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ロック温故知新-日仏プログレ対決(4) MAGMA マグマ

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フランスのプログレといえば外せないのがマグマ Magma。ちょうど今週末、夏の音楽の祭典 FUJI ROCK に出演する。それに合わせて記事を書いていたら、フジロックが始まってしまい、さらにマグマの演奏開始まであと1時間に迫っている。

リーダーのクリスチャン・ヴァンデ Christian Vander がマグマを結成したのは、ジョン・コルトレーンが亡くなった2年後の1969年だった。コルトレーンの死はクリスチャンによると人生の中で最も大きなショックだった。

コルトレーンのあとでジャズは不可能と考え、クリスチャンは独自の音楽を創出することを決意する。もっともクリスチャンのドラムはコルトレーンのドラマーだったエルヴィン・ジョーンズの強い影響下にあり続けるわけだが。音楽全体の影響に関しては、ストラヴィンスキー、ソウル、現代音楽、フリージャズ、オペラ。ロックの分野では、ソフト・マシーン、フランク・ザッパ、ヘンリー・カウなどが挙げられる。プッチーニの「トゥーラン・ドット」なんかを聴いているとマグマに聞こえることがあるが、ジャズとロックとコーラスを融合させたマグマの音楽はズール zeuhl と呼ばれ、ひとつのスタイルを確立しているほどオリジナルなものだ。

私がマグマにハマっていた時期はマグマの活動休止(1983年)の直前だったが、当時は来日公演どころか、ライブ映像を見ることさえかなわぬ夢だった。今や初期のレア映像が youtube にもたくさんアップされている。今見ると怪しげな新興宗教の集会にしか見えないが、不思議な響きを放つマグマの歌は(ドイツ語かスラブ系言語のように聞こえる)、彼らが考案した想像上の言語、コバイア語によって歌われている。彼らはコバイア星からやってきたコバイア星人で、コバイア語によってコバイア神話を歌い継ぐ。これも70年代のサイケカルチャーの産物と言えるが、ヒッピーのような奔放さやトリップ感はなく、あのロゴとともにむしろ強迫的でファッショな印象を受ける。まあ、ここまで奇妙奇天烈さや変態ぶりを徹底できるのはフランスならでは。マグマは初期3部作が傑作として知られているが、個人的に好きなのはグナーに引けをとらない(マグマではなくヴァンデ名義によるアルバム)。ドラム、ベース、ピアノ、ボーカルというマグマのミニマム構成だが、徐々に高まっていくテンションに引き込まれていく。

□動画はParis 1977 – De Futura, ツインドラム編成 □Magma Discorama, French TV, June 29th 1970(これも黎明期の貴重映像) □上のアルバムは”“で、ファンク色が強い。ジャケットのデザインは H.R.ギーガーによる。

マグマは1996年に活動を再開したが、近年はいっそう精力的だ。去年は約5年ぶりとなるスタジオ・アルバム『エメンテト・レ(DVD付)』を発表し、去年の5月には来日公演を果たしている。そして今年のフジロックだ。1998年の初来日のときには「マグマを見に行きました」という学生がいて驚いたが、今も若い世代によってプログレの定番として昔の作品も聴き継がれているのだろう。

ところで、日本のマグマと言えば、ドラマーの吉田達也の Ruins だろうか。ベース&ドラムによる二人マグマ。吉田は Fool’s Mate の編集長だった北村昌士の YBO2 のメンバーとしても知られているが、この2つのバンドは平行してよく聴いた。Ruins の音はハイテンションで荒々しい演奏が特徴的。マグマとは全く別のオリジナリティーを持つが、吉田のオペラチックなヴォ-カルがマグマを連想させる。吉田にはもうひとつズール系のプロジェクト、高円寺百景がある。youtube に Rock In Oppositon 09 (この企画まだやってんだ)に出演したときのライブの模様がアップされている。

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