フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

FRENCH BLOOM NET 年末企画(2) 2015年のベスト音楽

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恒例の年末企画。第2弾は2015年のベストCDです。今回は FBN のライター陣の他に、アーティストのサエキけんぞうさん、POISON GIRL FRIEND の nOrikO さん、ヒップホップデュオ Small Circle of Friends のサツキさん、音楽にも造詣の深い文芸評論家の陣野俊史さん、マニアックなフランス音楽とフランス語のツィートでおなじみの福井寧(@futsugopon)さん、世界音楽研究家の粕谷祐己さん、NHKフランス語講座でおなじみの國枝孝弘さん、日本で数少ない仏語オリジナル曲を演奏する Bix & Marki の片桐さん、音楽プロモーターのわたなべさんにも参加していただきました。

サエキけんぞう(アーティスト)

■今年はアルバムでなく、3人の凄いアーティストに「気づいた」年でした。作品ではなく、人間名を紹介させて下さい。(一応アルバムは記します)
1. Katerine
■かつて、momus と並び称された渋谷系のヒーローがこんなになっていたとは?俗悪を逆手にとった、あふれ出るようなバッド・テイストのビデオ群のビュー数も、低価格・逆噴射アイデアも凄い!
Magnum / Katerine youtu.be/R8jTfRZBQ0Y
2. Jean Guidoni
■友達の作曲家、Fabrice Ravel Chapuisに教わった仏で玄人に神格化されている歌手で、ピアソラとミッシェル・ルグランに寵愛されたという。クルトワイルやダミアの伝統を継いだシャンソン語り歌いの世界が鮮烈。
Crime Passionnel / Jean Guidoni
3. Stromae
■EDM時代のジャック・ブレルとも呼ばれるストロマエ(マエストロの逆)は、ヴィデオクリップも鮮烈な国際的スター。2枚出てるアルバムは両方強烈。
Racine Carree / Stromae youtu.be/eOZLDQm9c2E
PROFILE:アーティスト、作詞家、1980年ハルメンズでデビュー、86年パール兄弟で再デビュー、作詞家として、沢田研二、サディスティック・ミカ・バンド、他多数に提供。著書「歯科医のロック」他多数。2003年フランスで『スシ頭の男』でデビュー、2回のフランスツアー。10年ハルメンズ30周年で新譜他5アルバム発売。12年フランス大使館文化部のアンスティチュ・フランセ日本グループ設立に際し日本を代表する3人の文化人に選ばれる。12年著書「ロックとメディア社会」(新泉社)でミュージックペンクラブ賞受賞。最新刊「ロックの闘い1965-1985」(シンコー)

MagnumCrime PassionnelRacine Carree

nOrikO(POISON GIRL FRIEND)

