フランスからグローバリゼーションとオルタナティブを考える新しいフランス学

FRENCH BLOOM NET 年末企画(3) 2014年のベスト本

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第3弾は2014年のベスト本です。FBN のライターの他に、文芸評論家の陣野俊史さん、Small Circle of Friendsのサツキさんに参加していただきました。冬休みの読書の参考になれば幸いです。

陣野俊史(文芸評論家)

①     大辻都『渡りの文学』(法政大学出版局)
②     パトリック・モディアノ『パリ環状通り』(講談社)
③     Lydie Salvayre, Pas pleurer, éd. Seuil
■去年(12月)に刊行されていた①だが、昨年のリストから漏れていたので、挙げます。カリブ海の「フランス語作家」、マリーズ・コンデの諸テクストを丁寧に読みこんで書かれた、マリーズ・コンデ論。特に「語り」の多層性について触れたところが、専門家以外の人にも強く訴えかけるところがある。力作。②は、やっぱり今年はこれについて触れておかないと、という感じ。モディアノの小説、全部を読んでいるわけではないが(告白します……)、初期のものが特に好きだな。ノーベル文学賞を受賞しなければ復刊はなかったと思うので、今年を象徴する本のひとつではないでしょうか。それにしても、モディアノって地味などちらかというと「暗い」作家なのだが、こんな派手な賞を受賞して……。初期の代表作(未訳)が近々、日本語に訳される噂も。③は、今年のゴンクール賞受賞作。じつはまだ読み終えていない。読み終えていないのに、推薦するの? と思われるでしょうね。スペイン内戦で15歳のときに亡命してきた母親の記憶を語る小説、と内容を軽く触れても仕方ないけれど、とにかくスペイン語の記述が多い。フランス語とスペイン語の両方が読めないと本当は味わえない、と思う。で、オレの学力のせいで読み終えていないのだが、この小説の形――多言語が混在する言語態は、おそらく正確に小説の現在を反映しているのではないかと考えます。ぜんぜん別の話だけれど、2014年日本で話題になった横山悠太の『吾輩ハ猫ニナル』も想起させたり……。

渡りの文学: カリブ海のフランス語作家、マリーズ・コンデを読むパリ環状通り 新装版Pas pleurer: Roman

bird dog(FBNライター)

ハンス・ブルーメンベルク『神話の変奏』
■神話とは、人間を取り巻く世界の敵意に対抗するため、命名と物語によって世界を理解可能なものへ変換するための装置である、という命題を、哲学と文学を中心に分析した本です。同じ著者の『世界の読解可能性』は、神学から文学、精神分析から遺伝子学に至るまで、「世界は読み解くことができる」という考え方がどのような変遷をたどったか、その欲求の根源に至るまで検証しています。どちらも独自の「メタファー学」を提唱する大著で、隅々まで理解するのは難しいですが、こういうアプローチもあるのか、と驚嘆しました。
Romain Gary, Les cerfs-volants
■今年生誕100周年をむかえたロマン・ガリが、ガリ名義で発表した最後の小説です。デビュー作同様、ナチスに対するレジスタンスを題材にしています。解放後のフランスでは、ドイツ兵と付き合った女たちは丸刈りにされました。主人公はこれを見て、「ナチズムは真の勝利を得た」と記します。非人間的なことが可能だとしたら、結局それは人間性の一部ではないか、というガリの問いは、今なお考えなければならないと思います。
■大学院の授業で、アフォリズムを集めて読んでみました。アフォリズムの文体は論理的で非人称的、つまり普遍性を志向する傾向がありますが、みなさんは以下の引用をどう読みますか。「今まで全く為されなかったことが、今まで全く試みられなかった仕方によらないで、為されうると考えるとしたら、それはおかしな自己矛盾したことだろう。」(フランシス・ベーコン)「相手を信じなければ、相手に騙されても、騙されたことが正しいことになる。」(ラ・ロシュフーコー)「外国語を知らない者は、自分の国語について何も知らない」(ゲーテ)「絶対に、全く外国語を知らない詩人は、いつでも母国語の詩人として、天才的にすぐれた言語を所有している。」(萩原朔太郎)「軍人は小児に近いものである。」(芥川龍之介)「言葉少なく、しかし巧く言うのがいい。」(コズマ・プルトコフ)

神話の変奏 (叢書・ウニベルシタス)Cerfs Volants Gary (Folio)ラ・ロシュフコー箴言集 (岩波文庫 赤510-1)

 不知火検校(FBNライター)

