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黒カナリア in Vietnam 再び 今度はハノイ二人旅

気に入った国があると何度も訪れたくなる私、黒カナリア。2年前に旅したベトナム、ホーチミンが思いの外愉しかったので、前からベトナムの他の都市を訪れたいと思っていた。

今回は珍しく親友の N も休みが取れたので、急遽本当に久しぶりの二人旅。現地二泊機内一泊の某 ○IS の弾丸ハノイ、ハロン湾ツアーである。

海外では初のガイドがつくお気楽旅である。しかしそれほどお気楽には行かないことも…

荷物はいずこに??

関空発10:30。印象的な色合いのベトナム航空で約六時間の空の旅。そこは久しぶりの女二人旅しゃべっていればあっという間、機内食も別段可もなく不可もなし。しかしこれって本当に首都の空港?―寂れた感じのハノイはノイバイ空港に着いてはみたものの、入国審査は実に簡単に終わったというのに、荷物が出てこない。

優先マークのついた荷物ですら30分を優に過ぎてテーブルをぐるぐる回る始末。社内旅行らしきおじ様などは「どうなっとるんや。どれだけ待たすんや」とかなりのお怒りモード。冗談で「休んでるんじゃない」とか「何個目にでてくるでしょうか」と退屈しのぎに賭をしていた我々も個数が90いくつを超えたあたりから次第に無言に。

50分近くを過ぎてやっと私の荷物が登場。しかしNのバナナモンキーのついたスーツケースはまだ出てこず。やっと揃って荷物を手にした時には一時間をゆうに回っていた。

それでも ○IS の出迎えの一行の中では一番先に出たようで、キュートなガイドさんに荷物を預け、バス移動の前にトイレに行った我々の前につぶれたゴッキーの洗礼が…ふと旅の先行きに不安を覚えた黒カナリアであった。(写真1)

マッサージ師えなり君&よしお

うーん、これは本当に四つ星?という実に微妙なホテルに到着したのは午後四時前。N によれば浴室には蟻んこがいたそうです。

この夜の食事だけは自前ですべし。ガイドブックと相談してまずは地元民にも人気のマッサージに行ってみることに。なまった英語の受付が出て、「二人でええ四時半、フットマッサージね」、と言うとこちらの名前も聞かずに電話を切られた。大丈夫かなと思ったが、台湾でもそうだったよ、というNの答えに「ふむ、確認なしはアジアのスタンダードかな」。違うと思うけど―と勝手に納得してフロントで両替とタクシーを頼んで出発。ま、向こうもこちらの英語でとりあえず外人客が来るのはわかるのであろう。

マッサージ店まで早速のバイクの洗礼に会うも、この日は土曜と言うことか、やや時間が早いのかホーチミンの夜ほどの数はおらず、でもクーラーなしのあけっぱの窓から入る空気は当然悪く、タクシー内でもマスクを着用。

店に入ると受付嬢が慣れた感じで案内し、奥の部屋へ。いくつかのタオルで覆われた寝椅子が置かれた、中間照明の落ち着いた部屋である。現れたマッサージ師は14、5歳の少年にも見える若者で、私の担当はえなり君そっくり、N の担当は小島よしお似である。

着替えてーと短パンを渡されたもののどこにも着替え部屋はなし。指されたのはトイレである。

むむ?まあ、安いからね。

トイレ着替えが若干?なものの室内は清潔そうだし、すぐに温かいコーン茶といい香りのおしぼりに、足湯が出てくるあたり気が利いている。

細身のえなり君は顔に似合わず力が強くなかなか巧みなマッサージであった。確かフットマッサージを頼んだはずだが、肩から背中から脚から仕舞いにはうつぶせの尻もぐりぐり揉まれる次第。いや、そんな足の付け根までいらんって・・・

ここで小島よしおは N がいたく気に入って「きれい」と連発し、How old? と禁句を発し、そこはいくつに見える? とはぐらかした熟美女Nに20歳と答えるあたり、よしおのくせに気が利いている。

How old が得意なのかよしおは次に私にも尋ね、「ヒ・ミ・ツ」と答えたわたしには30歳、Nにも27歳と言い直すあたりなかなかの食えないやつである。

70分で7ドルの日本ではあり得ない値段にチップとして1ドル手渡し、歩道でしゃがみ込んでお茶したりだべったり食事している地元民をよけつつ近くのベトナム料理店マダム・ヒェンに入ってみる。

いやあ、おいしいですね、ベトナム料理って…

ここでまたまたガイドブックのチャー・カー(魚のあげたものに細いお米の麺を添えたもの)というのが欧米人が死ぬまでに食べたい料理ベストテンに入っているというのでそれと、揚げ春巻き、バナナの花のサラダ(写真2)、もう一つおすすめのブン・チャー(肉のグリルと米麺を添えたもの)を注文してみる。

