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FRENCH BLOOM NET 年末企画(2) 2014年のベストCD

text by / category : 音楽

恒例の年末企画。第2弾は2014年のベストCDです。今回は FBN のライター陣の他に、アーティストのサエキけんぞうさん、サエキさんに紹介していただいた仏音楽に造詣の深い秋山美代子さん、文芸評論家の陣野俊史さん、POISON GIRL FRIEND の nOrikO さん、ヒップホップデュオの Small Circle of Friends さん、マニアックなフランス音楽とフランス語のツィートでおなじみの福井寧(@futsugopon)さん、雑誌『ふらんす』編集長 Mlle Amie さん、音楽プロモーターのわたなべさん、金沢大学のライの伝道師、粕谷祐己さんにも参加していただきました。

 サエキけんぞう(アーティスト)

Le cabinet de curiosités / Fabrice Ravel-Chapuis 
Volvox music 2013
CD double album
■在フランスの親友であり、トップシンガーBenabar (ベナバール、フランスの氷川きよし的存在だった?)やアダモのサウンド・トータル・プロデュース、ジュリエット・グレコ、ジェーンバーキンも参加したレジーヌのトリビュート盤プロデュースを手がけるファブリス・ラヴェル・シェイピイの最新盤。ピアノ中心のヨーロッパ耽美主義的楽曲に、質実剛健なフランスの現在進行形を見る。ただし、本人はポップス全般からクラシック、ジャズまでを見渡せるオールラウンドな音楽家である。
http://www.ravelchapuis.com
Alek et Les Japonaises(アレック エ レ ジャポネーズ)
■今年一番ショックを受けたアーティスト(アルバムがamazonにありません…会場売り)フランスではなくベルギー出身、フランス、ベルギーと日本で活動をしているベルギー人男性と日本人女性の夫婦ユニット。めちゃくちゃBPMの早いボーカル入りエレクトロポップだが、とにかく面白い。ギャグ的感情の嵐の中に放り込まれる。そのポップなグルーヴは、聞いたことがないもので、もし世界に発見されれば、受けること間違いない。こんなアーティストが安易に埋もれているところが、現代の怖いところ。
http://www.aleketlesjaponaises.com
タイトル:Les Feux d’Artifice(花火)
アーティスト:Calogero
発売日:2014 年8 月19 日
■今回、フランスを中心にヨーロッパ圏を飛び回られている秋山美代子さんに、今年のフランス・ポップスのベスト5を挙げてもらったが、その中で一番気に入ったのはこのCalogero。高音の情感がたまらない。ポップス中道なのだが、シャンソンの伝統の情念も深く継いでいて、フランスは本当にあなどれないと思う。こうしたポップスがキチンと売れているフランスは、音楽を大事にしているし、消費のまっとうさは英米をしのいでいるのではないか?とさえ思える。「ソロ6 枚目となる、スタジオ録音アルバム「Les feux d’artifice(花火)」をリリース。2014 年12 月10 日現在、ケンジと共にフランス・チャートのベスト5 から1 度も脱落することなく、このまま快進撃が続けば150 万枚を上回ると予想されている。」とのこと。
PROFILE:アーティスト、作詞家、1980年ハルメンズでデビュー、86年パール兄弟で再デビュー、作詞家として、沢田研二、サディスティック・ミカ・バンド、他多数に提供。著書「歯科医のロック」他多数。2003年フランスで『スシ頭の男』でデビュー、2回のフランスツアー。10年ハルメンズ30周年で新譜他5アルバム発売。12年フランス大使館文化部のアンスティチュ・フランセ日本グループ設立に際し日本を代表する3人の文化人に選ばれる。12年著書「ロックとメディア社会」(新泉社)でミュージックペンクラブ賞受賞。最新刊「ロックの闘い1965-1985」(シンコー)
INFO:フレンチ・ユニット、サエキけんぞう&クラブ・ジュテーム高音質音源ライブ 『Je t’aime! Hi-Reso LIVE』 を、DSD5.6MHzと24bit/96kHzで、それぞれ異なるマスタリングで2014年7月20日、配信にて販売。
http://bit.ly/1sVHPgX

Le cabinet de curiositésLes Feux D'artifice -Ltd-Partout La Musique Vient

秋山美代子(Sports & Entertainment グリオインターナショナル神戸 代表)