1.渡辺守章訳『マラルメ詩集』(岩波文庫)
長いあいだ改訳が期待されていた岩波文庫の『マラルメ詩集』ですが、遂に新しい訳が登場しました。訳者は50年以上に亘りマラルメ、クローデル研究を続けて来た仏文学界の泰斗であり、演出家としての活動はいまだ現役。京都の大学に付属する劇場で数年に亘って『半獣神の午後』や「エロディアード」を上演してきた成果がこの訳書には凝縮されて表現されています。600頁の大著で文庫としては高価ですが、値段以上の価値があると断言できます。
2.蓮実重彦『「ボヴァリー夫人」論』(中央公論社)
これもまた電話帳並みの厚さで850頁の大著。多くの人が「絶対に刊行されない」と思っていたにも関わらず、その予想を見事に裏切り堂々の刊行に至りました。著者ならではの鮮やかな読解が随所に冴えわたっていることは言うまでもありませんが、このような出版不況の時代に、しかも需要がほとんどないフランス文学の研究書を「読書界の話題の一書」として提示してしまう、著者の演出力・プロデュース力には脱帽せざるを得ません。
3.安藤礼二『折口信夫』(講談社)
著者はすでに『神々の闘争―折口信夫論』を上梓している折口研究の専門家であり、鋭利な批評家として活躍を続けている方。その彼がまたしても浩瀚な(500頁超)折口論を世に問いました。2014年は雑誌『現代思想』でも特集が数年ぶりに組まれるなど、折口再評価の機運が非常に高まっています。柳田國男と共に今後も読まれ続けるだろうこの作家・民俗学者を理解するうえで、安藤氏の著書は一つの指針となると思われます。

マラルメ詩集 (岩波文庫)「ボヴァリー夫人」論 (単行本)折口信夫

GOYAAKOD(FBNライター)

『道頓堀の雨に別れて以来なり―川柳作家・岸本水府とその時代』田辺 聖子(中央公論文庫)
■近代川柳の巨匠、岸本水府の評伝、なのですがいわゆる文学者の評伝と決定的に違うのは、ある才能の人生と仕事、その周辺で終わってしまうのではなく、その人と作品を作った「人の世」そのものをまるまる描ききっていることです。「新しい文学表現」として立ち上がろうとしていた川柳(ちまたにあふれている○○川柳とは全く別モンです!)に出会い、人生をかけることになる大阪の一青年を通して読者が出会うのは、川柳というもののエッセンスと魅力(選りすぐりの秀句がちりばめられています)、川柳を道づれに様々な立場、運命を精一杯生きた人々の群とその情熱、人々を呑み込む時代の変転。そんないくつもの流れがひとつの大きなうねりとなってできたのがこの本です。すぐれた文学とは、人生の、時代の浮き沈みとは離れた輝きを放つもの。でもそれはいろいろある人の営みからこそ生まれてくるもの―そのややこしさを、愛情と敬意のにじむみずみずしい筆で描き切っています。これぞ本、と呼びたい一冊です。
『眠りなき狙撃者』ジャン—パトリック・マンシェット(河出書房文庫)
■簡潔、酷薄、そして一匙のユーモア。この薄いフレンチ・ノアールの本は、読者を緊張のあまり疲れさせてくれます。一筆書きのような描写も魅力的(単に短く上手にまとめただけでなく、少し意地悪なところもあるのです)。女達の捉え方は特に。ちょっと好色なところもがあっていいんです。映画化されるそうですが、原作のスピード感を維持できるのか?ぶ厚くて高いアメリカ製の作品こそノアールと思っている方、驚きますよ。
『あとかたの街』(講談社 KCデラックス BE LOVE)
■銃後の生活に真正面から向き合った、女性の書き手による初めてのマンガではないでしょうか。戦時下といえど現在の私たちと変わらない浮き沈みのある生活と家族関係があったことを、少女マンガだからこそできる繊細さと細部の積み重ねで丹念に描いています。作者のご母堂の体験が基になっているそうですが、年齢を重ねた世代が手がけたからこそ、偏りのない奥行きのある作品になっているのかもしれません。少し懐かしいタッチの絵に救われます。まだ進行中の作品ですが、名古屋弁が愛らしい主人公の少女を待ち受ける過酷な史実がどう描かれるのかと思うと、複雑な気持ちになります。

道頓堀の雨に別れて以来なり―川柳作家・岸本水府とその時代〈上〉 (中公文庫)眠りなき狙撃者 (河出文庫)あとかたの街(1) (KCデラックス BE LOVE)

