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ガス・ヴァン・サント『約束の土地』とフランスのシェールガス

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ガス・ヴァン・サントの新しい映画『約束の土地 Promised Land 』は石油会社と、自分たちの土地にあるシェールガス (英 shale gas 仏 gaz de schiste) の開発を拒否するペンシルベニアの農民たちの対立を描いている。シェールガスによってアメリカが最強の資源国になり、世界のエネルギー勢力図が大きく変わると言う記事を日本でもよくみかけるが、環境や人間に与える危険性についての情報はあまり届いてこない。フランスでは4月17日からの一般公開に先んじてフランス全土の130の会場で試写会が行われるが、この映画によってフランスの次世代エネルギーの議論が再びを盛り上りを見せている。

バラ色の未来をもたらすというイメージには逆らえないのか、アメリカではガス・ヴァン・サントの『約束の土地』にはあまり客が入らず、批評もあいまいなものばかりだったという。「シェールガス革命」を遂行するためには多少のことには目をつぶれという空気が支配的なのだろうか。 シェールガスは頁岩層に含まれているガス。主成分はメタンだが、従来のガス田とは異なる場所にあるため、「非在来型天然ガス」と呼ばれる。21世紀に入り、硬い岩盤に高圧の水や化学薬品を注入し、人工的につくった割れ目からガスを取り出す「水圧破砕法 Fracking 」の技術が急速に進み、生産コストも大幅に下がった。

米国では、膨大な量のガス供給への道が開くものと期待される一方で、地下水の汚染リスクが高いと反対の声もあがっている。目立った動きとして、オノ・ヨーコが去年の8月にアメリカのニューヨーク州で進む天然ガスの掘削手法に反対するミュージシャンや芸術家らによる運動「アーティスト・アゲンスト・フラッキング Artists Against Fracking 」を立ち上げている。そこにはショーン・レノン、ポール・マッカートニー、レディー・ガガ、ユマ・サーマンらも名を連ねているという。

『約束の土地』をプロデュースし、脚本も共同で書いたマット・デイモンは映画の中で石油会社の営業担当の社員を演じている。彼はペンシルバニアの農民たちが彼らの土地でシェールガスを掘削する権利を認めるように説得する責任を負っている。その地域は経済危機のあおりを受け、大企業が提示する示談金が魅力的な額にもかかわらず、水圧破砕法による掘削に反対するデモを起こす。マット・デイモンは、水圧破砕法について、住民たちと掘削権の譲渡契約を結ぶことを任務とする人々について、徹底的に調査をした。彼らの多くに会い、その中でどうやって住民たちに近づき、何を話したのかが明らかになったという。

もちろん、この映画はシェールガスの是非を問題にしているだけではない。共同体の未来とアイデンティティを左右する大きな問題に直面し、選択を迫られた小さな町の住人たちがどうようにして重大な決断を下したのか見せてくれている。 マット・デイモンはアメリカでの反応が芳しくなったので、ヨーロッパでの議論を期待していたが、ベルリン映画祭の直前に開かれた記者会見で映画祭の最高責任者、ディーター・コスリックが特に重要なテーマを扱っている映画として『約束の土地』を挙げた。

実はアメリカだけでなく、ヨーロッパでも大量の埋蔵が確認されており、フランスではシェールガスの鉱脈がパリからドイツ国境にかけて存在している。これまでロシアにLNGを依存してきたヨーロッパは喉から手が出るほどシェールガスが欲しいだろうが、2011年に水圧破砕法が環境に与える影響が大きいという理由で開発が禁止された。 『約束の土地』のフランスでの反響はどのようなものになるのだろうか。フランスのエコロジー省のデルフィーヌ・バトは「この映画はアメリカにおけるシェールガスの舞台裏、とりわけ石油会社のやり口を雄弁に語っている」と評価している。2011年にすでに『ガスランド Gasland 』というショッキングなドキュメンタリー映画が公開され、試写会ですでに水圧破砕法に対する反対運動を盛り上げることに貢献していた。しかし世界でシェールガスに対する期待が高まり、さらに原子力発電に対して逆風が吹いている中で、「水圧破砕以外の技術が開発されれば」とオランド大統領も軟化し始め、緑の党が警戒しているところだ。

以下の記事を参照

Gaz de schiste : “Promised Land” de Gus Van Sant s’invite dans le débat 17/03/2013 CULTUREBOX

PS:シェールガスを掘削する際に出る大量の排水や薬液が問題視され、フランスなどのEU諸国が開発を禁止しているわけだが、それを日本企業の高度な水処理技術が解決してしまう可能性があるという。「シェールガス革命で世界は激変する」(「東洋経済」2013年1月8日)

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