タイトル:Kenji(ケンジ)
アーティスト:Kenji Girac
発売日:2014 年9 月8 日
■1996 年7 月3 日生まれの若干18 歳。フランス国内をキャラバンで旅しながら回るジプシー家族の出身。幼少時より音楽は生活の一部で、自然にギターと歌に親しみ、めきめき才能を表す。友人が有名歌手のカバーを歌うケンジをYouTube に投稿したことを機に、この天才少年の存在はフランス中に知れ渡り、続いて2014 年人気オーディションTV 番組「The Voice」に登場。同5 月圧倒的な強さで他3 候補を蹴落とし優勝。6 月に5 曲入りEP リリース。9 月8 日デビューアルバムをリリース、発売2 週目にして20 万枚を売り上げ、ストロマエの記録に、いつ追いつき追い越すが注目されている。。自身のルーツとアイデンティティを歌った「Color Gitano」と「Monunivers」、ジプシー男たちを、美貌と踊りの上手さで魅了し、幻惑する女神たちを称える「Andalouse」と「Bella」はじめ、全曲フランス人と外国人がジプシー音楽に期待して求める、エキゾチシズムにここぞと応えながらも、ジプシーの魂と誇りは決して売り渡さない心意気を保持する、両方のバランス加減が絶妙!嫌が応でもケンジのツアーと次回作への期待は高まる一方である。
タイトル:Les Feux d’Artifice(花火)
アーティスト:Calogero
発売日:2014 年8 月19 日
■Calogero/カロジェロは、1971 年グルノーブル郊外、低所得者層の居住地区Echirolles 生まれの43 歳。99 年初のソロアルバム「Au milieu des autres(他人の間で)」をリリース(売り上げ130 万枚)一躍注目を集める。続いて2002 年「Calogero」でヴィクトワール賞(フランス版グラミー賞)男性歌手賞受賞。04 年のアルバム「3」は150 万枚以上売り上げ、その他のアルバムも50 万枚近い好セールスを記録。すべて楽曲が素晴らしいが、中でも先行シングル発売された「Un jour au mauvais endroit(ある日、不幸な場所で)」は圧巻だ。すべて楽曲が素晴らしいが、中でも先行シングル発売された「Un jour au mauvais endroit(ある日、不幸な場所で)」は圧巻だ。この曲は、フランス中に衝撃を与えた、カロジェロの生まれ故郷のスラム街で実際に起きた、若者同士の乱闘の巻き添えになった、21 歳の2 人の青年の死亡事件をテーマに「あの日、あの場所を通りかからなけれなけれな、不幸な目に遭わなかった。。。」と死亡青年の語り口で、妻のマリーが詩を書き、青年の遺族を訪ね、アルバム収録の許可を得て発表に至った超力作だ。
タイトル:Partout la Musique Vient(どこにでも音楽はやって来る)
アーティスト:Julien Clerc
発売日:2014 年11 月3 日
■往年のシャンソン・ファンなら、70 年代半ばから後半にかけての、日本でのフレンチ・ポップス最盛期に、Julien Clerc/ジュリアン・クレールの名はミッシェル・ポルナレフの弟分として、記憶に残っているはず。鬼才エチエンヌ・ロダ・ジル(作詞)との伝説の名コンビで、社会性・政治意識の高いアルバムを次々にリリース、ツアーを重ねるごとに、他のアイドルたちとは一線を画すアーティストに成長する。1980年発表、同時にツアーでも歌い続けた、ジャン・ルー・ダバディ(フローラン氏の父)との共作「L’AssassinAssassin?(殺害された殺人者)」は、やがて社会運動へと広がり、この歌がきっかけとなり、ついにはフランスの死刑制度が廃止されることになった。後にも先にも歌の力で、フランスの政治を憲法を変えた歌手はジュリアン唯一人である。通産23 枚目のスタジオ録音盤「Partout la Musique Vient(どこにでも音楽はやって来る)」は、ロンドンで録音、ジミー・ホガースとジュリアンのプロデュース。ジョルジュ・ブラッサンスのブラック・ユーモアを思わせる、結婚生活の夢と憧れ、そして失望と諦めを歌った「On ne se m?fie jamais assez(あなたは全く疑うことを知らない)」。哀調を帯びたタイトル曲「Partout la Musique Vient」では「沈みゆくタイタニックで、最後まで演奏し続けた楽師たち」、情熱的なダンス・ナンバー「Danser(ダンス)」、シャガールの絵のような、幻の愛の一夜を描いた「Violette Et Pierrot(スミレとピエロ)」など、どの曲も歌詞が秀逸である。リピートして聴くほどに深みと味を感じさせるアルバムである。他のフランス人歌手には、到底真似できない明瞭で滑舌、カリビアンのDNA が成せる技の軽快なリズム感と、粘っこいグルーヴ感を持つ、独特の小節の効いた(200%黒人声)の歌声。何をどう歌ってもジュリアン節ながら、力強さと繊細なニュアンスに富んだ歌声を、自在にコントロールする表現力豊かな歌唱と、声同様に一向に衰えない若々しい容色がジュリアンの最大の魅力と言える。
タイトル:Rester vivant(生き続ける)
アーティスト:Johnny Hallyday
発売日:2014 年11 月17 日
■たとえファンならずとも、フランスの老若男女誰もが認めて疑わない、国民的歌手二大巨頭の内1 人はフランス・ロック界の帝王、Johonny Hallyday/ジョニー・アリデイであり、もう1 人が先に紹介したジュリアン・クレールである。ジョニーにしろ、ジュリアンにしろ、別格中の大物歌手にも関わらず、日本に於けるフレンチ・ポップス(シャンソン)の悲惨な歴史と共に、本国や仏語圏での巨大な人気と知名度そして偉業は、日本のフレンチ・ファンには全くと言っていいほど伝えられていない。それでも昔からのジュリアンのファンたちは、かつてのポルナレフのファン同様、ツアーの度にフランスや、英国、カナダまで遠征してコンサートを観に行ってるようだが、ジョニーに関してはそんな話も一向に聞こえてこない。日本での唯一の知名度と言えば、シルヴィ・ヴァルタンの元亭主だから、気の毒にもほどがある。ジョニーはミック・ジャガーと同じ年の71 歳。デビュー以来50 年間一度も地位を明け渡すことなく、フランス・ロック界の頂点に君臨し続けている。71 歳にして、皮ジャンにジーンズ姿でセックス・シンボルを演じる。コンサートでは3 世代が集結して、汗まみれで熱唱するジョニーに絶叫し涙を流す。ある人が「矢沢永吉の10 倍濃い!」とジョニーを揶揄したが、さすがの永ちゃんも失礼ながらとても比較にならない。ステージでの元気過ぎる、濃過ぎる怪物ぶりと、3 世代のファンを有するところは、先のジュリアンと共通するが、ジュリアン=知識階級、ジョニー=労働者階級と、両者のファン層はハッキリ分かれる。。11 月17 日に発売された「Rester vivant(生き続ける)」は、なんとローリング・ストーンズ等の大プロデューサー、米国のドン・ウォズをプロデューサーに迎え、ジョニーが日常生活を送るロサンゼルスで録音された。
タイトル:A l’Infini / Live Tour Edition Collector CD + 2 DVD CD+DVD
アーティスト:Tal
発売日:2014 年11 月24 日
■現在人気No.1、超メジャーなイスラエルの女性歌手TAL/タルの紹介。2014 年3 月から始まったAL’INFINI ツアーは、先々で売り切れが続き、6 月8 日パレ・デ・スポール・パリ追加公演が決定した。タル(ヘブライ語で朝露の意味)はイスラエル生まれの25 歳、1 歳半で家族とフランスに移住。2009 年ワーナーと契約「La musique est monange(音楽は私の天使)」でデビューする。2011 年、人気歌手クリストフ・マエとアリシア・キーズの前座に抜擢され注目を浴び、数々の音楽・新人賞を総なめし、短期間でスターの座に駆け上がる。2012年3 月ファースト・アルバム「LE DROIT DE R?VER(夢みる権利)」をリリース。そして早くも2013年10 月、2 作目となる「A L’INFINI(無限大に)」をリリースし、現在までに50 万枚近く売りあげている。タルが、イスラエルが生んだ最大のスターで伝説の歌手、マイク・ブラント(1947-1975、28 歳没)の後継者となる日もそう遠くない、と言われている。
PROFILE:神戸生まれ、神戸在住。フレンチ好きの父と、外国航路の船長だった母方の伯父の影響で、ジルベール・ベコー、シャルル・アズナヴール、セルジュ・ゲンズブールを子守唄代わりに育つ。幼稚園時代からは、プロモーター・通訳だった父方の伯父の影響で、ラテンとロックにも親しむようになる。中学、高校時代は有名ミュージシャンの来日公演をほぼ制覇。しかし一生の不覚は生ドアーズを観れなかったこと。高卒後ファッション・デザインを学びながらパリに遊学。勉強よりも、コンサート、ナイト・クラブ通いの日々を過ごす。1985年、仏・英の音楽関係者との交流から、ワールド・ミュージックと関わるようになり、ユッスー・ンドゥールの日本での広報を担当。ピーター・ガブリエルの紹介で、1990年、WOMAD JAPANのディレクターに就任。同時に英BBC-TV Music & Artsのアジア・コンサルタントを約9年間務める。数年の休止を経て、2009年より、徐々に音楽の現場に復帰し今日に至る。現在、日本国内での営業は、来日アーティストのコーディネートのみ。