サツキ(Small Circle of Friends)

1, 佐久間裕美子さん著 『ヒップな生活革命』
NY在住ライター佐久間さんを知ったのは偶然「PERISCOPE」のサイトに出会いまだ立ち上げ間もない頃。佐久間さんの書き口と取り上げるコト、モノそしてwebという手法ながら、生身のアメリカをダイレクトに感じる小気味好いweb magazinでした。それから数年後、日本語版iPadアプリ「PERISCOPE」のローンチ記念で原宿Vacantでのトークショーで初対面。すっぱりとした物言いと、brightな脳にさらにfanに。そして今年夏発売された本書『ヒップな生活革命』。ここ数年の間に見聞きしていたアメリカに関する様々な事。リーマン・ショック。デトロイトの荒廃ぶり。コーヒーのサード・ウェーヴ。キンフォーク。また音楽に特化すればレコード盤を通り越してのカセットテープ・リリース。そんなアメリカで起こっている波を、netや情報サイトで知っても、自分にとってそれはあくまでキーワードです。現在のアメリカに、どんな意味と道筋があるのかなんて理解しないまま、情報を見聞きしていたりヴィジビリティばかりを感じていた今年『ヒップな生活革命』で、腑に落ちる言葉を読みました。感じていたそれらを冷静に、シニカル過ぎず、時に情熱を持って書かれています。本書を読んで、なるほどと納得したり、これは実際にアメリカで体感しなければ理解できない事だな、と思ったり…。佐久間さんのアクティブ且つ、NY在住ライターとしての才が、総じてエンターテインメントとしてするすると読めます。佐久間さんに直接「どうすればiPadで読めますか」などと宣う私に、丁寧に『「Kindle」はアプリがありますよー。』と快く教えていただく…。「何年netと関わってるんだ、ググれよ!」と自分に思ったコトは言うまでもありません。因みに結果これが電子書籍初体験本となりました。
www.yumikosakuma.com/
wearetheperiscope.com/
2, 沖 潤子 『PUNK』
■今や世界中から注目されている、刺繍アーティスト沖さんの最新作品集。刺繍や刺し子の手法、絵を描くように針を刺していくことが根底にあるとしても、想像など遥かに超える布の世界観は、観る度ダイレクトに脳をつかまれたような気持ちになります。本書「PUNK」は沖潤子さん自ら撮影した、4000枚もの膨大な写真の中から厳選された作品の写真イメージが、オールカラーで収録。40歳から作品作りを始めたこと、当初娘さんが亡き母の残した昔のリバティをざくざく切って刺繍したモノに衝撃を受け、脳がリチェンジしたこと、「PUNK」という言葉を知ったのも50を過ぎた今ということ。どこをどう切っても沖さんという人に会いたいとさえ思ったこの「PUNK」という作品。「本体の背を糸かがりにしたコデックス装のソフトカヴァー。 美しい箔押しをほどこした函入り」今の時代にあって、見事な装丁はまたひとつ「沖 潤子」の作品として残るレコードになり、これから先の作品がさらに楽しみになりました。前作の自費で出版された「poesy」はもはや幻となってすでに手に入らない様子…。あー買っとけばよかった。
woky-shoten.cocolog-nifty.com/
PROFILEサツキとアズマの二人組。1993年、福岡にてスタート。1998年より拠点を東京に移し、 Small Circle of Friends として10枚のアルバムをリリース。2014年10月08日、 ムジカノッサ・グリプス(選曲・監修:中村智昭 from Bar Music)より12インチ・アナログ『Lovely Day EP』をリリース。2014年「スモサの75」と題し、デジタル配信やCD、アナログをリリース。2015年には通算11枚目のアルバムリリース予定!
www.scof75.com

ヒップな生活革命 (ideaink 〈アイデアインク〉)PUNK

 superlight(FBNライター)