Brigitte – ブリジット / A bouche que veux-tu – フレンチ・ミリオン・キス
■フランス発売は2014年末でしたが、今年の5月、まさかの日本盤発売、そして来日コンサートと、今までは知る人ぞ知る的な存在だった女性デュオ、ブリジット。一気に日本での認知度が高まるのでしょうか。実はこのユニット、ヴィジュアル先行なお人形さん?と思いきや、音楽的レベルはかなり高いです。 2008年から活動を開始。詩も曲も2人で手がけています。きちんとしたソルフェージュができる割合の低いフランスですが、彼女達はちゃんと訓練を受けてる歌唱ですね。ちょっとレトロで、キャバレーチックで、オシャレなおフレンチをお探しの方には、ぴったり。(唯一の不満は、私の持っているフランス盤、iTunesの曲目リストを認識してくれないことです。不思議です。)
youtu.be/lbLMABnJ7Vc
Mylene Farmer – ミレーヌ・ファルメール / Interstellaires
■コンスタントに変わらない音世界を造り続けているミレーヌ・ファルメールの3年ぶりのアルバムは、先行シングルがスティングとのデュエットということで、日本でも話題になりましたが、残念ながら日本盤はここ数年、いや十数年?発売はされていないようです。フランスでは大スターなのにね、少し寂しいです。前々作のMobyとのコラボの延長線上とも捉えられる今作も、チープ・トリックの英語カヴァーを取り入れていたり、牧歌的な部分もチラホラと。80年代のベルサイユのばら的な倒錯の世界を知る者としては、複雑な気持ちもあるのですが、30年もの間フランス音楽界の女王として君臨し続けている姿には脱帽。これからも、聴き続けます!
youtu.be/azugzK76Ihk
 New Order – ニュー・オーダー / Music Complete
■ミレーヌ・ファルメールの新譜を聴いた時と、同じ様な感覚に陥りました。30年続いている英国のバンド、ニュー・オーダーですが、今作は約10年ぶり、そして、オリジナルメンバーでもあるベーシスト、フッキー抜きでの作品発表です。私は実はフッキーの暴力的なベースワークが好みではなかったのですが、いざ、このベースがなくなってしまうと、かなり物足りないというのも事実です。もちろん、楽曲は素晴らしいので、素直に聴き易い、良質な英国のギターポップに仕上がっていると思いますし、イギー・ポップのゲストヴォーカルは、なんだか得した気分になりますね。10年後もお待ち申しております。余談ですが、イギー・ポップの2012年の作品、《Après》では、シャンソン、ヴァリエテのカヴァーが聴ける秀作です。
youtu.be/THwp-hWtC5Y
PROFILE:2014年7月に、20年ぶりのニューアルバム、《rondoElectro – ロンドエレクトロ》がリリースされたポインズン・ガール・フレンドは、90年代を駆け抜け、多数のクラブ系ユニットで活躍。 2000年代前半はフランスのストラスブールへ渡り、音楽活動を休止。帰国後の2006年頃から、ライヴやDJ活動を再開。そのテクノとフレンチ•ポップスとの融合ともいわれている音世界は20年経っても不変である。とともに、2015年は以前から取り組んでいる、フランス歌曲のアコーステックライヴを披露。現在CD準備中。

フレンチ・ミリオン・キスInterstellairesMusic Complete[ボーナストラック収録 / 国内盤] (TRCP200)

陣野俊史(文芸評論家)

Grand Corps Malade, il nous restera ça
Abd Al Malik, Scalifications
Smockey, ‘ Tomber la lame ‘ in
Pré Volution
■1)と2)は有名なラッパーの新しいアルバム。よく聴いたというよりも、1)は、1月7日のシャルリ・エブド紙襲撃事件の数日後に、Je suis Charlie という曲を作り、歌った姿に揺さぶられた。賛否はもちろんあるだろう。ただ、あの事件に反応することはとても大事。2)は、やはりシャルリ・エブド以後、その発言に関心が集まったラッパー。新作では、イメージチェンジ。3)について。個人的なことだが、つい先日、「フランコフォンとラップ」というテーマでフランス人を相手に話すという、考えてみれば相当恐るべき講演をやったときに、ちょっと気になったラッパー。ブルキナファソの人々の自由を訴えるアクティヴィストでもあるけれど、9月にスタジオが破壊され、それに抗議すべくアフリカ中のミュージシャンが集まったことは記憶に新しい。Pré Volution というアルバムを全部聴いているわけじゃないので、シングルだけ推薦します。

Il Nous Restera CaScarifications

福井寧(@futsugopon)

