フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

消費税

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いよいよ増税が現実のものとなってきましたね…。ところで、この件についてTVなどを観ていて気になることがあります。かなりおおくの政治家やTVコメンテーターの方々が、「日本はもう経済成長を望めない」→「(社会保障、国の借金問題解決etc…のため)増税は仕方ない」と解説していますが、最初から「日本はもう経済成長を望めない」と決めてかかっているのではないかと疑問を感じます。これってバブル期以降20年にもわたる経済停滞で「不況マインド」が国中を支配し、さらに将来予測として「少子高齢化」問題を抱えていますから、ある程度仕方ないのかもしれませんが、少なくとも最初から決めてかかるのは絶対におかしいと思います。 www3.nhk.or.jp/news/html/20120810/k10014208241000.html 個人の借金1億円とトヨタの借金1億円 まず、今回の消費税増税は財政再建と関連していますが、それにいたる方法の1つに増税があるのは確かです。ただし、これは経済成長によって克服するという方法もそれとはべつにあります。この後者の仕組みが国民のみなさんにあまり理解されていないのではないかと思いますので、ちょっと説明してみたいと思います。 借金は絶対額だけで考えるべきでない 極端な例でこの構図をつかんでみたいと思います、ある日突然、もしもみなさんが1億円の借金を背負うことになったとしましょう。おそらく大多数の方々がその後の人生を「借金の奴隷…」として生きていかざるを得ないでしょう。ところがこの借金をトヨタ自動車が背負うことになるとしましょう。毎年の売上げが20兆円にのぼるこの大企業であれば、おなじく「借金の奴隷」とはならないはずです。このように借金というのは、収入や資産との関係でとらえるべきということになります(借金(分子)/収入や資産(分母))。 そして日本の財政状況ですが(以下、数字は単純化します)国の収入がだいたい500兆円弱で借金が1000兆円弱といわれています。ここでもしも日本が今後しばらく10%の成長をしたとしましょう(プライマリーバランスの問題とか、成長率と金利の関係もありますが単純化して無視します)。すると来年度は、1000兆円/550兆円。その次の年、1000兆円/605兆円。以下同様、1000兆円/665兆円。1000兆円/732兆円。1000兆円/805兆円。と、当初は年収入の2倍といわれていた借金が5年で1倍強にまで「縮小」することになります。 で、あえてここで強調しておくと、これ、超楽観モデルであってこんなもの間違いなく実現不可能でしょう。ただしここで強調しておきたいのは、国の借金と経済成長は密接な関係がある(当たり前といえば当たり前なんですが…)ということです。さらに、当初の500兆円規模での消費税5%の税収と800兆円規模でのそれとの違いも指摘しておきたいと思います。 ここであらためて「日本はもう経済成長を望めない」 ここでスタート地点に戻ってみます。「日本はもう経済成長を望めない」というのはいったいどういう意味なんでしょうか? もしも先ほどあげたような日本「10%成長論」の意味でなら、たしかにそうだと思います。換言すれば、かなり楽観的な経済成長の可能性を期待している学者さんの意見をみても、日本の成長率が5%以上なんていう人はいませんから、経済成長によって国の赤字問題や社会保障問題が特効薬的な解決策にならないというのならもっともだと思います。けれどもそれが字義通りに「日本はもう経済成長を望めない」というなら、ちょっと待てよ…、といいたいところです。経済が実際に衰退するか成長するかは結果が決めることですが、最初から「日本経済は成長しない」と決めてかかるのとそれとはまったく別問題であり、おかしな態度だと思います。また、かりに経済成長しないのを認めたとしても、この人たちはある年の経済成長率が「マイナス5%」との見込みがあるとして、これを「マイナス4%」に押しとどめようとする努力はしないということでしょうか? 政府としてはマイナス5%よりもマイナス4%を目指すべく努力すべきであるし(だいたい経済成長は0%が下限ではなく、マイナスにもなるのです。0%以下の成長率しかないという決めつけは、GDP500兆円の分母が下がる傾向になるということですから、日本経済は100%近い確率で破綻するという宣言をしているに等しい)、1%の成長率なら1,5%にという政策を考えるべきではないかと思います。 増税は断固NO !? ここで個人的な意見を述べておくと、ぼくは消費税増税には断固反対というわけではありません。国の赤字がかなりの額にのぼっているのはたしかだし、高齢化に向けた対策も必要でしょう。というより、ぼくがここでいいたいのは増税も必要だろうが、経済成長対策もすべきだということです。ところが、増税だけは決まったものの、この法案の3党合意をした民主党、自民党、公明党のいずれも成長戦略の議論をしているようにはみえません(むしろ、このところ政局争いばっかり…。そもそも少子高齢化対策もある種の経済成長戦略かもしれませんが、例の「子ども手当て」について小宮山大臣が「経済成長に寄与しない」「少子化対策にもならない」と発言していたのは衝撃を受けました…。また民主党って「経済成長」というのを忌み嫌っているように見えるときがあります。それならそれでかまわないんですが、だとすればそうした姿勢を国民に明示的に説明すべきでしょう…)。与党民主党にいたっては数年前まで特別会計に切り込んで無駄をなくすと息巻いていましたが、いまやそれも「懐かしい思い出」になってしまいました…(もう諦めてるんですかね)。 あらためて「日本はもう経済成長を望めない」… この言葉をTVで聞くたびに、いろんな考えが浮かんでくるのですが(与党野党を問わない政治家の政策マインド、政局、財務省の思惑、みんながそういってるから雰囲気で自分もそういっているだけetc…)、みなさんはいかがでしょうか? superlight@super light review 人気ブログランキングへ ↑クリックお願いします

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専門はフランス思想ですが、いまは休業中。大阪の大学でフランス語教師をしています。

小さいころからサッカーをやってきました。が、大学のとき、試合で一生もんの怪我をしたせいでサッカーは諦めて、いまは地元のソフトボールと野球のチームに入って地味にスポーツを続けています。