フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

ヴィクトル・ユーゴーのガーンジー島の館が大改修の必要に迫られている

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ハリウッド映画『レ・ミゼラブル』の大ヒットのおかげで、フランス北部の街モントルイユ・シュル・メール(Montreuil-sur-Mer)のホテルに宿泊客が2013年早々殺到しました。フランス人作家ヴィクトル・ユーゴー(Victor Hugo)の同タイトルの原作小説(1862年作)において、この街は、悲劇のヒロイン・ファンティーヌの故郷であり、主人公ジャン・ヴァルジャン(Jean Valjean)が市長を務める街として登場したからです。かつて要塞都市だった街は今、過去が生きる遺跡となっており、中世にその歴史をさかのぼる絵画のような街並みは、建造当時からほとんど変わっておらず、ヴィクトル・ユーゴーの世界そのもの。この街並みを生かしてモントルイユでは1996年以降、毎年夏に地元ならではの劇の上演を続けています。

この小説は、映画やミュージカルの原作小説として、非常に度々取り上げられ大ヒットしていますが(私は子供の頃、内容を要約した『ああ無情』も読んだ記憶があるのですが今でも児童書として人気が高いのでしょうか?)、今年2017年はミュージカルの日本初演30周年で、原作が書かれて155年が経つこともあり、来月5月25日から7月17日まで帝国劇場で再び上演されることになりました。9月2日から同月15日までは大阪公演でフェスティバルホールでの上演が決定しています(⇒リンク)。 このように時代を超えて愛され続ける作品の魅力は『『レ・ミゼラブル』の世界』(西永良成/岩波書店)に詳しく解説されています。

『レ・ミゼラブル』の世界 (岩波新書)ヴィクトル・ユゴーと降霊術

ところで、ユゴーは皇帝ナポレオン三世との政治的対立で亡命生活を余儀なくされたのですが、偶然4月16日のFrance2 のニュースで、『レ・ミゼラブル』が書き上げられたユゴーの主な亡命先、イギリス王室属領ガーンジー(フランス語はゲルノゼーと発音する)島で滞在した邸宅が、改築の必要があるということで紹介していました。

フランス沿岸から45キロに位置するガーンジー島に到着したとき、ユゴーは53歳。この地に家族とともに15年滞在することになりました。誇大妄想的な趣味から暖炉の脇の壁に自分の頭文字の V と H をタイルで施してみたり、部屋や寝室を劇場のように装飾を施し、亡命の無聊を託っていたようです。この永きに渡る亡命生活のため、この地で自分が死ぬのではないかと意識せざるを得なかったユゴーは、自分の死のベッドを据えた寝室をチャペルに見立てました。また娘のレオポルディーヌの死以来、死に魅入られていたユゴーは、当時流行っていた降霊術にも凝り、家族とともに卓を囲んで死者たちと対話したそうです。その後、怪奇現象に悩まされたユゴーが頼ったのは愛人ジュリエット・ドゥルエ。彼女は亡命先にもユゴーに付き従って来ており、隣の邸宅に住んで、毎日午後に近くの海岸でユゴーと会っていました。

結局1870年にユゴーはフランスに帰還し、1885年パリで当時としては高齢の83歳で亡くなります。ガーンジー島の6万5000人の住民たちは今もこの偉大なフランス人作家がこの地にいたことを誇りに思っています。しかしユゴーがパリに帰ってから150年後、彼が滞在した館は傷み、修復には200万ユーロが必要です。

この記事は以下の番組を参照した(動画あり)。
Guernesey : sur les pas de Victor Hugo
Les passionnés de Victor Hugo sont appelés à se mobiliser : la maison de son exil, située sur l’île de Guernesey, nécessite d’importants travaux.
Les JT de France 2 -20 Heures
publié le 16/04/2017

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