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Shuhei のフランス語読解:クンデラを読む(1)

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FRENCH BLOOM NET のフォロワーのみなさん、はじめまして。Shuheiと申します。これから、月一度くらいの割合でみなさんと一緒に様々なフランス語の文章を読んでみたいと思います。

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)外国語学習者にとってネットの「海」は、尽きせぬ宝の山です。もちろん、味読にも値しない文章の連なりも多く見られますが、それぞれの興味に従って目を凝らせば、それはフランス語学習にとって地味豊かな教材の宝庫です。そんな中から今回からしばらく、ミラン・クンデラが、あのカフカについて綴った文章を読むことにします。クンデラはチェコ・スロバキアで活躍した作家ですが、今はフランスに移住し、フランス語で創作活動を行っている作家です。映画化もされた彼の代表作『存在の耐えられない軽さ』を観た、あるいは読んだ方もいらっしゃるでしょうね。以下は、伝統あるフランスの雑誌 Le Nouvel Observateur に掲載されたものです。

J’aimerais définir la beauté de Kafka, mais je n’y arriverai jamais(Le Nouvel Observateur)

 今回は、On a écrit un nombre infini de pages.…からはじめて、Garcia Marquez. までを読んでみましょう。まずは、註を頼りに辞書を引きながらこの部分の文章を読み通して見て下さい。そのあと、試訳と照らし合わせながら、自分の読解がどこかで不十分でなかったか確認してみて下さい。


*le moins compris de… 「…のなかでもっとも理解されていない」ここは劣等の最上級表現です。
*il s’est mis à l’écrire… ある代名動詞の複合過去形ですが、わかりますか。そう、se mettre à + inf. (不定詞)ですね。
*(le) premier <<Manifeste>> 30年に第二次「宣言」が出るので、14年は premier となります。
*auteur inconnu dont les romans ne seront plubliés que longtemps après… 関係代名詞 dont 以下は、カフカが inconnu であったことの理由となっている点に注意。
*ces romans… aient pu paraître… Il est donc compréhensible que…の節内の文章なので接続法過去となっています。
*cachés dans un lieu… 過去分詞 cachés が男性複数形となっていますから、当然従属節中の主語 ces romans にかかっています。
*<<C’est Kafka qui m’a fait…>> ここはいわゆる強調構文というやつです。あのマルケスの小説観を刷新したのは、カフカだったわけです。

 試訳

ミラン・クンデラ「カフカ作品の美しさを明確にしてみたいけれど、できそうもない」

数えられないくらいのページがフランツ・カフカについて書かれたけれども(おそらくはまさにその膨大なページのために)、前世紀の大作家の中でカフカは依然として最も理解されていない作家である。彼の最も有名な作品『審判』は1914年に書き始められた。すなわち第一次『シュールレアリスム宣言』が世に出される丁度十年前にあたるが、当時シュールレアリストたちはカフカの「超現実」の幻想について知る由もなかった。というのも、その小説作品が死後しばらく経ってから出版されることになるカフカは、その時その存在さえ知られていない作家であったからだ。他のどんな作品にも似ていないこれらの小説が文学史の流れの外にあり、その作者にしかよりどころを持たない場所に位置づけられていたとしても、驚くにはあたらない。

けれども、そうした孤高にもかかわらず、こうした小説作品の時代を先取りした美学の革新性はひとつの事件であり、小説の歴史に(随分時間がかかったとはいえ)影響を与えずにはおかなかった。「今までとは違った形で小説が書けることを私の教えてくれたのは、カフカだった」と、かつてガブリエル=ガルシア・マルケスは私に語った。

                ♪♪♪

いかがだったでしようか。難しく感じたとしても、試訳を頼りに何度か読み直してみてください。音読できればもっと効果的です。何度か読み返し、フランス語の文章の持つ論理の流れを「身につける」。それを積み重ねていって下さい。外国語学習は果てのないものです。それがまた、魅力だと思えれば、みなさんは相当なフランス語マニアですね。

それでは、A bientôt, à la prochaine fois, mes amis !  Shuhei

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