Izia – La Vague
■ジャック・イジュランの娘イジア(Izïa Higelinが名前で、アルバム名義の Izia はグループ名)は、これまで英語でロックを歌っていて、一部で「フランス版ジャニス・ジョプリン」として持ち上げられていました。あまり興味がなかったのですが、今回作は一転してエレクトロポップ路線になり、全編フランス語で歌っているというので聞いてみたら、これがいいじゃないですか。同種のサウンドだが、無性的な印象のクリスティーヌ&ザ・クイーンズと比べると、イジアのヴォーカルはずっとセクシャルで、しかも曲が粒揃いです。このアルバムは、あまり盛り上がらなかったここ数年のニューウェイヴ・リヴァイヴァルのひとつの成果と言えるかもしれません。
Bertrand Belin – Cap Waller
■ベルトラン・ブランはソロデビュー10年目のシンガーソングライターで、今年44歳。ソロデビュー前はカナダや英国のグループで活動していて、べナバールのギタリストだったこともあるとか。ベルトラン・ブランは低音の声で呪文のように歌い、無愛想なまでに淡々としたストイックな演奏が続きます。しかしこの見かけ上の単調さは冷めた熱気をはらんでいて、仏頂面の陰にはユーモアがあります。フランス版ビル・キャラハン(スモッグ)という印象ですが、曲作りにはもう少しヴァラエティがあり、細かいアレンジが凝っています。スタイリッシュなフランスのロックとしてお勧めのアルバムです。
Fauve ≠ – Vieux Frères (Partie 2)
■若者に絶大的な人気を誇るスポークンワード集団フォーヴの2作目ですが、これはひとつの作品の第2部なので、去年出ていた第1部と合わせて、今年のベストアルバムの一枚とします。音楽的にはキャバジィの方がおもしろいけれど、人気者にしかない勢いがフォーヴにはあります。ささくれだった感性と同時にみずみずしい叙情性を見せるサウンドは、よくも悪くも今のフランスの空気をよく表すものです。今どきのラップほど品が悪くもガキ臭くもなく、かといってものわかりがよくて行儀がよすぎたりもしないこの感じが得がたいものなのではないでしょうか。基本的にはダークな雰囲気だけれども、希望がほのかに見えるのがいいです。
■春先に出たクレール・ディテルジから、最近出たばかりのラファエル・ラナデール(L)まで、他にもよい作品がありました。レジノサンの復活作、ラ・グランド・ソフィー、フー!シャテルトンなども印象に残りました。ローズマリー・スタンドレー&エルストロフェールス・バンドの作品は、フランスオルタナカントリーを代表するモリアーティのヴォーカリストが、古楽アンサンブルをバックに英米の歌曲を歌う意欲作でしたが、全編英語であり、ジャンルちがいかも知れないので、選外としました。期待の新人はアルマ・フォレール。再発ものでは、ディアボロガムの『#3』(1996)とダニエル・ダルクの『Crèvecœur』(2004)それぞれのデラックスエディションがよかったです。
YouTube動画リンク
Izïa – La Vague youtu.be/7MudfCf1rAU
Bertrand Belin – Folle folle folle youtu.be/y5yrzgz9V4M
Fauve – Les Hautes Lumières youtu.be/wDxchoqHQbg
PROFILE:私はここ数年アフリカ方面で日仏通訳をやっています。来春には帰国の予定です。 www.proz.com/profile/1317506

La Vague -Ltd-Vieux Freres - Partie 2Cap Waller

粕谷祐己(世界音楽研究家)

Reda Taliani / Merdi l’amour
■シャルリーの死が思想の死を、バタクランの死が音楽の死を眼前に突きつけた2015年に「ベストアルバム」などありえようか?しかし『ミュージックマガジン』がワールド部門1位にレダ・タリアニを推してくれたからには、「ライ大好き!」の私は少しでもライの背中を押さなければいけません。本作がアルジェリアで生き続けているライの中で特に大傑作だとは思いません。でもこのまま世界のポップスは画一化の一途をたどるかと思われたとき、あらゆる音楽ジャンルを飲み込んで増殖していたころの「ロック」と同じあの図々しさを久々に「ライ」が奪還して、傲然とテロの前に立ちはだかったという幻影くらいは、確かに見せてくれたかもしれません。
youtu.be/mox60ocvUas
PROFILE:粕谷祐己(または雄一。かすや・ゆういち)。フランスの作家スタンダールの研究から始めて世界文学をかいま見、アルジェリア・ポップ「ライ」から始めて世界音楽を渉猟する金沢大学国際学類教員。大学院でご一緒に「ワールドミュージック」研究しませんか?
blog.goo.ne.jp/raidaisuki

Reda Taliani, Best Of

國枝孝弘(大学教員、元NHKテレビ、ラジオフランス語講師)

