「フランス語の綴りが変わる」というニュースが飛び込んできた。実はこの綴り改革は1990年にすでに承認されていたのものだというが、仏紙リベラシオンの記事「Réforme de l’orthographe : ce qui change vraiment 綴り改革:本当に変わるもの」に沿い、改めて一体に何が変わるのか見てみよう。
1990年にアカデミーフランセーズによって承認された綴り改革は、来学期の教科書でより目に見える形にしなくてはならないだろう。アクサンシルコンフレクスは本当に脅かされているのか?解読してみよう。
この改革は1990年にアカデミーフランセーズによって承認されたが、ほとんど適用されてはいなかった。綴り字改革は、次の新学期から新しくなる、学校の教科書に自動的に採用されるだろう。「綴り字教育は1990年12月6日の官報に記載された、修正された綴り字に準拠する」と2015年12月26日発行の国民教育の官報に示されており、水曜にいくつものメディアに指標とされた。フランス語の上級評議会の勧告はアカデミーフランセーズによって有効とされ、2000以上の単語に関わるもので、今後2種類の綴りを持つことになる。2つ書記法が受け入れられ、現在の綴り字は慣用として残るだろう。5つの質問によって解読してみる。
この改革によってまず変わるのは、しばしば私たちの言語が進化する過程で消えた「S」の名残であるアクサン・シルコンフレクスである。CP(cours préparatoire、小学校の準備科、小学校1年生)たちを悩ませているこの「帽子」はもう i や u の文字の上に載せる必要がなくなる。ただしそれが動詞の語尾(「qu’il fût」単純過去)を示していたり、固有名詞だったり、意味の区別をもたらす時を除いて。例えば「mûr 熟した」は、「mur 壁」と混同しないようにアクサンを残す。一方動詞「s’entraîner」はアクサンなしのただの i だけで書かれ、もう誤りとは見なされない。
さらにアカデミーの照準は、トレデュニオンと「ph」の綴りに向けられる。「chauvesouris」「millepatte」「portemonnaie」「weekend」は一語で書いてよいことになる(week-end → weekend)。アカデミー会員たちがまた、直感的に一致しない綴りを簡素化し(「oignon」の代わりに「ognon」、「nenuphar」よりも「nenufar」)、同族の単語の不規則を修正したり一貫性を持たせる(例えば「souffler」と「boursoufler」では、後者は「f」を二つにしてよい)。
他に変わる点として:いくつかのアクサン(「cèleri」「crèmerie」「règlementaire」「sècheresse」)、さらに動詞「laisser」に不定詞が続く場合、過去分詞が不変化になりうる(elle s’est laissé mourir、ils se sont laissé faire)。
全部で、2400の単語、フランス語の語彙のおよそ4パーセントが刷新(リフティング)される。
安心してください、基本的にあなたが、見直され、修正されたプルーストの改訂版に出会うということはないはずです。改革の修正は、学校図書にのみ適用されます。この綴りの変更の採用を決めたのは、教科書出版社、特に Belin 社です。来学期から配布される、それらの新しい綴りと文法の図書には、先生や親御さんをあまり驚かさないように、「新しい綴り」と記されたマカロン(=丸い印)がついています。
改革は2016年の新学期から学校教科書において、より存在感のあるものになるが、実は1990年以来適用されていると見なされている。アカデミーフランセーズの勧告はこの日から有効だったのだが、どちらかといえば注目されてこなかった。というのもこれらは義務では全くないからだ。2種類の綴りは受け入れられているし、教師もすべての公務員もどちらも使ってよいのだ。もっともいくつかの過去に出版された教科書、特に Hatier 社の物は、すでにこの新しい綴りを組み込んできた。
来学期の一般化は文部省とは何の関係もないと大臣ははっきり言っており、出版社によって決定されたものだ。フランスの学校プログラムは、そもそも2008年からこの綴り字の修正を採用したのだが、当時の資料が示すように(ここでオンラインでアクセス可)、もっと目立たない形だった。
修正はフランス語の進化に沿ったもので、生徒たちの習得を容易にするものと見なされている。「17世紀から常になされてきたように、また大多数の近隣諸国でなされているように、その使用をより確実なものとし、一貫性があり熟慮された修正を綴りにもたらし続けること」が重要である、とアカデミーフランセーズは1990年の文面で説明していた。アクサンシルコンフレクスの場合、今見てきたように、特に注意を払う対象となったが、アカデミーはそれが「フランス語の綴り字の大きな障害となっており」、「その一貫性のない恣意的な使用」が、「教育のある人々」にまで問題をもたらしていると見なしている。そしてこのアクサンの使用が見直され得ることが正当化されるいくつかの例を挙げる:同族の単語の中での(icône, iconoclaste ; jeûner, dejeuner ; grâce, gracieux)、あるいは発音の点で(bateau, château ; clone, aumône)、一貫性のない使用。
フランス語の改革とその習得に言及すると、しばしばフランス語が貧弱になり、最低に合わせた均等化が起こるのではという人々がいる。「覚えるのが簡単ではないという口実で、フランスの歴史上の日付をなかったことにするだろうか?いいえ。病人を手当てするより、体温計を壊す方が簡単だ。そこでこの際、今日の生徒たちが認める綴りの難しさを手当てするより、体温計を壊すことにした」、ニュースを知り、TF1 にインタヴューされた古典文学の教授はこのように嘆く。別の教授の説明では、改革のせいで、生徒たちに2種類の綴りを教えなくてはならなくなる、なぜなら新しい書記法は今のところ日常生活にまだ入り込んでおらず、後にフランス語の間違いと解釈される恐れがあるということだ。水曜の晩、ネットユーザーたちは、教授たちがアクサンシルコンフレクスが完全に消えると誤って解釈したことに激しく抗議し、ハッシュタグ#JeSuisCirconflexe を投下するほどだった。
Réforme de l’orthographe : ce qui change vraiment
Par Juliette Deborde
4 février 2016
Libération
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