陣野俊史(文芸評論家)

1)    Zebda, Comme des Cherokees
2)    Yelle, Complètement fou

■フランスの音楽が聞こえるラジオをネットでよく聴いてはいるのだが、オレも他の人と同じく(?)、だんだんCDを買わなくなってきた。ちょっとマズいなぁと思っているけれど、忙しさにかまけて、ダウンロードするようになってきた……。で、どうしても欲しくなって買ったCDを2枚、挙げます。まず、ゼブダ。アルバムは8月にリリースされた、Comme des Cherokees。中で特筆すべきは、les Chibanisというシングル。定年で仕事を終えた元・移民労働者が歌われている。フランスという国にやってきて、労働力の不足を補うために、主として肉体労働に従事してフランスを下支えし、定年で仕事をやめた老人たちの、慎ましい生活ぶりを歌っている曲。ゼブダらしい目線の低さが光る。いま動画サイトで確認したら、Rachid OUJDIによるクリップが曲に内容を完全に表現していて、◎。もう一枚は、Yelleのアルバム、Complètement fou。ノルマンディ地方から出て来たエレクトロ・ミュージックのヒロイン……という説明ももどかしいが、英語で歌うことがフランスのエレクトロの「常識」となりつつある中、堂々とフランス語で歌う姿勢は頼もしい。Hocus Pocusの20sylによるリミックスもかっこよかった。あと、Yelleのファンを公言しているのが、きゃりーぱみゅぱみゅ。凄いファンだと、フランスのあるメディアのインタビューで発言していた。自分の「カワイイ」には無気味さの成分が入っているという自己認識の正確さを含め、きゃりーぱみゅぱみゅ、見直しました!
PROFILE:1961年、長崎生まれ。著書に『じゃがたら増補版』『サッカーと人種差別』(文春新書)訳書にヴィオレーヌ・シュッツ『ダフト・パンク: テクノ・ファンクのプリンスたち』がある。

