フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

フランスで無銭乗車をしたら

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初めてフランスに行ったときのこと。シャルル・ド・ゴール空港から RER でパリ市内に入ろうと思ったが、切符売場がすぐに見つからず、うろうろしていたところ、黒人の青年が現れた。彼の行く先を見ていれば分かるかもしれない、と思っていたら、そのまま颯爽と改札口を飛び越えて、ホームへと走り去ってしまった。僕がフランスの鉄道で最初に見たのは、鮮やかなまでの無銭乗車の現場だったことになる。

その後、国鉄の駅に改札口がないことにも驚いた。見送りの人は、日本のように入場券など買わなくても、車内までついて来られる。乗り放題である。さらに驚いたのは、たとえ切符を持っていても、刻印(composter)されていなければ、罰金が発生すると知ったときだ。つまり、改札口はないが、自分の責任で改札しておかなければならないのである。規則の内面化を徹底している、と表現することもできそうだ。

バスは、乗車の際に支払うが、連結バスになると、後部車両から乗って、後部車両から降りる場合、運転手には切符を持っているかどうか、確かめる術がない。そこで、キセル対策としては、抜き打ちで検札するしかない。(ベルリンの郊外列車で私服の検札官二人が突然立ち上がって、キセル客を挟み撃ちにしたときには、なんとなく秘密警察の伝統を感じて厭だったことを思い出す。)

さて、無銭乗車が発覚した場合、客はたいてい言い訳をする。それを逆手に取ったキャンペーンが、オルレアン市交通局で展開中である。題して、“Pas d’excuses à 2 balles !” ここでの balle はかつてのフラン紙幣を意味する俗語で、全体としては「意味のない言い訳無用!」ということになる。

www.larep.fr/loiret/actualite/pays/orleans-metropole/2014/06/29/des-excuses-a-deux-balles_11059101.html

言い訳の例として挙げられているのは、次のとおり。

J’étais au téléphone(電話してたから)
J’avais qu’un arrêt à faire(一駅だけだったから[neを省略])
J’ai perdu mon titre(定期をなくしてしまって)
Je suis en correspondance(乗り換えの途中なので)

どれもありそうな話である。ちなみに、切符なしの乗車が発覚した場合、87.50€ の罰金が課せられるそうだ。Mais je suis japonais ! と叫んでも許してもらえないだろうから、ちゃんと切符は買って、刻印しましょう。ちなみにパリ市交通局の場合は45€ から。身分証明書を見せないと警察を呼ばれてしまう。カード払い Ok。持ち合わせがない、と言って逃げて、請求に知らんぷりを決め込んだ場合は、税務署が180€ を差し押さえてしまう仕組みになっている。

www.tout-paris.org/transports-paris/metro-paris/amendes-ratp

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1975 年大阪生まれ。トゥールーズとパリへの留学を経て、現在は金沢在住。 ライター名が示すように、エヴァリー・ブラザーズをはじめとする60年代アメリカンポップスが、音楽体験の原点となっています。そして、やはりライター名が示すように、スヌーピーとウッドストックが好きで、現在刊行中の『ピーナッツ全集』を読み進めるのを楽しみにしています。文学・映画・美術・音楽全般に興味あり。左投げ左打ち。ポジションはレフト。