『平成海防論—膨張する中国に直面する日本』(2014年、文春文庫)
『知の武装 救国のインテリジェンス』(2013年、新潮新書)
■3人のジャーナリストと作家を紹介させていただきます。富坂聰さん、佐藤優さん、手嶋龍一さんです。3人に共通するのはインテリジェンスの分野で活躍していること。「インテリジェンス」とは膨大な情報の中から、とある目的を達成するためにその情報の必要性、重要性、信頼性の裏打ちの下に解釈された「戦略的知識」とでもいえましょうか。…、とこう書くと、「インテリジェンスってのは相手を騙す技法なんかい?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。3名の著作を読んで感じるのはインテリジェンスには「相手も自分と同じ人間であることを知れ」という不文律があるように思われます。とくに佐藤優さんにはその傾向が強いと思われますが、相手(ロシア人)とくんずほぐれつ文字通り殴り合いの喧嘩もしつつ、最終的には自分も満足しながらロシア人と握手する方策を得ようとする姿はけっこう迫力があります。インテリジェンスの本質とは相手の懐に入っていき、相手の趣味趣向を知り、それと自分が折り合える環境をいかに築くのかといういい方もできると思います。自己主張が苦手といわれる日本人にとって(騙せないうえに騙される)、この分野はもっと注目されてほしいなと思っています。
■まず富坂聰さん。庶民生活から政治、経済に至るまで、網羅的に中国情勢を分析するジャーナリストの一人です。今回紹介するのは『平成海防論—膨張する中国に直面する日本』(文春文庫 2014年)です。2009年に出版された単行本の文庫版ですが「第六章 中国海警局 その戦略的意味」が書下ろしで加わってますので、文庫版のほうが断然お得です。尖閣諸島領有権問題、東シナ海ガス田問題といったモロに日中間の懸案事項になっている話題のほか、「シーシェパード」による反捕鯨運動、ソマリア沖の海賊問題、北朝鮮不審船問題など、「海」にまつわる日本の課題を一冊の本でコンパクトに勉強できます。
■ついで佐藤優さん&手嶋龍一さん。お二人の対談本『知の武装 救国のインテリジェンス』紹介します。東京五輪決定までの裏話、北朝鮮拉致問題についての日朝間の水面下でのやりとり、CIA元職員エドワード・スノーデンをめぐる米ロの思惑など、マスコミ報道だけでは掘り下げることのできないホットな世界情勢の裏側が描かれています。なかでも、シリア情勢をめぐって対米関係をどのようにすればいいのかと右往左往していただけの日本側の動きを「安倍はギリギリまでアメリカのオバマに抵抗した。しかし、これ以上ここに長居をすると、オバマ政権に詰め寄られ、シリア攻撃を支持させられてしまうかもしれない。安倍は逃げるが勝ちと考えて、早めにG20を立ち去ったのだ(とプーチンは考えた。同署p23)」と分析していますが、これをみるに外交ってのはほんとうに厄介なんだなとつくづく実感します。

平成海防論 膨張する中国に直面する日本 (文春文庫)知の武装: 救国のインテリジェンス (新潮新書 551)

cyberbloom(FBN管理人)

1. 東浩紀『弱いつながり 検索ワードを探す旅』
ネットで培われた人間関係や同業者の人間関係がサロン化し、代わり映えしなくなるのは、わたしたちは反復によって環境を強化し、それを肯定するために言葉を連ねるからだ。ノイズに耳をふさぎ、心地よく聞こえることだけを聞く。それによって「強い絆」がさらに強化されていく。「終わりなき日常」はそういう退屈な日常のことなのだ。わたしたちが思いつくこと、欲望することは、大抵環境から予測可能で、私たちは現実から予想されるパラメーターにすぎない。ちょうどアマゾンがおすすめ本を探してくれるように。それは一見便利だが、統計的な最適化の罠にからめとられ、そこから出られなくなるのだ。自分を変えるためには環境を変えるしかない。移動するしかない。それは新しい検索ワードを探すことでもある。日本語で検索をやめるだけで風景は一変する(例えばフランス語!)。外国語で検索することは、異なった言語文化体系の旅であり、同時に外国人の立場に身をおいて日本を考えることにつながる。
2.藤野敦子『不思議フランス』
経済学者である著者は、統計を駆使してフランスの多様な側面を描き出すが、私がなるほどと思った重要な指摘は次の2点である。フランスでは非正規雇用あるいは失業中の男性が家庭を持つ場合、多くの子供を持ちたがる。それは子供が多いほど手当が手厚いからである。低所得や大家族志向のカップルが実際に多くの子供を持てば、家族手合によって所得配分が行われ、結果的に社会の所得格差が縮小される。出生率の安定と所得再配分が同時に達成されるシステムになっているのだ。また、性交渉はカップルの重要なコミュニケーションであり、家庭を共同で運営しているという実感を何よりも高めてくれる。しかし日本のように仕事と家庭という分業体制が敷かれていると、ふたりが日常的に同じ場所と時間を共有できず、愛情を育めないし、心も離れてしまう。この当たり前のことが日本において子供を作ることの最大の障壁になってきた。フランスが証明しているように「生殖目的ではない性交渉が逆説的に出生率を上げる」ことを肝に銘じよう。
3.浅野素女著『同性婚、あなたは賛成?反対?-フランスのメディアから考える』
 『フランス家族事情』『フランス父親事情』など、浅野素女氏は フランスの家族の現状をテーマにした著書で知られるが、本書では「すべての人に開かれた結婚 mariage pour tous」をめぐる議論がフランスを分断するまでに至った背景を、保守・革新・中道を問わないフランスのジャーナリズムを丹念に追うことで、解明しようとしている。当時の世論調査では、フランス人の過半数が同性婚を支持しているが、同性愛者カップルによる養子縁組の権利については、反対派がわずかながら半数を上回っていたことが繰り返し示されていた。ここに問題の核心があるのだろう。つまり少数派の権利要求に反対したというよりも、最低限の社会規範が覆されることに抵抗を感じたのだった。さらにはパリの左翼サークルの進歩的な議論に全くリアリティを持てない「普通の」フランス人の存在も忘れてはいけない。