Comme Des Cherokees -Ltd-Completement Fou

nOrikO(POISON GIRL FRIEND)

カレン・ブリュノン(karen brunon) “La fille idéale”
■長年、美人ヴァイオリニストとして、ヴァリエテ・フランセーズ・マニアを魅了していた、カレン・ブリュノン(Karen Brunon)の待望のファーストアルバムがついに2014年秋に発売されました。果たして、天は二物を与えたのか?ケレンアン、バンジャマン・ビオレと共に、1998年に《Shelby : シェルビー 》というバンドで活躍。その後、セッション・ミュージシャンとして、様々なアーティストとの共演。私が彼女の歌に興味を持ったのは2006年頃、FBもなかった当時、世界のアーティストを繋いでいた貴重なSNS、MySpaceでの事。今回のアルバムにも収録されている、《Voilà》のデモ版を耳にした途端、彼女はただの美人ヴァイオリニストではなく、アーティストとして目が離せない存在になったのです。ファースト・ソロ・アルバムである、” La fille idéale”は、クラシック音楽を深く通ってきた彼女の、ひたすら美しい世界が展開されています。
コラリー・クレモン(Colarie Clémont ) “La belle Affaire” ラベルアフェール
■2001年にデビューしたコラリー・クレモン、実は私はあまり評価していませんでした。兄、バンジャマン・ビオレの七光りとして、お人形さんとして歌をうたってみたのかしら?という位の興味でした。当時フランスに在住しており、フランスでは彼女の情報は無に等しかったですので、もしかしたら、クレモンティーヌの様に、日本先行?日本人のプロデュースがバックについているのかしら?という感じだったのです。そんな彼女の6年降りに発売されたアルバム、”La belle Affaire”は、とうとう兄、バンジャマンの手を離れての作品ということで、全く期待せずに聴いたのですが、、、、これが私的には大当たり!日本人がイメージする、フレンチ•ポップ健在なり〜の世界です。フレンチ•ポップ好きにはたまらない一枚となっておりますし、Depeche Modeの”Enjyo the Silence’を、英語でカヴァーしていますので、UK音楽ファンの方々にもおすすめです。
イレイジャー (Erasure) The Violet Flame
■日本では、どうしても評価が低いシンセ・ポップというジャンルですが、その代表格のイレージャー、健在でございます。2013年に、クリスマスアルバム、”Snow Globe”をリリースし、その驚嘆と余韻が醒めぬまま、今年秋にRichard Xをプロデューサーに迎え、” The Violet Flame”をリリース。久しぶりにUKオフィシャル・チャートでも20位にランクイン。一時期、アコースティック路線のアプローチをしていたイレイジャーですが、やはり人々の求めるのは、エレ・ポップとしてのイレイジャーなのでしょうか。そのカラフルなポップ・チューン、楽曲のクオリティーの高さは相変わらず期待を裏切らない作品となっております。こんな曲で、踊りたい!と切実の願う2014年の師走なうw
PROFILE:2014年7月に、20年ぶりのニューアルバム、《rondoElectro -ロンドエレクトロ》がリリースされたポインズン・ガール・フレンドは、90年代を駆け抜け、多数のクラブ系ユニットで活躍。2000年代前半はフランスのストラスブールへ渡り、音楽活動を休止。帰国後の2006年頃から、ライヴやDJ活動を再開。そのテクノとフレンチ•ポップスとの融合ともいわれている音世界は20年経っても不変である。とともに、2015年は、以前から取り組んでいる、フランス歌曲のプロジェクトを発表予定。

La fille idéaleラ・ベル・アフェールViolet Flame

福井寧(@futsugopon)

