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FRENCH BLOOM NET 年末企画(2) 2011年のベストCD

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年末企画第2弾は「2011年のベストCD」です。フランスと非フランスが混ざり合っていますが、フランス関連では、cyberbloom がフランスのインディーズシーンから、Manchot Aubergine さんがフランスの音楽シーン全般からピックアップ。tatamize さんはフランスの音楽系のラジオを紹介。 ■音楽を聴くのも、新しい音楽の発見も youtube ということが多くなった今日この頃。ノルマンディーのバンド Manatee は仏雑誌 Inrocks 経由で知ったが、たぶんまだアルバムも出していない。2つのライブ映像があるのみ。男2人女1人のメンバーのひたむきな感じに好感。こういう仏の地方のバンドを青田状態で聴けるのも面白い。 ■もうひとつ、09年に出したアルバム “die kir(s)che auf dem kopf” が今年再リリースされた Ania & Le Programmeur は2006年、パリで結成された男女のデュオ。エレクトロなマシーンロックと深くエフェクトをかけたギターが特徴。ただれ落ちるノイジーなギターをバックに、仏語と英語を交えてつぶやく 叙情的な ‘Agathe’ が良い。他の曲は SPK とマイブラをかけあわせたようなテイスト。 ‘Echoes’ vimeo.com/17668439 ‘Agathe’ youtu.be/6NljXqQsbbc (cyberbloom) 1. Pizzicato One : One And Ten Very Sad Songs 今年の後半は、こればかり聴いていた時期があります。元 Pizzicato Five の小西康陽のソロプロジェクト。すべて英語のカヴァー曲で、ヴォーカリストは全員外国人、ヴォーカル録音はすべて違う都市という、地味ながら、お金もかかっていそうな企画です。伴奏は基本的に生音で、楽器も最低限の編成ですが、それだけに歌の骨格がよく分かる造りになっています。「とても悲しい歌」という題名は、言うまでもなく、ピチカート・ファイヴのあの曲に引っ掛けてあります。さすがの選曲で、どれも曲そのものの良さが際立っていますが、なかでも今回の企画のきっかけになったという “Imagine” と “Suicide Is Painless” が秀逸です。 “Imagine” youtu.be/n4pyqqiu-lE 2. Bump Of Chicken : orbital period 今さらこんな数年前の大ヒットアルバムを持ち出すのは少し恥ずかしいのですが、自動車教習所のバスに乗っている間、よく聴きました。聴けばある時期を思い出す音楽というものがあって、僕の場合は Bob Dylan : The Blood On The Tracks を聴くと、ヨーロッパの田舎を電車で移動しているときの車窓の風景が目に浮かび、Aimee Mann : Lost In Space は、初めて大学で教えるようになった年の通勤風景を思い出させます。このアルバムも、きっと聴くたびに送迎バスの狭苦しい座席の感触を甦らせることでしょう。「ハンマーソングと痛みの塔」は物語性に富んでいて、とくに感心しました。 youtu.be/R23_EURxFBM 3. Bobby Hutcherson : Montara タイトル曲は、スチャダラパー「サマージャム ’95」のサンプルネタとしておなじみ。そのせいもあって、夏の間、よく聴いていました。エレピとビブラフォンという取り合わせが、とても涼やかです。 ‘Montara’ youtu.be/aS39Gkfz81A (bird dog) Radiohead “Lotus Flower” ■今年聴いた新譜というのがほとんどないのだった。でもこの曲はPVのトム・ヨークの「舞踏」が強烈で映像込みでよく聴いた。youtu.be/cfOa1a8hYP8 (exquise) Adele ”21” ■なんともパワフルなハスキーボイス。イギリス出身?というのがなんか怪しまれるような荒れ地にアコースティックギター一本抱えてーというのが似合いそうな歌いっぷり。