フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

燃えるレッド ―― Rouge ardent / Axelle Red

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アクセル・レッド Axelle Red はフランス語で歌うベルギー人歌手。1968年ハッセルト(オランダ語圏)生まれ。両親の母語はフランス語だが、彼女はまずオランダ語を身につけ(両親が家でフランス語を話すのはケンカの時だけだったそうだ)、のちにテレビ放映された映画(『アンジェリク』シリーズなど)を見てフランス語を習得したという。1993年に出たファーストアルバムがベルギー国内はもとよりフランス、スイスでも大ヒットし、仏語圏ヨーロッパで広く知られる人気歌手となる。その後も少女時代より親しんできたソウルを基調とした音楽性を一貫して追求し、数年に一度のペースでアルバムを発表し続けている。また、ユニセフ親善大使として活動したり、ライヴ8フランスのスポークスパーソンを務めたり、様々な社会問題(麻薬、ドメスティックバイオレンス…)を自作曲で取り上げるなど、chanteuse engagée (社会派歌手)の側面も持つ。2003年のルノー Renaud とのデュエット Manhattan-Kaboul (マンハッタン・カブール。9.11同時多発テロを題材にした反戦ソング)の大ヒットも記憶に新しい。 Rouge Ardent彼女の最初の2枚のアルバム(Sans plus attendre(1993), À Tâtons(1996))は、ほんとうによかった。60年代モータウン/スタックスの匂いのぷんぷんする、好きな音楽をやることの喜びにあふれた素敵なソウルアルバムだった。だが、最初にいいものを作ってしまうとあとが大変だ。ファンの期待も限りなく大きくなる。その後の作品群も決して悪くはないのだが(名曲も数多くある)、とくに今世紀に入ってからは――取り上げるテーマのきまじめさも手伝ってか――少々地味で、内省的で、迷いの感じられるアルバムが続くことになる。前作の Un coeur comme le mien(2011) も、それまでの音楽性を一新し、ギター中心のロックサウンドに乗せて女性が直面する様々な問題を語る野心作だったが、残念ながら音楽の水準はまあ平均点という程度だった。 前置きが長くなった。そんな彼女の最新作 Rouge Ardent (燃えるような赤)が2013年3月に出た。フランスでのチャートアクションは地味だが、ベルギーでは1位を獲得、すでに大ヒットを記録している。あまり期待をしないようにしておそるおそる聴いたのだが、これがとってもいいのである。1曲目の Amour profond (深い愛)の軽快なイントロを耳にした瞬間、ああ、アクセル・レッドはやっぱりこれでなくちゃ、と思った。昔からのファンの積年のもやもや感を一掃するに足る、サザンソウル風の名曲だ。この一曲を聴けただけでも本作には十分価値がある。また、深い悲しみを抑制した調子で歌い流した Sur la route sablée, アルバート・ハモンド Albert Hammond との久しぶりの共作 Ce cœur en or も良い感じ。軽快なギターポップ De Mieux en mieux (前作でも組んだ Stéphan Eicher ステファン・エシェールおよび Christophe Miossec クリストフ・ミオセックとの共作曲)のほとんど破れかぶれの明るさも捨てがたい。歌詞の社会性はうんと後退したが、音楽的には90年代の若々しいアクセル・レッドが帰ってきてくれた感じでじつに喜ばしい。長く聴き続けるアルバムになりそうだ。 ◆Amour profondのスタジオライブ(アルバムの演奏の方が歌もアレンジも数段良いですが) youtu.be/RJsrmQbtp5I ◆ 初期の名曲をふたつ紹介。 Kennedy Boulevard(1990) youtu.be/U06Nb93Y7ro Sensualité(1993) youtu.be/A6xVVXoR9j4 MANCHOT AUBERGINE 人気ブログランキングへ ↑クリックお願いします

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