1. Moodoïd – Le Monde Möö
■ムードイドはメロディーズ・エコー・チェンバーのギタリスト、パブロ・パドヴァーニ(ジャズ・ミュージシャンのジャンマルク・パドヴァーニの息子)のサイケポップユニット。これが初のフルアルバムだけど、テイム・インパラのケヴィン・パーカーがプロデュースした去年のデビューEPがおまけについていました。フランス版テイム・インパラといった趣だが、いんちきエキゾティズムと「トッド・ラングレンならユートピア」とでもいいそうなプログレ趣味が満載。実際プログレが大好きだそうだ。メロディー・ブロシェ、ヴァンサン・セガール、ゴングのディディエ・マレルブ(!)などが参加。
Moodoïd – La Lune http://youtu.be/Iwfv-zBoOJg
2. Cabadzi – Des angles et des épines
■今どきの「スポークンワード」で大ヒットしたのはフォーヴだけど、今年の後半期はこのキャバズィが話題になりました。フォーヴの真似っこみたいに言うひともいるけど、キャバズィのほうが前から活動しています。グループ名はCabaret bizarreの意味だそう。ストリングスやホーンを効果的に使った叙情的な演奏が、熱くエモーショナルなラッピング(?)を支えます。ぎこちない人間関係に対する違和感を表明するような内省的な詩が多い。はっとするような新鮮味はないけれど、フランスのラップやスラムでこれほど繊細で神経質な感じはあまりなかったと思います。
Cabadzi – Cent fois http://youtu.be/zEvl44Auv6Y
3. Rosemary Standley & Dom La Nena – Birds on a Wire
■パリで活動するフォークロックグループ、モリアーティの米国系ヴォーカリスト、ローズマリー・スタンドレーと、パリ在住のブラジル人チェロ奏者ドム・ラ・ネーナが二人だけで録音した室内楽的ポップス作品。ライトクラシックの音楽家がポップスに近づく例は腐るほどあるけど、逆はあまりないかも。世界中の歌を歌ったカバーアルバムで、英語、スペイン語、ポルトガル語、イタリア語、フランス語(クレオール)、アラビア語の歌が収録されています。これも今のフランスらしい作品。ブックレットが美しいので、ぜひとも実物を手にとって見てほしいです。
■次点はカナダのクロー・ペルガグのL’Alchimie des monstres。ベストソングはミナ・ティンドルのPas les saisons。ジャンヌ・シェラール、エミリー・シモン、ジャンルイ・ミュラの新作もよかったです。
Rosemary Standley & Dom La Nena – Bird on the Wire http://youtu.be/u5ruzi5PySE
PROFILE:私はここ数年アフリカ方面で日仏通訳をやっています。来春には帰国の予定です。 www.proz.com/profile/1317506

Le monde MööDes angles et des épines [+digital booklet]Birds On a Wire

MANCHOT AUBERGINE(FBNライター)

1. Chaleur Humaine / Christine and the Queens
■クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズ、『人間味』。グループではなくHéloïse Letissierという26歳女性のひとりプロジェクト。ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック 2014新人部門へのノミネート、ストロマエの前座などで注目を浴びたのち、6月にファーストアルバムをリリース。70年代後半~80年代の英国エレクトロポップを思わせる知的でクールな音楽性。とにかくかっこいい、「男前」な女性歌手。いずれ近い将来かならずスーパースター(それも、ミレーヌ・ファルメール級の)になる、と言いきってしまおう。それほどの逸材である。◆Nuit 17 à 52という不思議な歌の不思議なPVをごらんいただきたい。私にとっての今年の仏音楽PVベストワン。
https://www.youtube.com/watch?v=FONX8V7qZlw
 2. No smoke without fire / Tracie Young
■スタイル・カウンシルの初代ヴォーカリストにしてポール・ウェラーが主宰するレスポンド・レーベルの看板歌手であったトレーシー・ヤングの幻のセカンドアルバム。長らくお蔵入りになっていたが、チェリーレッド・レーベルの尽力により30年ごしで日の目を見た。長年のファンとしては、ただただ快哉を叫びたい気持ち。彼女の歌声の、輪郭のはっきりした、しかもふくよかな響きは本当に素晴らしい。その才能の大きさに比してむしろ不遇だったといえる彼女の歌手人生に思いをはせながら、私は通勤の途中、ウォークマンで毎日このアルバムを聞いている。一番のお気に入りはLove without jealousy.◆それにしても美しすぎるジャケット写真、いつの時期のものだろう?
https://www.youtube.com/watch?v=jeCBT155m7Y
3. La Cigare / Détroit
ノワール・デジールのベルトラン・カンタBertrand Cantatがバンド解散(2010)後に結成した二人組ユニットDétroitのライブ盤(サポートメンバーも加えた5人編成による演奏)。ノワール・デジール時代の名曲(À ton étoile / Un jour en France / Tostaky…..)も数多く演奏され、全体的に密度の濃い名演になっている。自らが犯したある罪(詳細はネットで)により40代をほぼ棒に振ってしまったカンタだが、やっと完全復帰したという感じを受ける。ノワール・デジールは、「フレンチ」という形容抜きで、たんなるrockとしてグローバルな土俵で勝負できる数少ないバンドのひとつだったと思う。そのバンドの中枢にあって長らくフランスロック界最大のカリスマだった彼は、その地位をもう一度取り戻すことが出来るのだろうか。
https://www.youtube.com/watch?v=uyhvk9bEcVs

Chaleur HumaineNo Smoke Without Fire

Mlle Amie(白水社『ふらんす』編集長)