■Apple Musicが始まった今年。最初は音楽が聞き捨てられると思いましたが、自分の場合、ラジオのように試し聞きして、気に入ったものを購入。世の中の流れは「所有からアクセス」らしいが、「アクセスから所有」へと逆流して、かえってフィジカル盤の枚数が増えました(笑)。
1. Pops Staples, Don’t Lose This.
■Staples Singersの父親、Pops Staples が亡くなる2年前に録音したテープの音源をもとに、ウィルコのジェフ・トゥイーディが、娘たちのコーラスや、最小限のギター、ドラムを加え て完成させたアルバム。ブルース、ゴスペル、ソウル。良い音楽は当たり前だが、ジャンルを越える。85歳の歌い手の声は、成熟を越えて聖なるものを感じさせる。
2. Les Innocents, Mandarine
■90年代に「フランスのXTC」と異名をとった(勝手に私が呼ん でいるだけだが)、Les Innocentsの16年ぶりのアルバム。メンバーはJP NatafとJean-Christophe Urbainの2人となったが、あか抜けたポップセンスは変わらない。シンセサイザーの電子音とフォークギターの生の音がうまく溶け合い、フランスの音楽 には結構珍しい抑制が聴いた音になっている。
3. Shelby Lynne, I Can’t Imagine
■アメリカのオルタナ・カントリーSSW.彼女の音楽人生の遍歴は、これまでに発表されてきたアルバムジャケットの写真そのものに表れている。今回はついに荒野に腰を降ろし、化粧っ気もなく、髪も風にまかせている。ストイックな自己表現で、すり寄ってくるところがまったくなく、ただただ、乾いた風が吹いているようなアルバム。達観したかのような風情さえただよう。
PROFILE元「テレビでフランス語」、「まいにちフランス語」担当講師。フランス文学・フランス語教育。少年期よりロック・ポップスの大ファン(Web参照)。慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス教員。
kunieda.sfc.keio.ac.jp

Don't Lose ThisMandarineI Can't Imagine

MANCHOT AUBERGINE(FBNライター)

1. Cristal Automatique #1 / BABX
www.amazon.fr/Cristal-Automatique-1-Babx/dp/B00Y1HLUDY/
■才人バビックスの4枚目のアルバム。彼自身が立ち上げた新レーベルBison Bison の第一弾。ボードレール、ランボー、ジャン・ジュネからトム・ウェイツに至る詩人の作品に曲を付けた作品集。簡素でよく練られたアレンジと、バビックスのほんの少し甘ったるい、しかしよく通る声の相乗効果で、味わい深いアンソロジーになっている。好企画。
“La mort des amants”  youtu.be/dTTTm1merVo
2. L. / Raphaële Lannadère
www.amazon.fr/L-Raphaele-Lannadere/dp/B016N0SQJC/
■2011年Lというアーティスト名でファーストアルバムを出したラファエル・ラナデールなる女性歌手が、今度は本名でL.というタイトルのセカンドアルバムを出した(ヤヤコシイ)。ファーストに比べるとアレンジでのシンセ系の使用頻度が増え、声も淡々と落ち着いた感じで、アルバム全体を通じ、冬の深夜のようなクールな印象を受ける。いつまでも聞いていたくなるような優しく魅力的な声の持ち主。
“J’accélère”  youtu.be/pJek8Nr4VJI

Cristal AutomatiqueL

サツキ(Small Circle of Friends)