若いのになぜか人生の疲れまでも感じさせるADELEに脱帽。 ■あまりにも大きな災害が続いた一年。世界中もお疲れの年末。走り続けて疲れた身は ADELE の Lovesong でも聞きながら、それぞれにいとしい人を思いつつ美味しいお酒でも飲みますか。 (黒カナリア) ■唯一聴いた新譜は Amon Tobin の Isam です。映像を交えた圧倒的体感のライヴは見てみたい…´◡` 個人的には期待したほどでもなかったのですが、一曲だけとりわけナイスな曲がありましたのでご紹介。何やら暗示的な映像。 ‘Surge’ bit.ly/qzmhUb ■そしてもう一曲。このビデオ、まるで3.11後自縄自縛に陥っている我が国の現状を女性に託して表現しているようにも見えます。リリース前のジャケ画像が3.11後に何らかの理由でマイルドなものに差し替えられたのは事実です。 ‘Mass & Spring’ bit.ly/ukIZmE (@DieT_oLive) ■今年は激動(震災)の年であり、音楽シーンもまた激動を沈めるように「絆」の様に紡がれたコンピレーション・アルバムが数多く、様々なジャンルから出ていたように思います。その中でも私が手に取ったアルバムは、アンビエント/実験音楽のジャンルから出た ”For Nihon – compilation sampler to benefit the Japan earthquake” と言うコンピアルバムでした。このアルバムが今年の3位です。bit.ly/rRnJk6 ■第2位は、去年に続き、期待値も込めて ”Melting Season – Harmoni-Pet Deluxe” にします。初期のアニマル・コレクティヴに通づるサイケ感とエレクトロニカ。化ければ、熱狂的なコア層よりもライトな層も取り込めるのではという思いで。youtu.be/i0be7vbCzlo ■第1位は悩みましたが、どうしても今年の終わりに聴いてた音が耳に残ってるのもあり、最近リリースしたアーティストになってしまいました。”Nils Frahm-FELT” 激動を鎮める音楽としてドイツ人ピアニストの5作目を選びます。youtu.be/0sJOhod7tas (@Uz_roll) jp.flavors.me/uz_roll#_ ■今年も多くの素晴らしいバンドに巡り合いました。私のベストは、’ERECT ROCK’ by Heinrich Von Ofterdingen youtu.be/WCZjs6OdoJ8RT (@HerissonK) ■「ストロベリーソングオーケストラ」というバンドが凄いです。劇団とバンドが融合したようなスタイルでライブも演劇公演もしますし、曲も素敵なのですが、なによりコンセプトに合った的確な見せ方をしていて本当に恰好良いです。最近ではバーまで始めていてかなり精力的に活動しています。youtu.be/B3gTCSA1beU (@mmmule) ■今年のフランス音楽ベスト5。 1.Taisez moi / Didier Wampas 2.Lys & Love / Laurent Voulzy 3.Ilo veyou / Camille 4.Ecoute s’il pleut / Melissmell 5.Live Paris / Ben l’Oncle Soul        ・・・  1.Taisez moi / Didier Wampas ■レ・ヴァンパス les Wampas を率いて28年。筋金入りのパンク、ディディエ・ヴァンパス。パリ交通公団の技術職員として長年働き続ける、尊敬すべき労働者ロッカー。Taisez moi (テゼ・モワ)は、彼の初ソロアルバム(タイトルは「オレを黙らせろ」という意味に解していいと思うが、フランス語の用法としては間違ったもの(のはず))。泣かせる傑作だ。60年代風バンドサウンドに乗せて、辛辣なのかふざけているだけなのかよくわからない、いつもながらの歌詞を飄々と歌う。レ・ヴァンパスのときとくらべいくぶんアコースティック寄りのバックの音のおかげで、ヴォーカルもリラックスした感じに聞こえ、肩の力の抜けた作品になっている。収録曲のなかで一番おもしろかったのは Chanteur de droite (右派の歌手)という曲。