年のToto Bona Lokua第二弾*Bondeko*で前面に出たのがきっかけになったのでしょう、最近ソロではちょっと寂しい感じがしたのが今回やっと彼本来の暖かい海に戻ってきました。今トゥールーズに住んでいる彼ですが、曲がほとんど英語なのは、彼の周囲にいる人たちのせいかな。
Ammar 808, *Maghreb United*
長年、チュニジアには重みを感じさせるいいアーチストがいないなーと思っていたわたしですが、Sofyann Ben Youssefには脱帽です。マグレブではこれまでなかった感じのエレクトロで、伝統音楽を踏まえていても受ける印象が大きく違います。そうか、このあたりの音楽はこれからこっちの方に(も)行くのか、と未来を感じさせる一作となっています。
Sofiane Saidi & Mazalda, *El Ndjoum*
*Maghreb United*にも登場しているソフィアーヌの新作。「ライ大好き」としてはいかにもライという感じのCheb Kader Japonaisを個人ベストに持って来たいのですが、ライがベースでもいろいろ苦心して音に工夫を重ねてくるソフィアーヌが、日本のリスナーにはいいのかもと思いました。
粕谷祐己(または雄一。かすや・ゆういち)
フランスの作家スタンダールの研究から始めて世界文学をかいま見、アルジェリア・ポップ「ライ」から始めて世界音楽を渉猟する金沢大学国際学類教員。大学院でご一緒に「ワールドミュージック」研究しませんか? blog.goo.ne.jp/raidaisuki

タチバナ(FBNライター)

『パリアルディ: 歌劇《カリギュラ》』(ヴァンサン・デュメストル &ル・ポエム・アルモニーク)
近年にスコアが発見されたパリアルディのバロックオペラを、フランスの古楽アンサンブルが、シチリアの伝統操り人形とのコラボレーションによって実現した復活上演の記録。
ローマ皇帝カリギュラが魔法の薬を飲まされたという逸話を潤色して、カリギュラが錯乱する場面を、人形によってサイケかつコミカルに演出している。ついつい人形のことばかり話してしまうが、パリアルディの表情豊かな音楽と楽団の演奏や歌声も、人形劇に劣らず素晴らしい。
なお、リンク先はアマゾンを貼るが、タワーレコードの方が2割近く安い。また、映像そのものは、フランスのサイトで公開されている。下記リンクを参照のこと。
https://culturebox.francetvinfo.fr/opera-classique/musique-classique/baroque-rocks/operas/caligula-opera-et-marionnettes-avec-le-poeme-harmonique-281885
2. 『ムタフカズ O.S.T』(The Toxic Avenger)
『ムタフカズ』は、今年公開された日仏合作のアニメーション映画(バンド・デシネ原作)。本作で声優をやっている満島真之介が日本語版のラップも一部担当したことで話題になったが、サントラ全般を手がけているフランス人DJのThe Toxic Avengerによる音響世界が、なんとも刺激的で心地よい。https://youtu.be/MF1BsflqbNY
3. 「Smells Like Teen Spirit」(Shaka Ponk)
言わずとしれたNirvanaのカバー。オリジナルが良いのは当然として、このPVのいかがわしさにつられて、今年は何度も視聴した。フランスのロックバンドShaka Ponkは去年発売のアルバム『The Evol’』もなかなか良かった(今年の年末ベスト映画で紹介した『軽い男じゃないのよ』でも本アルバム収録曲が使われている)。
https://youtu.be/MEecsZXQjCs
□今年はジャズ・トランペット奏者ロイ・ハーグローヴが40代の若さで亡くなってしまったこともあって、英国の人気バンドThe 1975がロイをフィーチャーした「Sincerity Is Scary」もよく聴いたかもしれない。
https://youtu.be/1K93ioXL63c
□私事だが、昨年この企画で紹介した国内のインディーズバンドが今年12月に無期限活動休止となってしまった(涙)。