1 ,The INTERNET – Ego Death
■今年後半期にまちがいなく一番聴いたアルバムです。それこそ始めから終わりまでをエンドレスに何度も何度も。部屋で鳴らし続け、気づけば一日が終わっていた、なんて日もありました。そのくらい消費しつくせない程の愛しさが詰まっています。今まで2人組ユニットだった彼らが念願だったバンド編成を手に入れその喜びがストレートに伝わってきます。演奏も録音も決して完璧ではなく、どちらかといえばたどたどしい部分を残していたり、つくづく「若いって素晴らしい(一番若いメンバーで17才)」と思う。そして若いコトとは関係なくシドザキッドには嫉妬する覚える自由な歌えの発想があります。一曲一曲の良さはもちろん、歌の温度がちょうどいい湯加減です。
www.internet-band.com/tour
youtu.be/cSlnd4YnmGI
2 ,TEEBS  – AV / ESTR Outtakes & Remix
■カセット・オンリーだった『Ante Vos Demos』に未発表曲+リミックス音源を加えたアナログ盤vinyl-only。いつだってTeebsは素晴らしい。それがアウトテイクだろうが誰かによるリミックスだろうが、同じモチーフ(軽いキックと重いキックのコンビネーション、パーカッションのループ、リバースされたストリングスのサンプル)を何度使おうが、ひとたびレコードに針を落とせば、ノイズ塗れのリヴァーブ音に包まれて甘い時間を過ごす事ができる。そしてその余韻がギリギリまでコンプレッションされたその瞬間、ダッキングで波打つリズムが現れ、またしてもTeebsにしてやられたと笑顔が溢れ出て仕方がないのです。
shop.mtendereteebs.com/collections/frontpage/products/av-estr-outtakes-remixes-vinyl
youtu.be/0CsM06uL_k0
3 , Bar Music 2015  ~Under Sail Selecsion~ / バー・ミュージック 2015(CD)
■2013年から続く、渋谷「Bar Music」の店主、中村智昭のレーベル「MUSICAANOSSA」からリリースのコンピレーション第三弾。いまや日本のみならず、世界中の音楽ファンから愛されるバーが渋谷にあります。知り合いのイタリア人曰く「My Favorite Place in the world.」だそう。決して敷居が高いわけでもなく、世界中から店主ナカムラ君、と同じベクトルを共有し選んでくる音楽は、ジャンルの垣根など関係のない取り混ぜ全てに意味があり、お酒やコーヒーを楽しみながらも「音楽」に没頭し、または「音楽」について真面目に考えさせられる場所なのです。そこには店の名前を「Bar Music」にしたナカムラ君の自負と覚悟が感じられます。その彼がコンパイルしたCDシリーズも「2013」「2014」に続いて3作目。音楽を「選ぶ」いう事に執念さえ感じられる姿勢に「作る」我々も応えねばという気持ちになります。Small Circle of Friends -暮らしの手帖〜Lovely Day (Instrumental Version)-収録。
barmusic-coffee.blogspot.jp/2015/11/bar-music7ep.html
www.scof75.com
PROFILE : Small Circle of Friends ムトウサツキとアズマリキの二人組。1993年、福岡にてスタート。1998年より拠点を東京に移し、Small Circle of Friendsとして10枚のアルバムをリリース。2005年、サイドプロジェクト「STUDIO75」スタート。2014年10月08日、 ムジカノッサ・グリプス(選曲・監修:中村智昭from Bar Music)より、12インチ・アナログ『Lovely Day EP』をリリース。2015年7月1日初のBEATSアルバム「STUDIO75 Best of LL」をリリース。現在、2016年リリースのアルバムに向けてレコーディング中。
www.scof75.com
www.75clothes.com

Ego DeathAv [12 inch Analog]Bar Music 2015 ~Under Sail Selecsion~

片桐 衛(Bix&Marki )