Mansfield TYA. – June(2005), Seules au bout de 23 secondes(2009), NYX(2011)
■初めて聴いた5年ほど前から数カ月に1回マイブームがやってくるMansfield TYA.は、パンクユニットSexy Sushi のジュリアとクラシック奏者として活躍するカルラによる女性ユニット。一見畑違いのふたりによる世界はデリケートにしてキッチュ、ルールのなかで二人が楽しみながら丁寧に作り上げているのが伝わってくる。リミットなしのSexy Sushi が口のなかで弾けるごつごつしたスパークリングキャンディーなら、Mansfield TYA.は空洞の中にわくわくするおもちゃが入ってる卵型のチョコ菓子。プロフェッショナルな大人が真剣に学芸会をやるとこうなる、といった印象のNYXは初めて聴く方にとりわけおすすめ。
サカナクション – sakanaction(2013)
■四半世紀なんとなく邦楽のアルバムは買うことはなかったのだけれど、このたびひとの勧めでなんとなく解禁。フランス語の歌だったら絶対ありなえいところで単語が切られてメロディーに乗っていたりするのだが、これが日本語をことばからちょっとだけ切り離して音にしていて面白い。近頃の邦楽(←あらいやだぁおばちゃんみたいだわぁ〜)は、はっきりと耳に入ってくるのに脈絡なくて気持ちが乗らない歌詞がちょっと……というのがじつは上記「なんとなく」の一理由だったけれど、そんなものを吹っ飛ばしてくれた一枚。キャッチーなメロディとところどころで鮮烈な印象を立ち昇らせる歌詞が全体に小気味良い。

NyxSeules Au Bout De 23sakanaction (通常盤)

サツキ&アズマ(Small Circle of Friends)

1,MNDSGN : YAWN ZEN
■ニュージャージー出身。KnxwledgeやDevonwho、SuziAnalogue等と共にビートメイカー集団(?)「KlipMode」のメンバーとして4,5年前からネット上で目撃していました。いくつかの作品をBandCampやカセットテープでリリース後、LAのビートシーン周辺にてBoilerRoomのソフィーさん達と交流を持ちながら、2014年StoneThrowからアルバム『YawnZen』をリリース。程よいサイケデリック感、飄々とした軽さ、自身の柔らかいボーカル等、全てが「丁度良い案配」。同時期にLeavingRecordsからリリースしたカセットテープ 『SURFACE OUTTAKES』と共に今年のハイライト。 彼自身のルーツも、非常に興味深いお話が…。なかなか魅力が尽きることはありません。
http://mndsgn.biz/ https://www.stonesthrow.com/mndsgn
http://youtu.be/h_ZKRFxxFU0
2,TEEBS : E s t a r a
■音楽家、そして画家でもあるTeebs。2014年の3月に東京恵比寿のKATAでもteebs展が開催されていました。同時期、アルバム『E s t a r a』をリリース。jontiやJaga JazzistのLars Horntvethを迎え、今までより濃密な趣きだけど、最終的には完全なる「Teebs印の音」になっています。前作の『collection1』がここ数年、私たちのオールタイムフェイバリット。それと合わせてこれから暫くTeebs流ウォール・オヴ・サウンドに浸っていられそうです。街を歩きながらTEEBSを聴くと、景色が変わります。
http://mtendereteebs.com/
https://twitter.com/teebsio
3,HOMEBOY SANDMAN : HALLWAYS
■けっこうなハイペースでリリースしている気がする、HomeboySandman。歌詞のテーマやトピックから、ずいぶんシニカルな内容のよう?だけどその辺は英語辞書片手にじっくり読み込みたいなと思っています。といってもかなりわかりやすい英語。丁寧に、はっきりと言葉を繋いでいく様はさすが元高校教師だからでしょうか?このアルバムでは『Problems』が、Knxwledgeのビートとの相性も抜群で白眉。そういえば今年はあまりRapを聴かなかったな。
http://www.stonesthrow.com/homeboysandman
http://www.stonesthrow.com/news/2014/09/homeboy-sandman-problems-video
4, Small Circle of Friends / STUDIO75 MUSICAÄNOSSA : Lovely Day EP
■僭越ながら、おまけ。私たちスモール・サークル・オブ・フレンズの最新10thアルバム『Superstar』、そしてスモール・サークル・オブ・フレンズの別名義であるスタジオ75の『Land of Eardrum』 より、フロアユース〜ハイライトとなる人気楽曲を、渋谷Bar Music店主としても知られるDJ/選曲家・中村智昭によるレーベル、ムジカノッサ・グリプスが初の12インチ・アナログ化でリリースしました。STUDIO75『Land of Eardrum』をリリース後、結果10枚目のSmall Circle of Friendsアルバム『Superstar』リリース。その後2曲をアナログカット、そして2014年に12インチアナログで、Small Circle of FriendsとSTUDIO75をスプリットで発売するという、自分たちにとっても反芻する2014年節目のよなリリースでした。 2015年、11枚目のリリースが見えてきたかも。
http://www.scof75.com/superstar/index.html
http://www.scof75.com/musicaanossa/index.html
PROFILE:サツキとアズマの二人組。1993年、福岡にてスタート。1998年より拠点を東京に移し、Small Circle of Friends として10枚のアルバムをリリース。2014年10月08日、 ムジカノッサ・グリプス(選曲・監修:中村智昭 from Bar Music)より12インチ・アナログ『Lovely Day EP』をリリース。2014年「スモサの75」と題し、デジタル配信やCD、アナログをリリース。2015年には通算11枚目のアルバムリリース予定!

