フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

5月の音楽 “Broken” Tift Merritt “Another Country”(2008)より

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 すっかりすりきれてしまった。どこか遠くへいって静かに過ごしたい・・・。 そんな無理な願いにふっと捕われたことはありませんか?そうは言ってもね、 と肩そびやかして吹き消す願いを実現してしまったのが、今回ご紹介する Tift Merritt 嬢。  発表したアルバムがグラミー賞にノミネートされるなど一躍脚光を浴び、売り出し中の期待のアーティストとして、プロモーションやらライブにアメリカ国内はもちろん国外へも、旅から旅へ渡り歩く日々。一緒に移動するスーツケース同様くたびれ果てて、わけがわからなくなって、彼女は決断します。いろんなことを放り出して、とにかくパリに行こう。しばらく戻らないつもりで。

 フランス語に不自由しない身では全くなく、むこうに助けてくれる友達がたくさんいるわけでもない。辞書とギターを抱え、部屋を貸してくれる見知らぬパリジェンヌのアパートにとりあえず転がり込んだ彼女を待っていたのは、思いがけない自由な暮らしでした。  苦情が来るくらいピアノを弾いて、あきれるほど物を書いて。観光客が息をひそめそぞろ歩く教会で、ホームレスの人々と一緒に腰をかけ、ステンドグラスから溢れる光と静寂を楽しむ。フランス語の Swear words を覚え、辞書を片手にぽつぽつと会話をつなぎ、ご近所さんに挨拶する。何気ないことの積み重ねが、ぺちゃんこだった彼女を充たしていきます。  フランスでの暮らしは、歌の種も育んでいました。帰国後新しいレーベルから発表したのが ”Another Country”。フランス語の自作曲を含む収録曲はどれも肩の力が抜けています。基本の音はアメリカならではのロックで、彼女らしさはちっとも変わらないのですが、アルバムジャケットの写真がそうなように、なんとものびやかで、アメリカを感じません。フォアグラの看板や小さなワインの店のある界隈で彼女が満喫した自由をお裾分けした気分になります。  とりわけきもちよく鳴る一曲を選びました。たたずまいがあるのにどこかはにかんだような表情も見せるTift Merrittの声に、こちらもほほえんでしまいます。 こちらで聴くことができます。

www.youtube.com/watch?v=jE5S7dVpXC8

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GOYAAKOD=Get Off Your Ass And Knock On Doors.

大阪市内のオフィスで働く勤め人。アメリカの雑誌を読むのが趣味。 門外漢の気楽な立場から、フランスやフランス文化について見知った事、思うことなどをお届けします。