タイトル:Fresque (フレスク) 
アーティスト:Bix&Marki  (ビックス&マルキ)  
2015年3月発売
■歌、フルートのBixとギターのMarkiが10年余に渡るベルギーでの活動を経て、2010年末より日本で活動しているアコースティックデュオによる5枚目のCD。創造性溢れた淡い色彩の曲は、本当の意味で“独創的”であり、その優しい音世界にムードとスリルが混在。フランス育ちのBixが囁く詩的で繊細なフランス語とMarki が奏でる浮遊感のある不思議なギターハーモニーが絡み合い、音空間の隙間を活かした飾りのない響きで孤高の優しさを紡ぎ出します。上手な歌や演奏ではなくアーティストに“オリジナリティー”を求める方は是非一聴を。 
タイトル:Passage flouté (パッサージュ フルーテ)   
アーティスト:TSR Crew (テーエスエル クルー)
2015年4月発売
■HUGO(ユーゴ)、OMRY(オムリー)、VIN7(ヴァンセット)と言う3人のラッパーよるTSR Crewの8年振り2枚目のCD。クラシック音楽系のバックサウンドに同じテンポが全曲を貫き通す愚直で骨太なラップグループ。自らパリ18区出身を標榜し、1999年の活動開始から、暴力や失業、麻薬などの日常を“ライブステージからのSOS”として歌い続けて来た筋金入りのラッパーだ。時に失望し、時に望みを見出し・・・苦悩の中にあるエネルギーが彷彿している。汚いスラングと知性の光る表現を織り交ぜ、HUGOの実直さ、OMRYの粘り、VIN7の鋭さが噛み合う。
youtu.be/NZlLfkNfgQI
fr-fr.facebook.com/tsrcrewofficiel
chambrefroideprod.com/
タイトル:La basse d’Orphée (ラ バス ドルフェ) 
アーティスト: Michel Hatzigeorgiou(ミッシェル アッチジョルジュ)
2015年9月発売
■Michel Hatziは、仏語圏ジャズ界で言わずと知れたエレクトリックベースの鬼才!若き日にベルギーで頭角を現した頃、その才能を見込まれた彼はJaco Pastoriusの後任でWeather Report に加入寸前だったと言う。また90年代前半からは、現代ジャズの多角的な方向性を示したAka Moonのリーダーとして活躍している。このアルバムはエレキベースの可能性を追求した実験的な作品であり、10年程前からベースソロのライブを重ねてきた彼の集大成だ。その卓越したハーモニーセンスとリズム感で、難解であるにも関わらず音楽自体の美しさを素直に感じる作品。
www.jazzinbelgium.com/album/michel.hatzigeorgiou_la-basse-dorphee
www.facebook.com/pages/Aka-Moon/118539060359
youtu.be/JLRp4CkFQq8
PROFILE : 片桐 衛(ギタリスト・作曲家):京都にてジャズギタリストとして活動を開始。その後、ギターを路上で弾きながら一年半近くヨーロッパを放浪。帰国 後はパフォーマンスアートや映像制作なども行う。1999年から2010年までベルギーに在住しブリュッセルのコンセルバトワール修士課程を修了。現在、 日本で Bix&Marki として活動中。東京都世田谷区でギター教室も開く。
ウェブサイトアドレス www.makbx.com/
Facebook www.facebook.com/pages/BixMarki/351031024981233

Passage flouté

わたなべまさのり(ビー・アンクール・ドットコム株式会社)

Shye Ben Tzur, Jonny Greenwood And The Rajasthan Express / Junun
Jean-Michel Jarre / Electronica 1 The Time Machine
Bluvertigo / Andiamo À Londra
■今年もお誘いいただき、大変光栄であるのと同時に恐縮です。今年は度肝をぬかれるほどの音楽との出会いはありませんでしたが自分が聴いた中には結構いいも のが割りと多く、3枚は迷いました。Bluvertigoはシングルで、来年久しぶりの新アルバムが予定されていますが充分に期待させる出来です。プロッパーなフォーマット、できればLPで聴きたいですね。Jarreのこの新作はリリース(我が家到着)前に収録各曲のミニドキュメンタリー等が次々にアップ されるなどして、事前に一切音を聞かずに初めてアルバムを体験するのに結構苦労させられました(笑)。

Ost: JununElectronica 1: The TimAndiamo A Londra

exquise(FBNライター)

ペトロールズ「表現」
今年はほとんど新しい音楽を聴かなかったので、敢えて1曲だけ挙げるとするとこの曲だろうか。去年のサマーソニックのダイジェストを観ていたとき、とても印象に残った日本の3人組がいて、後で調べてみたら、ギターの人は東京事変に在籍していた「浮雲」さんで、なるほどギターが大変カッコ良いのであった。なかなか音源が入手しにくい状況だったのが、今年ついに結成10年目にしてフルアルバムが発売され、サマソニで演奏していたこの曲がようやく聴けた。久々に邦楽のアルバムを買ったなあ。
youtu.be/pTQrCi8BfA8

