フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

若者言葉はどこでも同じ?

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先日、最近の新語がニュースで取り上げられていた。「ディスる」(非難する)や「コクる」(告白する)などの造語や、「詰まる」(終わる、ダメになる)などの新用法が紹介されていた。僕自身は使わないものの、だいたいは意味が分かって、ほっとした。若者相手の商売だから、見当もつかないというのは、ちょっと淋しい。

www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014092502000163.html

言うまでもなく、現代フランス語も造語または新用法にあふれている。とくに英語からの借用語は増大の一途をたどっていて、je like (= j’aime)とか、Tu t’enjailles ?(= tu t’amuses ? <enjoyの変形)とか、動詞にも波及している。

ちょうどフランスの本屋で、レジカウンターに置かれていた無料の小冊子を入手したので、それを参照しながら、いくつか紹介してみよう。題して、「それほど若くない人に説明する若者言葉」、著者はAch!lle Talonとなっている。アシール・タロンとは、Greg作によるバンド・デシネの人気シリーズの主人公だ。

www.izneo.com/achille-talon-impetueuses-tribulations-d-langage-jeunes-explique-aux-moins-jeunes–A14324

1 bête:普通は「愚か」を意味するが、若者言葉では「欲しくなる」という意味。日本語の「やばい」に似てる?
用例:Il a un bête de moto !「あいつ、やばい自転車に乗ってるな!」

2 genre:「たとえば」。副詞的に用いる。
用例:T’es foncedé, t’as pris quoi, genre de la weed ?「ラリってんのか、何吸ったんだ、ハッパか何かか?」(foncedéはdéfonceの反転語[verlan])

3 prendre cher:「身体的、心理的に苦しむ」。
用例:Wah j’ai pris trop cher au contrôle, j’me suis fait tricard quand j’ai essayé de tricher !「試験きつすぎた、カンニングしようとしたら、(見つかって)追い出された!」

4 test:何かを理解したり実行したりするのに十分な能力がないこと。
用例:Tu peux pas test, boloss !「おれにかなうと思うな、あほが!」

いやはや、訳が古臭くて申し訳ない。僕は現代日本語に通じていないので、ぴったりくる表現が分からない。それにしても、こういうのを見聞きすると、僕が教え、かつ使っているようなフランス語は、文化的な奥行きを欠いた標準語であることを痛感させられる。それが外国語というものの姿なのだろう。

ただ、新しい表現を創り出す母体が若者である、ということだけは、日本とフランスに共通している。ネットスラングにしても、おそらく40代以上の人間による発案はごく少ないのではないか、という気がする。道具が変わっても、人間の創造性に関する法則に、さほど変化はない。ということは、僕もそろそろ創造性が枯渇する頃か? Ma mère !

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1975 年大阪生まれ。トゥールーズとパリへの留学を経て、現在は金沢在住。 ライター名が示すように、エヴァリー・ブラザーズをはじめとする60年代アメリカンポップスが、音楽体験の原点となっています。そして、やはりライター名が示すように、スヌーピーとウッドストックが好きで、現在刊行中の『ピーナッツ全集』を読み進めるのを楽しみにしています。文学・映画・美術・音楽全般に興味あり。左投げ左打ち。ポジションはレフト。