フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

あまりフランスっぽくない二人組 -ダフト・パンクがグラミー賞を制覇

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4 枚目のアルバム「Random Access Memories」の世界的な成功のあと、ダフト・パンクに欠けていた唯一のもの。それはグラミー賞の最優秀レコード賞とアルバム賞という主要部門で認められることだ。結果的にダフト・パンクは5つのグラミー賞をかっさらった。フランスのグループとしては前代未聞の快挙だ。ポール・マッカートニーもオノ・ヨーコも、会場のステイプルズ・センターにいる人々は、みんなが立ち上がって踊った。経済の低迷だの、オランド大統領の愛人問題だの、ちょうどフランスに対するバッシングがひどくなっている時期でもあった。フランコフォニー相のヤミア・ベンギギはこの成功に飛びつき、彼らを「メイド・イン・フランス」の誇りとして仕立てあげた。ジャンマルク・エロ―首相はツィッターで「フランスはあたなたちを誇りに思う」と歓迎の意を表した。またグラミー賞のセレモニーで、ファレル・ウイリアムスはマスクをつけて何もしゃべらない彼らを代弁しながら、「フランス人は彼らのことを誇りに思うべきだ」と発言した。

Random Access Memoriesフランスの新しい世代は、別の文化からもたらされたロック、ポップ、ヒップホップの要素を統合するツールを得た。エールと並んで、ダフト・パンクはフレンチ・タッチの先鋭となり、アングロサクソンのリスナーたちを魅了した。1997年にハウスとテクノにインスパイアされた “Homework” を発表。アルバムに入っている ’Around the world’ のヒットで国際的な知名度を得た。そしてファレル・ウイリアムスと共演したシングル ’Get Lucky’ は2013年の世界的なヒット曲になった。アルバムはナイル・ロジャースやジュリアン・カサブランカスと一緒に本格的なスタジオで録音された最初のアルバムになり、約300万枚を売り上げた。

問題は、ダフト・パンクのメンバーがパリで育ち、イブ・サンローランを着ていたとしても、彼らは今ロサンジェルスで一年の大半を過ごしていることだ。この二人組はフランスからの報酬を拒否し、いつもフランスの国境から遠い場所で活躍してきたのだから。彼らのレコード会社は日本のソニーの系列のアメリカの子会社だ。彼らは英語で歌わせる。そして ’Get Lucky’ のスターたち、ファレル・ウイリアムスとナイル・ロジャースはアメリカ人だ。彼らのマスクですら「ハリウッド製」だ。ダフトは長い間フランスのグループたちとは違った場所で活動してきた。

彼らは最初からマーケッティングを彼らの創造的なプロセスに組み込んでいた。それは希少性と神秘性と言うシンプルな考えだ。ダフト・パンクは決して顔をさらすことがなく、テレビにもほとんど出演しなかった。今回のグラミー賞に出演したのは6年ぶりのことだ。彼らが現れるときは事件になり、彼らのロボットのマスクはすぐにそれとわかるブランドとなった。彼らはスーパースターになっても、そのうまいやりかたのおかげで、普通の生活を送り続けることができるのだ。

フランスにだってグラミー賞に相当する賞がある。それはレ・ヴィクトワール・ド・ラ・ミュージック Les victoires de la musique だ。数週間前、ノミネートされたミュージシャンたちのリストが発表されたとき、主催者側はノミネートされたダフト・パンクが受賞を拒否したことを明らかにした。グラミー賞を受賞したあと、主催者はあきらめきれずにセレモニーに出てくれないかともう一度頼んでいる。「レ・ヴィクトワールは終わっている。みんな飽き飽きしている。彼らが本当にフランスを外国に紹介する気があるんだか」とダフト・パンクの元マネージャーは言う。

去年の5月にパリ・マッチのインタビューで、ダフト・パンクのメンバーのひとり、トマ・バンガルテルは、彼らのうまくコントロールされたマーケッティングについて、インタビュアが彼を責めるような調子にいら立って、フランスについて少ししか話さなかった。「あなたが暗に僕たちがレコードを売るために音楽をやっていると思っていることが受け入れられない」。そんなふうに考えることがフランスのエスプリなのか?フランスから有名になった人々に飛びついて、これはフランス産だとアピールする一方で、フランスには常にそういったシニシズムが存在する。

’Get Lucky’ はアメリカの80年代ファンクの黄金期に対するオマージュだ。それはマイケル・ジャクソンの ’Thriller’ の時代でもある。それは「ザ・アーティスト」(ジャン・デュジャンルダン主演、2012年アカデミー賞の5部門で受賞の仏映画)がハリウッドの無声映画へのオマージュであったように、アメリカ人たちは自分たちの音楽史の重要な部分にオマージュを捧げてくれた彼らをグラミー賞で祝い、報いただけなのだ。 以下の記事を参照した。 Daft Punk, un duo frenchy pas très français 29.01.2014 | France24 Par Stéphane JOURDAIN

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