フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

2016年フランスのベストアルバム(ふつごぽん個人選出)

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2016年は前半にバンジャマン・ビオレ、クリストフ、カトリーヌなどの充実した新作が発表され、後半はヴァンサン・ドレルムが素晴らしい新作を出してくれました。ここではこれらの有名ミュージシャン以外の作品から今年度のベストアルバムを選んでみたいと思います。

Chevalrex – Futurisme

シュヴァルレクスはフランスの無名ミュージシャンを発掘しているラ・スーテレーヌレーベルのミックステープで注目されたアーティストで、リヨンとアヴィニョンのほぼ中間地点にある町ヴァランス(ドローム県)在住のレミ・ポンセのソロプロジェクト。完成度の高いメランコリックな箱庭ポップスで、30分余りを一気に聴かせます。ほとんどをひとりで録音し、デザインも自分で手がけています。いささか偏執狂的なところで好き嫌いが別れるかもしれないが、まちがいなく2016年のフランスを代表する一枚です。

Chevalrex – Aussi loin
youtu.be/Ovd9TMIQ4F4

FUTURISME

Facteurs Chevaux – La Maison sous les eaux

ファクトゥール・シュヴォーは自称「アルプスの呪い系フォークデュオ」で、このアルバムはイゼール県の小さな村で録音しています。グループ名はドローム県に奇妙な理想宮を建設した郵便夫シュヴァルの名前をもじったもので、音楽もその名前に似つかわしいものです。基本的にはギターに男性二人の声が乗るだけの簡素な音づくりで、中世風の不気味なフォークを歌います。コンサート会場を用いずに、教会や美術館などで演奏会をするとのことなので、来日の際にはぜひ枯山水の庭や鍾乳洞で歌ってほしいものです。

Facteurs Chevaux – Les Dames de pluie
youtu.be/yXDWiMyYm6c

La maison sous les eaux

Melissmell – L’Ankou

メリスメルはヴァランス出身の女性ヴォーカリストで、本名はメラニー・クーレといいます。アーティスト名のスメルはニルヴァーナの曲から来ているとのこと。直情的な社会派プロテストロックシンガーで、心を激しく揺さぶるヴォーカリストです。ブルターニュの死神の名前を題名につけたこのサードアルバムは、前2作にあったちょっと古臭いシャンソン風の歌がなくなってロック色が強くなり、聴きやすくなりました。短いサウンドスケッチ風の短い曲をところどころに挟んで飽きさせません。

Melissmell – Le Chant des éclairés
youtu.be/Jw3F9TI-Fr4

L'Ankou

Baptiste W. Hamon – L’Insouciance

バティスト・W・アモンは既にここで紹介したことがあるパリ出身の男性シンガーソングライター。米国のフォークカントリーに対する偏愛をストレートに出したこのデビューアルバムは、リリース当時はそれほど騒がれませんでしたが、最近ラジオなどでよく扱われています。ナッシュヴィル録音で、ウィル・オールダム(ボニー・プリンス・ビリー)とのデュオ曲を収録しています。米国の音楽の単なる物真似に終わらず、フランスのポップスの伝統も感じさせる滋味深い音楽です。

Baptiste W. Hamon – Columbia
youtu.be/TrhuT570VVU

L'Insouciance

Klô Pelgag – L’Étoile thoracique

クロー・ペルガグはケベックの女性シンガーソングライターで、本名はクロエ・ペルティエ=ガグノン。デビューアルバムが高く評価されましたが、これはセカンドアルバム。デビューアルバムはいかにも変人然としたものだったけれど、このセカンドアルバムはオーケストラのアレンジが流麗でリリカルな叙情を感じさせます。今回作は変なものが好きなひとだけに聴かれるのではもったいないので、もっと幅広く聴かれてほしいです。

Klô Pelgag – Samedi soir à la violence
youtu.be/Kj9aJ4g2fbI

L'etoile Thoracique

年間ベストソングはエレクトロポップの男女デュオ、エレファンのL’amour la haine。フランソワーズ・アルディが引き合いに出される女性シンガーソングライター、メシアのGrand amourもよいアルバムでした。2016年も、フランスのインディーズシーンでは英語で歌うアーティストばかりが歓迎されるという奇妙な状況のなかで、フランス語で歌うアーティストを発掘しつづけるラ・スーテレーヌレーベルの活動が頼もしい一年でした。来年は二人の女性フォークシンガー、アルマ・フォレールとポムがアルバムを出すことを期待します。

@futsugopon
1967年生まれの日仏通訳。アルジェリアから帰国し、現在待機中です。
www.proz.com/profile/1317506

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