Yawn ZenE s t a r a [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC412)MUSICAANOSSA: Lovely Day EP [Analog]

わたなべまさのり(ビー・アンクール・ドットコム株式会社)

1. KATE BUSH / Before The Dawn
■アルバムではなくライブショーですみません。今年はコレで他全てが吹っ飛んだ感じもします。物珍しさではなくパフォーマンスの質でです。音楽面だけでも申し分ないパフォーマンスに多ジャンル舞台/ヴィジュアル芸術が合わさって。体験できたのは幸運としか言い様がありません。面白かったのは彼女には今日多くのセレブが利用している(「利用されている」と言うべきでしょうか)誇大プロモキャンペーンは必要無いし、一流のアートとしての音楽にそんなモノ必要ない、ということがハッキリ表れたことです。
2. ANGE / Emile Jacotey Re´surrection
■「お約束」過ぎますが無理していませんので(苦笑)。リメイクは大抵の場合難しく、結果的に私の評価は低くなりがちです。オリジナルの再現を求めるなら本作はベストな筈がありません。しかしここで聴ける演奏はANGEが「第二世代」になった後にライブで演奏したアレンジの方に明らかに近い傾向があり、それらや新曲の雰囲気/演奏内容が合わさって、現ANGEらしさいっぱいの充実感があります。確かめ切れてないかもしれませんが、本作発表後のライブでは本作全曲演奏してる様なので(それとも「殆ど」? 全曲アルバム通りの曲順でという情報もあります)、その点も得点高いです。
3. VANGELIS / Arrival”, “Philae’s Journey”, “Rosetta’s Waltz”
またアルバムではなくすみません。しかも曲の途中でファイドアウトしている様にも聞こえて。将来正式リリース予定の様ですが何が理由で中止になるかわからないので今のうちに。European Space Agencyの公式Youtubeに聴き覚えのないこの3曲が突如登場してブッ飛んで、音楽聴いてまたブッ飛びました。
■2014年は音楽ストリーミングサービスや音楽ダウンロード販売やライブのオーガナイゼイション等、音楽の様々な現場で物議をかもす出来事がいろいろ起こった面白い年だったと思います。他の人々と同じ様にやってくれないとイヤという声は世界どこにでもあるなぁという印象を受けましたが、いろんな事が変化していってる昨今、もっといい「やり方」を模索しようとする人が出てきて「やり方」が多様化するのはむしろ自然かと思います。そういう出来事がもっと増えてテンプレートみたいなものが無くなるともっと面白いと思います。
PROFILE:今年もこの企画にお誘いいただいたことに驚いております。私はフランスと強い繋がりがあるわけではありませんので、それに沿った内容になりますので。いいと思えば何でも聴く/推す独立系コンサートプロモーターです。

Emile Jacotey RésurrectionEmile Jacotey

粕谷祐己(世界音楽研究家)

Maïa Barouh : Kodama
■「ワールドミュージックとはそのミュージシャンがどこから来たかを想起させるサウンドトラック」(Idan Raichel)ということなら:マイア・バルー : Kodama. 「ワールドミュージック」を華々しく始めたプロデューサー Martin Messonnier が、遅れて来た「日本のワールドミュージック」マイアちゃんを静かにサポート。アカペラに近い Amami (奄美)がベスト。
Zaz : Paris
■「ピアフの再来」がレトロ・ファンの期待にこたえた形なのに全然臭くないのが、マヌーシュ風、ビッグバンド風、テイク6風、ゴスペル風と疾走するザズさんの巧さ。
David Guetta : Listen 
■世界一のDJの出すこの音が「フランス」なのは、パリが世界の文化中心としてパワーを持ち続けているからこそ。これも一級の「ワールドミュージック」。
PROFILE:粕谷祐己(または雄一。かすや・ゆういち)。フランスの作家スタンダールの研究から始めて世界文学をかいま見、アルジェリア・ポップ「ライ」から始めて世界音楽を渉猟する金沢大学国際学類教員。大学院でご一緒に「ワールドミュージック」研究しませんか?
http://blog.goo.ne.jp/raidaisuki

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exquise(@kabcat FBNライター)

1  James Blake “Retrograde”
■ジェイムズ・ブレイクのファースト・アルバムを聴いたときは、「ちょっと変わったエレクトロニカをやっている内向的な青年」というイメージぐらいだったのだけれど、昨年出たセカンド・アルバムのこの曲は、当時の自分の精神状態にはまったのか、ずんと胸に沁みて春頃よく聴いていた。終末的なイメージのPVも印象的。
https://www.youtube.com/watch?v=6p6PcFFUm5I
 2  Arcade Fire “Afterlife”
■“Retrograde”でロウテンションになる一方で、同時期によく聴いて逆に気分をアップさせていた曲。特にスパイク・ジョーンズが監督した Youtube Music Awards のライブ映像が好きで、この唐突に踊り出す女性を観て元気をもらっていたものだ(歌詞自体は暗いのだけれど)。Arcade Fire はカナダ・ケベック出身のバンドで、曲によっては、ハイチ出身のメンバー、レジーヌの美しいフランス語が聞けるものもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=tBTTd0gfkn0
 3 Foster the People “Pseudologia Fantastica”
■ファースト・アルバムが大好きだった彼ら。セカンドでは弾けっぷりが抑えられたものの、そのポップ・センスに磨きがかかり、完成度がさらに高くなったように思う。細部の小さな音に至るまで、なぜこうもこちらのツボを突いてくれるのか、嬉しくなるくらい。宮崎駿の悪夢のようなアニメPVも妙に記憶に残る。
https://www.youtube.com/watch?v=5-mTcFGiVzw