サツキ*Small Circle of Friends 

Charlotte Gainsbourg – EP「Take 2」
2018も終わりに差し掛かった12月に発表された新作EP「take2」は、5曲収録のシングルとの報せに『Rest』後、今の彼女の状況の良さを感じるライブMV「Remarkable Day」は爽快でした。SebastiAnに加えproduceにフランクオーシャンが参加していることにも個人的興趣が尽きないところですが、昨年7年ぶりに『Rest』をリリース後、シングルを送り出す「今」の彼女にこそ引きつけられる思いです。もはや何者でもないシャルロットの「メソッド」はアップデートし続けているのだな…。シャルロット自身今をよく理解し、状況を熟知し生き、表現者として、例えば詩を綴ることにおいても『Rest』制作後のインタビューで、「姉の悲しみを書いたところで悲しみが消えるわけではなかった」と語っていたけれど。いろんな混乱のさなかであっても、創作することにムードや環境、心持ちは大切な役割だけど、それだけでコトが進むわけではないことを体得した証が『Rest』だったんだなと思うと、今回のシングル、そしてこれからの彼女のクリエートが楽しみでならないのです。もちろん、彼女の人生は、昔も今もそしてこれからも想像も及ばないけれど。「生意気シャルロット L’Effrontée」は、未だ更新中。
https://youtu.be/tJLuSpGTOvU
http://www.charlottegainsbourg.com
Paul White – Rejuvenate
UKのヒップホップ・プロデューサーとしては、Danny Brownのアルバム・プロデュース、Open Mike Eagleとのコラボ・アルバム等が有名だけど、ソロ作もコンスタントにリリース。前作『Shaker Notes』はサイケデリックロックとアフリカンパーカッション、そして自身の歌声のミックスが、捉えどころのない浮遊感を醸し出し、独自な音楽に成っていました。
今作『Rejuvenate』はドラムやシンセなど全て演奏することでサンプリングループ感を無くし、また複数のヴォーカリストを起用しポップな印象を強め、よりロックの持つダイナミズムを推し進めたアルバムになっています。サイケデリックな要素は健在ですが、混沌とすることなく、牧歌的でどこか「軽い」ところがこの人の良さだと思います。フィーチャリングのボーカリストの曲が続けて配置されてる曲順に「ライブに次々とゲストボーカリストが登場」する様子が思い浮かび想像できて、なんだか可笑しいです。
https://paulwhite.bandcamp.com/album/rejuvenate
https://www.factmag.com/2018/06/29/paul-white-in-the-studio/
The Internet – Hive Mind
The Internet としては4枚目のアルバムですが、Steve Lacyやpatrick paigeが加入して「バンド」として一つにまとまった「新生インターネット」というイメージが強くて、これがなんだかセカンド・アルバムのような印象です。前作の『Ego Death』で知名度も上がり大躍進を遂げた彼らがどんな新作を作るのかとても楽しみ、且つ期待値も上がりっぱなしだったけど、そんな気持ちを『するり』と去なすような軽やかさを持つアルバム『Hive Mind』でした。
Steve Lacyのボーカルパートが増えたのも自然の成り行きにまかせた結果だろうし、「Roll」のようなブギーファンク色の強い曲が出来たのはかなりの量のライヴをこなしているうちの「レパートリーとしての曲制作」から来るものなのでしょう。決して洗練されていない録音・ミックスダウンのデコボコ具合もチャーミングで大好き。幸せになれるアルバムです。・・それにしてもジャミロクワイ好きなんだろうなぁ・・。
https://youtu.be/IwtrJ4uQE2M
https://en.wikipedia.org/wiki/Hive_Mind_(The_Internet_album)
*Small Circle of Friends サツキ
ムトウサツキとアズマリキの二人組。
1993年、united future organizationのレーベル”Brownswood(日本フォノグラム)”よりデビュー。以来、11枚のフル・アルバムをリリース。代表曲「波よせて」は20thを迎えました。最新は2017年10月25日、「STUDIO75」の4枚目のアルバム、『Over Your Shoulder』をリリース。
Small Circle of Friends a.k.a STUDIO75 are Japanese multi-genre artist duo and music production unit of Satsuki Muto (Vocal, Programming, DJ, fashion designer)& Azuma Riki (rap, vocals, programming, DJ), combining the sounds of hip hop, soul, electronic, and jazz.
‪http://www.scof75.com/

わたなべまさのり(ビー・アンクール・ドットコム株式会社)

Aviary: Julia Holter
■企画モノを除いた前作(Have You〜)が明らかなポップ路線でそっち方向への完全移行が心配で(笑)。ところが針を下ろすと…キター!!!! 最初の数分で心配一掃(笑)。この自由さ。Julia ワールド全快の90分。 以下同率2位です。念のため付け加えさせていただくと、全部買って聴いています(古い人?笑)。
Boarding House Reach: Jack White
■彼の音楽、聞こえてくる度に面白い印象は持っていましたが初めてアルバム拝聴。幅広い音楽性、かっこいいフレーズの多さ、アルバムとしての構成、等等いやとても良いです。ちょっとPrinceを思い起こさせもします。
Between Yesterday And Tomorrow: Natalie Dessay, Michel Legrand
■数回のお披露目公演以外は殆どor全然演奏されてないのがとても残念。音楽的には古典的だけど、その魅力を活かしたゴージャスな演奏、そして Natalie の表現力。2018年最高の POP オペラ作品かも。(オペラやってた人だからではなく!!)
Heureux !: Ange
■自分が聴いた大ベテランが出したアルバム中では一番。実はヴァイナルとCDは同内容ではなく、曲順がちがう(アルバムの終わり方もちがう)だけでなくエディットがちがう曲もあり、まるで川が途中で二またに分かれて2つの流れがある感じ。
Masseduction: St. Vincent Quiet River Of Dust Vol.1: Richard Reed Parry All That Reckoning: Cowboy Junkies Steve Reich Drumming: Kuniko (未だ買っていませんがライブで全曲聴いての評価です)

cyberbloom(FBN管理人)

FOREVER PAVOT – Le Beefteak
アルバム”La Pantoufle”が出たのは去年だが、このシングルは今年の頭に出た。2015年にも取り上げ、初期のピンク・フロイド、ゴング、ソフト・マシーン、カンなんかを思い出させるサイケで多彩な音と評したが、もうちょっと普通にやってくれると嬉しいんだが。https://youtu.be/U1JDBKvPvMI
CHARLOTTE GAINSBOURG – Such a Remarkable Day
2017年のアルバム『Rest』に引き続き、フレンチ・エレクトロ・ユニットのセバスチャン(SebastiAn)プロデュースの新しいEP『Take 2』(12月14日にリリース)に収録。ライヴ・ミュージックビデオが鮮烈でした。ビシバシくるビートと音の洪水の彼方から聞こえてくるウイスパーボイス、というパターンが結構すき。https://youtu.be/tJLuSpGTOvU
SILENT POETS / Asylums For The Feeling (feat. Leila Adu)
デビュー当時から聴き続けている、SILENT POETS の12年ぶりの新作「dawn」から。そんな経っていたかしら。タイトルが示すように、心の避難所のような音。We are here for you Don’t suffer alone Tell us と語りかけられ、美しい映像に息を呑みつつ、素直に心を開く。https://youtu.be/c8MLKuc4Rxc



posted date: 2018/Dec/22 / category: 音楽
cyberbloom

当サイト の管理人。大学でフランス語を教えています。
FRENCH BLOOM NET を始めたのは2004年。映画、音楽、教育、生活、etc・・・ 様々なジャンルでフランス情報を発信しています。

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