ミシェル・サルドゥ Michel Sardou(右派歌手の超大物)をモデルとし、この歌手が左派から忌み嫌われる現実を批判的に語り、同時に、売れるため左派にすり寄る凡百の歌手たちを揶揄している(あるインタビューによれば、ディディエは左派の集会でわざわざサルドゥの歌をアカペラで歌い、ブーイングを浴びたらしい。そしてそれをきっかけとしてこの曲を構想したらしい)。党派性とは無縁のところですべての気に食わぬものに攻撃を仕掛けてゆく彼の子供っぽい、しかし自由な精神が発揮された曲だと思う。他にも La propriété c’est du vol (家を持つことは泥棒だ)とか Punk Ouvrier (労働者パンク)といった痛快な曲が満載。最後の Ainsi parlait Didier Wampas (ディディエ・ヴァンパスかく語りき)では、オレを黙らせた方がいい、でないとこれからも陰険にふるまっていろんなことに文句を言い続けるぜ、と堂々と宣言して去っていく…。 ■今後彼が成熟して大人の歌手に変身するようなことは間違ってもないだろう。死ぬまで、語の本来的な意味での「パンク」であり続けてくれることと思う。 ‘Chanteur de droite’ youtu.be/a99fJkV8_4Y 2.Lys & Love / Laurent VoulzyLaurent Voulzy ■ロラン・ヴルズィーの才能は紛れもない。現存するポップソングメーカーのなかでは、世界的に見ても有数の存在と言っていいだろう。だが残念ながら、彼は本当に仕事をしない人(あるいは仕事が遅い人)である。オリジナルアルバムは、1979年の Le Cœur grenadine から前作の April まで4枚だけ。その April が出たのも10年前の2001年。発表当時そのすばらしい出来映えに感動しながら、次に新作にお目にかかれるのはまあ10年後くらいだろうと思ったのを思い出すが、実際に10年経った今年の11月末、やっと新作オリジナルアルバム Lys&Love (リス&ラヴ)がリリースされた。大急ぎで取り寄せて聞いてみたが、これまでのヴルズィーとはずいぶん違ったサウンドになっていた。ロックバンドのフォーマットは完全に姿を消し、彼の持ち味であったきらびやかなポップセンスも後退し、そのかわりシンセによる「エレクトロ色」と、教会音楽風のコーラス(ヴァンセンヌ城の主塔で録音されたらしい)などに見られる「中世趣味」が前面に出た作品となっている。最初は「あれ?」と思ったが、通して聞くとなかなかの傑作だということが分かった。内容的にも、時空(中世―現代、英―仏―イスラーム世界)を超えた愛をめぐる壮大なコンセプトアルバムである。ポップというより「プログレ」の範疇で語るべき作品という気さえするほどだ…。とはいえ、ポップの名工にして稀代のメロディメーカーであるヴルズィーの美質は失われてはいない。とりわけ、シングルカットされた Jeanne (ジャンヌ)と、ロジャー・ダルトリー Roger Daltrey がヴォーカルで参加している Ma seule amour (我が唯一の愛)の2曲は、天上的な美しさの、宝石のような佳品である。 ■私は生きているあいだにあと何枚のヴルズィーの新作アルバムに出会うことが出来るのか。Lys&Love が最後の出会いにならないことを心から願う。 ‘Jeanne’ youtu.be/el0RwzHu7cw        ・・・  ■3と4はいずれも「声」の人。カミーユの新作「イロ・ヴェユ」は、「楽器」としての「声」の使い方に一段と磨きがかかったという印象。メリスメルは新人だが、聞く者の魂の深いところを刺激する不思議な声の持ち主。往年のブリジット・フォンテーヌをちょっと思い出させる。1曲目の Aux Armes (武器を取れ)だけでも聞いてみてほしい。 ■5のベン・ロンクル・ソウルは、去年アルバムデビューしすぐに人気者になったソウル兄ちゃん。やっているのはフランス語による60年代モータウンサウンドの忠実な再現。フランスらしさも独創性もないが、音楽の質はきわめて高いし、チャーミングなキャラクターも好感が持てる。今年一番聞いたのは実はこれ。映像ソフト(DVD/BD)になったものも非常にいい。 (Manchot Aubergine) ■自称音楽好きが売り上げに貢献しないのは気がひけると思いつつ も、今年もほとんどCDを買っていないので・・・去年同様、お世話になった音楽サイトをフランスから3つ。 