サラダ以外はどれも添えられたソースに浸していただくのだが、どれもおいしい。揚げ春巻きは絶妙のパリパリ感で、噛むとふっと香草の香りがする。確かにチャー・カーもおいしいけど、死ぬまでに食べたいかどうかは微妙である。肉食女子の我々にはブン・チャーの方がおいしく感じられた。

ここは洋館をレストランに改装したらしく、照明から中庭、階段の手すりに至るまでコロニアルの雰囲気漂うおしゃれな店である。食事をしているのは外人客ばかり。ここの給仕長らしき細身のベトナム人女性は大変になめらかな英語で美しかった。さすがアジア一の美人国。ベトナム戦争でアメリカ兵がくらくらきたのもわかりますねえ。でかい身体や大声のいかにも粗野な彼ら(大抵の女性もね)からすれば、風にしなう葦のようになよやかで、アルカイックスマイルを浮かべたベトナム女性は実に繊細で魅力的だったろう。まさにミス・サイゴンな世界です・・・

深夜にうろつく怪しい人影とは…

今回ツアーで出てきた食事は全ておいしかったのと同時に、泊まったホテルは部屋そのものには問題はなかったが、どちらも夜、外がうるさくて、いつも持参する耳栓と睡眠薬をツアーだからと気が緩んでか、どちらも忘れてきた私にはつらい夜であった。

ハノイ市内では「火の用心」または「ゴミはキチンと出しましょう」的な標語を定期的な時間で放送して回っているのだと勝手に決めつけたが、わたしには「くわっ・くえっ・くえー」としか聞こえない放送を一定の間隔で繰り返す車の襲来。

ハロン湾では近くのカラオケと向かいのクラブのずんずんずんずん響くドラムの音。これらにしてやられた私は、眠れなさのあまり、I Am Legend (走るゾンビがでてくる映画よ)のウィル・スミスのようにバスタブに入って寝ようかと真剣に考え、枕を抱いてバスルームに行きかけたものの、もしNが目を覚ましてバスタブで丸くなる私を見たときのショックを想像し、やめておいた。

朝、頓挫した計画を話すとNは「それはびっくりするよー」と何馬鹿言ってんのかねえ、この人はーという顔で呆れていた。

ハロン湾

今回の最大の目的はハロン湾である。「海の桂林」と言われる世界遺産に指定された絶景見たさに来たのだ。乾期の今が最適な時期とはいえ、天候が悪いとクルーズ事体ができないかもーと心配していたが、幸い天気はピーカンでもなく、曇でもなく、実に微妙な晴れ具合であった。そもそも霧がかかることがしょっちゅうというだけあって、煙ったような神秘的な景色である。深い緑の海に次から次へと衝立のように大きな岩山が現れる(写真3)。日本の松島をもっと壮大に、もっと神秘的かつ懐の深いものを想像していただきたい。

船がゆるりと奥へと進むとまたちがう岩山が現れる。すぱんとそそり立つ巨大な屏風のような岩山があったと思えば、可愛らしい小鳥が向き合う夫婦岩あ り(写真4)。

その前でキスすると永遠の愛を得られるというのだが、女二人連れの我々は仕方なくエアキスで我慢したのであった。ああ無情…

おばさん達のコミュニケーション能力

今回のツアーで何が一番すごかったと言えば、ツアーのメンバーのおばさんたちである。賑やかで話し好きな妻についてきただけという、誠に大人しくいま一つ自分がどこにいるか把握できていないおじさまたちを尻目に、各観光スポットで(写真5)どこまでも日本語で(しかもばりばりの博多弁で)、時には他の人の買い物に割って入り、値段をチェックし、代わりに交渉し、ぼられそうな人を救い、自らは出来るだけ安くみやげ物を買い叩いてのける。

またたまたまドルもドンもなくなって、レストランで仕方なく円をドルに両替してもらった私の尻馬に乗り、しっかりドンを持っているのにもかかわらず、レートがいいからと手もちの円をドルに両替してもらう始末である。いや、ここ両替屋じゃないからね。

それにしても教員の私などは自分の学生たちに、ことに男子学生に、このおばさん達のコミュニケーション能力の10分の1でもあったらと思うのである。たった二日の間におばさんの博多の家族と長男の嫁に至るまでいろいろと聞かされた我々である。しかもその話がいちいち面白いからすごい。

そうなのだ、所詮英語力が問題なのではない。見てみなさい、大体役人にせよ政治家にせよ、日本語で話してても面白くもなければ説得力も無いんだから。要はコミュニケーション力です。伝えたい内容がありいかにそれを面白く伝えるかーでしょう…

いや、その点ご立派です。日本のおばちゃん達って…

黒カナリア@こんな映画あんな映画+二人旅

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posted date: 2013/Apr/21 / category: バカンス・旅行

身体と心に気持ちのいい事が大好きな、自分に甘いO型人間。 映画は堅すぎるドキュメンタリーをのぞいて、こてこて恋愛物からホラーまでとりあえずなんでも食いついてみる系。

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