Renaissance

cyberbloom(FBN管理人)

Forever Pavot (full concert) – Live @ Rock en Seine 2015
■フランスの夏フェスRock en Seine のライブの動画を何気なく見ていて発見したバンド。初期のピンク・フロイド、ゴング、ソフト・マシーン、カンなんかを思い出させるサイケで多彩な音。夏以降、仕事をしながらいつも聴いていた。Forever Pavot の結成は2011年、パリを拠点に活動しているようだ。アルバム「Le passeur d’armes」が出たのは去年だが、今年のベストライブということで。生で見たわけじゃないですが。
youtu.be/X-UbrPhl9y4
世武裕子 / Wonderland
■今年はフランス系日本人アーティストの活躍を目の当たりにした。まずは2009年にフランスのTV番組で見出されたレ・ロマネスクのライブを何故か富山で初体験。2015年のアルバム選びにも参加していただいた Bix & Marki のお二人と弘前のイベントでお会いした。彼らはフランス語でオリジナル曲をやっているほぼ唯一の日本のバンドだそうだ。二日ばかり行動を共にさせていただいたが、音楽の話がとても楽しかった。世武裕子さんの新しいアルバム「Wonderland」が出た。シングルのPVも爽やかで素敵である。パリ・エコールノルマル音楽院で作曲を学ばれたので私の中ではフランス系アーティストという認識だ。20年ぶりに再会した友だちと地元が舞台になったドラマ「恋仲」(福士蒼汰&本田翼主演)の話題で盛り上がったが(第1話の舞台が私が生まれた町だった)、世武さんがドラマの音楽を担当されたことを知り、勝手に運命的なものを感じたのだった。
youtu.be/4Fda9PrPYMs

Le passeur d'armesWONDERLAND

GOYAAKOD(FBNライター)

アラン・トゥーサンの死
■音楽と向き合う時間が減る一方だった2015年。今年の音楽を語る資格はありません。が、個人音楽史の2015年の頁に太字で刻まれる出来事だった、アラン・トゥーサンの死についてこの場を借りて少しお話させてください。
■11月10日、公演先のスペインで客死。77才。最後まで粋なスーツ姿で、ピアノの前から離れる事はありませんでした。大好きなアメリカのポピュラー音楽の中でも、とりわけニューオリンズ産のものをひいきにしたのは、アラン・トゥーサンが作り歌い仕立てた楽曲のおかげといってよいでしょう。土地の名物、はねるようなセカンドラインのビートを巧みに操るかと思えば、ゆったりとした心にしみいるバラードを何曲も送り出したり、足のうらをこちょこちょとくすぐるような独特の脱力系ノベルティソングを連発したり(リー・ドーシー!)。彼が残したあまたのヒット・ソングに共通しているのは、シンプルだけれど気持ちに届く言葉づかいと、「喜び」の感覚。うつむくことなく、にこにこしている。ポジティブとか前向きというものとは違う、根っからSunnyな感じ。その底には、この世の中を素直に信じる気持ちがあったように思います。
■台風カトリーナが彼の故郷を襲った後改めて吹き込まれた踊れる社会派ソング、”Yes We Can Can”を今聴くと、明るさが身にしみてきます。ろくでもないことが立て続けにおこって、世の中はどこへ流れてゆくんだろうと不安にかられ眉根をついよせてしまいますが、ひょこひょことはずむリズムにのって「みんなが住むこの世界をもっといいところにしようよ」と軽快にアランおじさんに歌いかけられると、そうだよね、何かできると顔を上げるのです。「そうしたいと思うならさ、できるできるできるよできるにきまってるって!」肩の力を抜いて、このすてきな音楽の力を借りて、おまじないを唱えるみたいに、2016年へと歩み出しましょうか―Yes, we can can。
youtu.be/mP3YhOzb74k

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当サイト の管理人。大学でフランス語を教えています。
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