OvergrownReflektorSupermodel

 bird dog(FBNライター)

大滝詠一『EACH TIME』
■昨年末の大滝詠一の急逝はショックでした。僕が初めて意識して聞いた音楽は、小学生の頃、兄の部屋から流れてきた「カナリア諸島にて」だったからです。以後、高校生頃までには、70年代の『CMスペシャル』や『多羅尾伴内楽団』を含め、ほぼ全曲を聴いていましたし、毎年正月の山下達郎との「新春放談」も楽しみにしていました。死後に出た『EACH TIME』は、生前最後のフルアルバムの30周年デジタル・リマスター版。オリジナル版とは曲順が異なっていて、新鮮でした。アレンジの隅々にまで典拠がある、引用の織物としての音楽を作り上げた大滝詠一のポップスは、美しいだけでなく、知的で諧謔にあふれ、聞き飽きることがありません。
 『You Baby : Words and music by P. F. Sloan & Steve Barri』
■ソフトロック・ファンには、“P. F. Sloan”といえば、The Associationが歌う名曲の題名として知られているかもしれません。僕にとっては、このソングライターチームは、中学生の頃に初めて聞いたJohnny Riversの“Secret Agent Man”の作者として、懐かしいです。本作品集は、大滝詠一の「ハートじかけのオレンジ」の元ネタがあったり、忌野清志郎&佐野元春がライブで日本語カバーした「明日なき世界」の原曲があったりと、今まで聞いていた音楽といろんなところで繋がって、面白かったです。
 小沢健二『我ら、時』
■数年前から、小沢健二が活動を再開し、日本各地で90年代のヒット曲を歌うコンサートを開催していますが、その音源がようやく普及版CDとして出ました。歌の音程は相変わらず不安定、違う会場の音源の繋ぎ方にも問題がありますが、それを補って余りある名曲の数々。僕の青春を最も深く彩った音楽だけに、歌詞が差し替えられている箇所などは、若干複雑な思いがあります。「愛し愛されて生きるのさ」の間奏コーラス “You got to get into love”は「我ら、時を往く」になっています。年齢を重ねた小沢健二の実感なのでしょう。確かに、「愛し愛されて生きる」ということは、ともに時を過ごすことにほかなりません。「この街の大衆音楽の一部であることを誇りに思います」という本人のMCが、活動再開の理由を明瞭に語っています。
(bird dog)

EACH TIME 30th Anniversary EditionYou Baby - Words & Music By P.F. Sloan And Steve Barri我ら、時 通常版

GOYAAKOD(FBNライター)

Jack + Eliza “No Secrets”
■名前の通り、男女デュオ。高校時代のバンド仲間だった、ニューヨークの現役大学生の二人の初めてのアルバム。どこに惹かれたかと問われると即答できないのもなさけないのですが、シンプルなセッティングでひなびた感じの60年代ポップソング調のメロディを歌う二人の声のあんばいが何とも心地よい。別に声そのものが麗しいとか、美しくハモっているとか、そういうことではないのですよ。ただ、二人が何気に声をあわせて歌ってみて、いいよね!と思った気持ちが、他人の私にも十分わかります。
 https://www.youtube.com/watch?v=Zv_CH8t–KQ
Amaury Vassili “Chante Mike Brant”
■おしゃれさとか、フランスっぽさとか、こうでないとフランスの音楽じゃない、という見えない枠がどこかにあって、その枠にフィットするかしないかで、CD屋さんのフランス音楽の棚が作られているような気がするのですが、それだけじゃないはずですよねフランス産の音楽って。そんな疑念に答えてくれたのが、このアルバム。イスラエル出身、70年代のスターで自死したシンガー・ソングライターの作品のカバーアルバムです。日本でも歌謡ポップソングとしてヒットした曲が2曲含まれていて、当時気負いなく輸入されていた普通のフランス映画で使われていたような音楽がつまっています。クラシックのテノール歌手のアルバム、として製作されたのもよかったかと。
https://www.youtube.com/watch?v=vlRYNtQvGKI
■音楽を囲む環境の激変に全くついていけていない(聴きたいと思った新しい音楽がダウンロードかアナログレコードの2者択一でしか手に入らないとわかったことの衝撃といったら!)

No Wonders [Analog]Chante Mike Brant



posted date: 2014/Dec/22 / category: 音楽
cyberbloom

当サイト の管理人。大学でフランス語を教えています。
FRENCH BLOOM NET を始めたのは2004年。映画、音楽、教育、生活、etc・・・ 様々なジャンルでフランス情報を発信しています。

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