【3】Jazz Radio(France) www.jazzradio.fr/ BLACK MUSIC、LOUNGE、FUNK、ELECTRO・・・JAZZをベースにした様々なチャンネルが楽しめるネットラジオ。週末向け、ご機嫌なトーンの選曲のDJ PHILGOOD の MIX が お気に入り。(どうもこのチャンネル混んでいるのかよく止まるの がちょっと残念・・・) 【2】Mood for www.mood-for.fr/ フランスのカルチャー、ファッション、アートの情報サイト。9月にリニューアル、シンプルながら隙のない構成で増々美しいサイトになりました。ちりばめられた写真やグラフィックのセンスも抜群、ついつい見てしまいます。音楽は playlistタグ ( www.mood-for.fr/tagged/ playlist ) でチェック。エレクトロ系を中心にしたエッジの効いたMixがアップされています。 【1】Radio Nova www.novaplanet.com/radionova 今年見つけたものの中で最も雰囲気が好きなサイト、Radio Nova。レコードやカセットをわくわくしながら集めていた世代の心をわしづかみにする様々なエレメント、アナログ&ポップに作り込まれたデザイン。無機質orやたらと光沢的な画面構成に慣れた目にとても新鮮に映ります。時間帯に合わせて(フランス時間なのでこちらで聴くとギャップはありますが)構成された Nova Le Grand Mix の渋すぎない、自由な選曲は個人的に激しくツボです。(ばかっぽいまでにポップな音をアクセント的に混ぜるバランスが秀逸。フランス人のお洒落感にも通じるものがある・・・のかも?)少し前まで遡っての選曲がチェックできるリスト有り。 ■音楽サイトの紹介といいつつ・・・やっぱり見た目(デザイン)って大事。と妙なところで納得しつつ。好きな音を背景に、日々精進精進と気合を入れ直すのでありました。 (tatamize) Richard & Linda Thompson “Just the Motion” ■2011年の音楽生活は、3月のあの日を境にがらっと変わってしまった。新しい音、気持よくしてくれる音を探して積極的に動き回る気になれなくなった。随分と後ろ向きなこと、と思う。でも、仕方ない。 ■2011年の音楽を語るなんておこがましいにも程がある身なので、今年折りにふれ聴いた1曲を紹介するにとどめたい。今はもう別れてしまった夫婦デュオ、リチャード&リンダ・トンプソンの” Just the Motion”がその曲だ。 ■音はシンプルで穏やかなのだけれど、詞は深い。大嵐に翻弄される船の上で途方に暮れる人。失業し赤ん坊が泣きわめく部屋で家賃の家主がドアを叩く音を聞いている人に、ヴォーカルのリンダが、落ち着いたアルトの声で歌いかける一言にまず驚く。「大丈夫。今あなたは揺さぶられて動揺しているだけなのだから。」あなたその人がオカシクなったわけではなくて、置かれている状況に振り回されているに過ぎないのだ、と。 ■リンダはさらに歌いかける。「風が鳴り止まなくても、雨が一晩中降り続いても、心配しないで。海の底では、嵐の音も聞こえない。この上もなく静かなのよ。」今がどれほどひどくとも、あなたの本質は変わらない。これには胸を突かれた。  ■一方、リンダはこうも歌う。「数えきれないほど風に吹かれ引き倒されて、救い出されても打ちのめされ半病人のようになって、意識をなくすこともあるかもしれない。でも、そんなひどい状態で感じる痛みこそが、正気を保ち、歩み続ける気持にさせてくれるのよ。」しんどさには引き受けるだけの意味がある。表面的ななぐさめよりどれほど力強い言葉だろう。 ■間奏部分のリチャードのギター・ソロも素晴らしい。曇り空に時折差す日の光のように、静かにきらめいている。強い詞もさることながら、このギターの音色にも動かされた。 ■私以上にこの曲を必要としている人は少なくないと思う。そんな人の所に届いて欲しい歌だ。youtu.be/4S8QyIjeM7w (GOYAAKOD) 人気ブログランキングへ ↑クリックお願いします

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当サイト の管理人。大学でフランス語を教えています。
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