弱いつながり 検索ワードを探す旅不思議フランス 魅惑の謎同性婚、あなたは賛成?反対? フランスのメディアから考える

■毎年、ツイ友の宇宙物理学者 @across_the_view さんに理系の1冊を教えていただいているが、今年は宮原ひろ子『地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか: 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来』(DOJIN選書)。
■ところで「週刊フランス情報」で今年紹介した本を拾い出してみると、今年最も話題を呼んだ一冊はやはりトマ・ピケティ『21世紀の資本』でしょう。もしピケティが英語ができなかったら、「格差の拡大は資本主義に内在するメカニズムだ」という、ヨーロッパでは当然のように浸透していた考えが、アメリカに広がることはなかっただろう。このような媒体としての英語の視点は不可欠だし、英語に堪能なフランス人という存在は意外に重要なのだ。またパトリック・モディアノがノーベル文学賞を受賞したことも特筆すべき出来事だが、陣野さんが取り上げて下さっているので、ここでは割愛。
『フランス人は10着しか服を持たない』が本屋で平積みにされているのを見かけたが、売り上げが30万部を突破したという。厳選した10着を徹底的に使い回す能力はあらゆることに通じる究極の能力だというのはわかる気がしますが、この種の「フランス人女性神話」が好きなのはなぜか日本人とアメリカ人。以前流行ったポリー・プラット『フランス人この奇妙な人たち』やミレイユ・ジュリアーノ『フランス女性は太らない』などを思い出します。こちらはフランス女性でも、アサラーちゃんが主人公のBD『ジョゼフィーヌ! (アラサーフレンチガールのさえない毎日)』。著者が来日した際にテレビ番組「王様のブランチ」に出演し、日本でも注目度が急上昇。

地球の変動はどこまで宇宙で解明できるか: 太陽活動から読み解く地球の過去・現在・未来(DOJIN選書) 21世紀の資本フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質

『フランス人の不思議な頭の中』 の著者、山口昌子さんは、2011年までの21年間、産経新聞のパリ支局長を務め、記者活動に対しレジョン・ドヌール勲章シュヴァリエなど3つの勲章を受章されたそうです。こういうサイトをやっている立場上、山口さんの記事は当時よく読みました。産経的な立場からのフランスに対する愛憎が入り混じった文章が印象的でした。フランス国民は歴代大統領の恋愛スキャンダルをなぜ許すのか、ヨーロッパNo.1の出生率を実現できたのはなぜかなど、こちらも「フランスの不思議」を解き明かす内容。
■今年出版された注目のフランス語学本は、國枝孝弘&パトリス・ルロワ『気持ちが伝わる! フランス語リアルフレーズBOOK』。 “Tu sais quoi ?(あのね)” “C’est pas grave.(大丈夫)” “Je te dis pas.(すごい) ” など、ネイティブが日常何気なく使っている口語表現や慣用句を、対話例と共に計452パターンを収録。NHKのフランス語講座でおなじみの、丁々発止のやりとりが聞こえてきそうです。

ジョゼフィーヌ! (アラサーフレンチガールのさえない毎日)フランス人の不思議な頭の中 (単行本)気持ちが伝わる!  フランス語リアルフレーズBOOK (リアルフレーズBOOKシリーズ)

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cyberbloom

当サイト の管理人。大学でフランス語を教えています。
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